お嬢様は真面目に剣術に勤しみました
剣術を習い始めて二ヶ月が経った。
初めはあんなこと言うんじゃなかったと後悔していたが、今では素振りにも慣れ始めていた。
「きゅうじゅういち、きゅうじゅうに…」
無心で教えられたフォームを再現する様に振る。
回数だけじゃなくて型を意識することが大事だ。
「きゅうじゅうきゅう…ひゃーく!はぁ…はぁ…」
腕が疲労しもう上がらない。
慣れてきたとはいえ、体はまだ五才児なのだ。良く持った方だろう…
「お嬢様、あちらに冷えた果実水を用意しております。少し休まれては?」
爺やことオースティンがそう言って恭しくタオルを差し出してくる。
最近では男と話せる様になってきた。
これも剣術を始めた効果なのだろうか?
「ありがとう、そうさせて貰うわ。爺やも一緒にどう?」
こうやって誘えるくらいには成長した。
「勿体なきお言葉、お言葉に甘えてご一緒させていただきましょう。」
季節は九月、ピークは過ぎたとは言えまだ夏の暑さが残っている。
ずっと側に控えていた爺やにも休息は必要だ。
休憩しお風呂から上がるとマシューが食堂に居たのでちょっかい…もとい、試練を与えた。
「あぁ…姉さん…!それ…僕の…いえ、何でもないです」
「言いたいことが有ったらはっきり言いなさい。それと弟のものは姉である私のものでもあるのッ!」
マシューが楽しみにしていたプリンを堪能するとマシューは恨みがましく此方を見てくるが私が見返すと視線を反らした。
これもマシューを矯正するため。
弱気になっちゃだめよ、心を鬼にして私はプリンを食した。
あんま~い!!
運動した体が糖分を欲しているの!
「お嬢様、ミシェイラ侯爵家から招待状が届いています。」
残暑が落ち着き幾分か涼やかになってきた頃。
部屋で新人メイドのイレーネに抱きつき、匂いと温もりを堪能して調教…もとい新人教育をしていた私に専属メイドのジェシカが一通の手紙を持ってきた。
ミシェイラ侯爵家…タニアちゃんからだ!
くくく…遂にこの日が来てしまったのね。お茶会からのパジャマパーティ!
前から文通をして四人で集まろうと計画し、私が裏で操っていた計画の時がやっと来た。
名付けて子猫ちゃん脳内補完計画…KNHK!
私の脳内にあられもないあんな姿やこんな姿を補完する計画よ。
あぁ、待ち遠しい…!
決行日は三日後…待ってなさい、可愛い子猫ちゃん達…!




