お嬢様は剣術指導を懇願しました
父上は今年で25才、母上は23才だ。どちらも若い。
母上は17才で結婚、18才で私を産んでいる。
未だに仲睦まじく、たまに愛の営みが深夜に聞こえてくる。
今も父上の執務室で母上に膝枕をしてもらい耳掻きをされている最中だった。
「お取り込み中失礼します。父上、剣術指導をお願いしたいのですが」
私は気持ち良さそうに母上の膝の感触を楽しむ父上に進言した。
父上は起き上がり、真剣そうな顔つきになった。
最近威厳を出そうと生やしている髭を摘まみ撫でながら口を開く。
ぶっちゃけ似合ってない。
「ほう、剣術か…しかし女の子にそんな乱暴な事は似合わないんじゃないかな?」
「そうよ、リリー。怪我したら大変でしょ?」
また親バカぶりが発揮された。
普段は嬉しいけど、こっちは死活問題(かなり重要)なのだ。
このままではマシューの毒牙に攻略される運命(私もレイン達も)…これだけは絶対に回避したい。
「お願いします。私は守られるだけの女にはなりたくないのです。」
ガバッと頭を下げる。
父上譲りの綺麗なブロンドが地面スレスレまで垂れる。
「ふむ、意思は固そうだな。」
「貴方譲りの頑固さね…。まぁ良いんじゃない?飽きたら辞めるでしょうし」
母が気楽に父へと投げ掛ける。私はそれを聞くなり咄嗟に口を開いた。
「私は…!自分から言い出して、途中で投げ出す様な人間にはなりません!お願いします!」
子供特有の感情の起伏が私を支配しているのか少し涙混じりな鼻声になってしまった。
しかしそれが功を奏したのか父上が折れた。
「分かった。兵長に掛け合ってみよう。しかし、お前の嫌いな男との訓練になるぞ?それで良いのか?」
これは私を慮っての父上の配慮だ。しかし、私は決めたのだ!
「構いません!お願いします!」
私は顔を上げ真剣な表情で宣言した。




