真夏の癒し
はい、今回で連載百回目となります!パチパチパチパチ
ということでサービス回、テーマは真夏の遊びといえば?ということで続きは本編をどうぞ!
七月になった。
あれから奴隷改革の話は公爵家を通し、下位貴族へと伝播しちらほらとだが、改善と見直しが始められた。
私の評価も上がり万々歳である。
ジェネシス公爵様様である!
六月中旬に領地へ戻った私は、涼を求めて屋敷の庭に巨大な氷塊を用意し、凉を求めていた。
「あーつーい~!」
執務室にも氷水を張った桶を数個用意し、茹だる様な暑さから解放されようと必死に対策しているのだが…暑いものは暑いのである。
「ジェシカ、少し休憩してくる。」
「畏まりました。此方は任せて下さい。」
「うん、ありがと!」
私は執務室を飛び出し屋敷の中庭へとやって来た。
此方はロの時型の建物の日陰に有るためか比較的涼しい。
あー、海とかプールが恋しいなぁ…ん…?プール?
あっ!そうか!
私は屋敷裏の庭へと移動し、縦に一メートルほどを掘り、直径二十五メートルの幅を土魔法で用意した。
粘土質に魔法で変え、火魔法で焼き固め素焼き状にしたそれの四隅の床に、排水溝も繋ぎ準備は完了。
普段は蓋をしておいて私以外には操作出来ないように調整し、全ての準備は整った。
水を張り、パラソルを立て、ベンチや日陰も設置していく。
屋敷を出て梟の塔へ赴くと目当ての人は直ぐに見付かった。
久しぶりのルルである。
「あら、同志!久しぶりね。陛下の即位式以来かしら。私も先週来たばかりだから近々会いに行こうと思ってたの。それで今日は何の用かしら?新しい魔法?お茶のお誘い?何でも良いわよ。」
「ルルー、遊ぼー!今日はね、水遊びだよ!」
「水遊び?」
五月十日、レオンハルトは無事即位式を終え第六十六代アムスティア王国国王となった。
弱冠十歳八ヶ月という若さで。
過去に無かったという訳では無いがそれでも平均よりはずっと若い。
頭を捻るルルの手を引き続いて訪れたのはユグドラの屋敷だ。
下着姿で項垂れ、屋敷に籠っていたユグドラを服を着せ拉致って、仕事中のモガやサリーを捕まえ、訓練場でランニングをしていたマーシャも誘い裏庭へと訪れる。
監視役にジェシカを誘い、皆にあるものを配る。
いわゆるスク水というやつだ。生地までは再現出来なかったがフォルムや撥水性などは折り紙付きである。
これと同じではないが、一般的なデザインの物で少し機能が落ちる物を来年には発売する予定である。
そのうち皆で川遊びをしようと計画していたのが、役に経った。
今日の仕事はお休みだ!
領内では私がルールである。
プール開き開幕である。
「えー、今日はお集まりいただき有り難うございます。」
「お前が呼んだんじゃねえか。アー…あっちぃ…」
ユグドラが愚痴りながらもスク水擬きの胸元を引っ張り煽る。
「ユグドラ、文句は無しよ。同志の行動はいつも突然なんだから慣れなさい。」
ルルは…くっ…!燦然と輝く二つの山を揺らしてやがる…!
未来の巨乳、許すまじ!
「リリお姉さま、この水着?ですか。凄く締め付けられるのがちょっと…」
モガは可愛いなぁ…あ、一枚写真撮っておこう。
カメラで撮ってジェシカに手渡しておく。
何故か満足そうに頷いていた。
「マーシャ、なんか…ドキドキするね?」
「サリー、ちょっと黙ってなさい!お嬢様の話が先よ!」
この二人は仲が良いな。
マーシャは軍に入ってしっかりしてきたし、サリーは少しずつ臆病が治ってきた。
良い傾向だ。
「えー、色々と文句はあると思いますが…これよりプール開きをしたいと思います。まずは準備体操ー!私の真似してね?元気良くー!いっち、にぃー、さん、しー」
ラジオ体操を披露すると皆ぎこちないながらもついてくる。
モガ、マーシャ、サリーは楽しそうだ。
ユグドラは気だるそうに、ルルはインドアだからか真っ白な四肢を動かしているが運動不足なのか息を上げている。
「それじゃ縁に座って足から慣らして行こうか。いきなり入ると体がびっくりするからね。」
私が小学生の頃、こうやってプールの授業を習った記憶がある。うろ覚えではあるが…
「うわー!冷たい!」
「ヒッ!あ、でも気持ちいいかも…!」
それぞれの速度で慣らしていくのを見守りながらユグドラに近付き指鉄砲で水を食らわして逃げた。
回りは大笑いである。
恥ずかしそうにするユグドラだが、彼女自身も笑っているので怒ってはないだろう。
私は一度二十五メートルをクロールで泳いでみた。
うん、問題なく泳げる。良かったぁー!
真夏に入るプールの気持ちいい事と言ったら筆舌に尽くしがたいだろう。
しかも自宅にプール付きだ、気分はハリウッドのセレブである。
「うわぁー!すごーい!リリアナ様、お魚みたい!」
「バカね、お嬢様が魚なんて失礼なこと言わない!そうだなぁ…水精とかどうかしら?」
「水精…リリお姉さまにぴったりかも!」
年少組の会話が耳に入るが私は泳ぎ続けた。
全身の運動になるので泳ぐのは結構好きなのだ。
「流石同志ね。水への適合も強くて、こんな施設を一日で作ってしまう。魔法の方もどんどん練達していくわ。私も…負けていられない!」
「リリアナはすげぇな。我もあんな風に泳げたら…意地を張ってても仕方ねえか。おーい、我にも泳ぎを教えてくれー!」
何やら年長組の対抗心やら色々と火を着けてしまった様で、ユグドラが私に泳ぎ方を教えてくれとお願いしてきた。
普段は意地っ張りな彼女からしたらその成長は嬉しい限りである。
このプールも一番ユグドラにやってほしかったのだ。
体型維持のために全身運動をしてもらいたい。
大食の呪いを受けている彼女だからこそ、いちばん取り組んで欲しかった。
え?暑いから作ったんじゃないかって?
バカダナー、ソンナワケナイジャナイカ。
「良いよ、じゃあ縁に捕まってばた足の練習からね。」
ユグドラが率先して習い始めたからか、他の皆も我先にと疑問点を尋ねてくる。
最初はモガ、次にルル、他の二人は同時にだ。
ばた足から水に顔を着けたり、ビート板擬きを使ってからの蹴り足など、段々皆が上達していく様が見え私も一緒に喜びを分かち合う。
「リリー様、遊びに来ましたわ!あれ?水遊びですか?」
「げぇ…!マリアンヌ…じゃなくて!おいでおいで!遊ぼー!」
私はプールから上がると変態…ゲフンゲフン…
マリアンヌに予備の水着を手渡す。
紺ではなく白色の物である。
結構アウトラインギリギリの代物だがマリアンヌは嬉しそうにそれを着ていた。
というかノリノリである。これが聖女のポテンシャルか…
マリアンヌェ…
前世だったら所持してるだけで青い服のOTONAに捕まる代物だ。
異世界で良かった…
泳ぐのは一旦中止してみんなで新入りへの洗礼と称してマリアンヌに水を掛けてやったのだが、へこたれる処か何故か喜んでしまう始末。
流石真正なマゾは違うな…と少し引いたのは内緒である。
その間ジェシカはというと少し泳いだ後、さっさと上がり優雅にベンチで寛いでいたことはまぁ、気にしなくて良いだろう。
朝から泳ぎ続け途中昼食を挟んでから休憩をし、遊んでいたら現在は夕方。
皆疲れたのか、縁に座り休憩している。
私は本日最後の百メートルを泳ぎ終え、皆も満足したのか屋敷の方へと向かっている。
その日は皆疲れが溜まったのか風呂に入るとそのまま屋敷に泊まって寝てしまった。
マリアンヌだけ以上に元気だったのが謎だが…
私も久々に沢山泳いで疲れた…
あ、そうだ。兵士達にも裏庭プールを解放してあげた方が良いのかな?
いや、それより町に施設を作って一般解放する方が良いかな?
まだ土地は余ってるし、温水プールとか公衆浴場とかもアリかもしれない。
そんなことを考えていると気付けば眠ってしまったのだった。
真夏に投稿出来れば良かったのですが、作者のスケジュール管理がガバガバすぎて…すみません。
すっかり涼しくなりましたね。
今年も約二ヶ月とちょっと。
近況と致しまして、体の弱い作者は既に毛布を引っ張り出し包まっています。←極度の寒がり
百話到達しまして、嬉しいやら不安やらで一杯です。
未だに学園編に突入してないのですがあと十話程で学園編をお届け出来るかと思います。
もう暫くお待ち下さい。
これからも~リリアナお嬢様の命令よ~
【リリちかっ!】を応援宜しくお願いします。
ブクマ、感想、レビュー、評価、お待ちしております!




