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田舎冒険者と白狐  作者: 倉秋
シルハ国編
44/53

ルール違反とアラクネ

冒険者達の握る器具。

それは、アラクネを捕獲するために用意した器具だろう。

棒の先に、U字型の鉄製の拘束器具が取りついている。


「へへ・・・ようやく見つけたぜ・・・アラクネちゃーん!」


若い冒険者がニヤニヤと笑いながらこっちに近づいてくる。


「ひぇ・・・!?」


頭を押さえて、穴の奥へと隠れようとするアラクネ。


「なあ、レオ・・・どうするよ?」


そう言うドギーの片手には剣が握られていた。

・・・助ける気満々ってことか?

こいつの性格からして、アラクネを襲うという事はないだろう。


「コトハ、セオドア・・・アラクネを助けようと思うが」


「賛成じゃ、同じ魔族として、見過ごすわけにはいかん」


「私は・・・」


セオドアがアラクネと冒険者を交互に見る。


「・・・アラクネは捕獲を禁じられているはずだ、冒険者として、見過ごせん」


そうか。

俺も、アラクネを守ることに賛成だ。

怯える彼女を見過ごせるほど、淡白ではない。


「ん?先客がいたか」


俺達に気づいた3人が、ゆっくりとこちらに歩いてくる。

リーダー格らしい、若い男性。

装備は軽装で、腰に下げたショートソードが武器だろう。


その背後の2人は女性。

1人は、魔導士のローブを羽織った、魔法使いらしき女性。

もう1人は、弓使いだろうか、軽装で背中には弓が見えていた。


「キスカ、アラクネを横取りされる訳には行かないわ」


「ああ、もちろん!お前ら、悪いけど・・・アラクネは貰うぞ!」


そう言って、走り出す男。

その男の前を遮るように、手を伸ばす俺とドギー。


「っち、やっぱりお前らも・・・アラクネの糸狙いかよ!」


不機嫌そうにそう言い放つと、手に持った拘束器具を捨て、剣を引き抜いた。


「やる気か?なら・・・手加減はしないぜ、Dランクさんよ」


3人組は、全員Dランクのようだ。

腰に下げている証が何よりの証拠。


「お前らだって、Dランクだろう!」


そう叫ぶと、ドギーに斬りかかるキスカと呼ばれた男。


「おっと、危ねえ!」


軽くステップし、その一撃をかわすドギー。

回避した体のまま、キスカの身体を蹴った。


「うぉ・・・!?」


力の入らない体勢で蹴ったので、キスカの身体は後ろに下がるだけで、

ダメージが入ったようには見えなかった。


「やるじゃん」


キスカはそう呟くと、目線を後ろの女性に向けた。

見られた女性が頷く。

・・・アイコンタクトか?


「コトハ、俺達も動くぞ」


「おお!」


アイコンタクトを受けた女性が、背中の弓に手を伸ばす。

その女性に向かって、足元の石を投げた。


「!」


咄嗟に反応した女性は、短剣で向かって来る石を弾いた。

やっぱりそうだ、ドギーを弓で狙うつもりだったのだろう。


「コトハ!魔法使いは任せたぞ!」


短剣をこちらに向けた女性と対峙する。

コトハも、その隣にいた魔法使いらしき女性と向かい合った。


――――――――――――――――――――


「やれやれ・・・めんどくさいんだよな」


キスカはドギーと、そしてセオドアと向かい合っていた。

その片手に握る、ショートソードを軽く素振りしながらそう呟く。


「可愛い子を怯えさせて、あまつさえ捕まえようってか。

 このドギー様がそんな横暴を許すかってんだ」


「アラクネを捕縛するのは冒険者協定に違反する。

 ・・・それとも、特例でもあるのか?」


ドギーがセオドアを見る。


「そうなのか?」


「・・・冒険者協定に目を通せとあれほど言ったろう?」


ドギーが苦笑する。


「まあ、なんにせよ・・・こいつが違反行為をしようとしているって事だろ?」


「ああ」


ショートソードを構えたキスカの目がセオドアに向く。


「1対2はあまり得意じゃ・・・ないんだけど、な!」


キスカはそう喋りながら、セオドアに小袋を放り投げた。


「!」


小袋を、槍で切り裂くセオドア。

その切り裂いた小袋から、何かの粉末が飛散した。


「これは・・・!?」


その粉末を被るセオドア。

体が痺れる感覚が、セオドアを襲い。

片膝を地面に付いた。


「セオドア!?」


「おっと、よそ見できるのかい!?」


キスカの身体は、既にドギーに迫っていた。


――――――――――――――――――――


弓使いの女性は矢を取り出すと、弓と番えてこちらを狙っていた。

あの矢の先端、何か塗っているな。

ブロードソードを引き抜き、警戒しながら女性と向き合う。


距離的には、数秒もせずに攻撃できる位置にいるが。

仮に彼女に走りだせば、弓で迎撃して来るだろう。

先端に塗られたのが毒なら、対処にも困る。


「来ないの、臆病者」


そう言って、挑発してくる女性。

挑発だと分かっているので、その言葉を無視する。


「・・・ふぅん、じゃあ」


矢の先を俺から・・・コトハに変える。

コトハは、魔法使いと睨み合い、お互いに詠唱している最中だった。


「お前・・・っく!」


堪らず走りだす。

その俺を見て。


「掛かったわね!」


弓を引き絞り、俺に向かって放つ。

回避は間に合わない・・・なら。

ブロードソードで、放たれた矢を斬るように打ち落とした。


「な・・・!?そんな!」


打ち落とせると思わなかったのか、二の手の矢を番えるのに一瞬遅れる女性。

その期を逃すわけもなく、弓を握る女性の手を剣の柄頭で強打した。


「痛っ・・・!?」


痛みで弓を落とす女性。

弓を落とした女性に、ブロードソードを突きつける。


「終わりだ」


「終わり・・・?それは、どうかしら・・・!」


懐に手を入れた女性は、俺に向かってナイフを投げた。


「!」


女性に突き付けていたぶブロードソードで、ナイフを弾く。

ギリギリで間に合った、が。

強引に反応したため、体勢が少し崩れる。


「止めを刺さない、あんたの負けよ!」


体勢を崩した俺に、2発目の矢を放とうとする女性。

その姿を見て・・・俺は、咄嗟にブロードソードを投げた。


「え?」


弓を構えた女性の、弓に直撃するブロードソード。

その切れ味のよさで、弓が真っ二つに裂けた。


「わ、私の弓が・・・!」


「この・・・!」


得物を壊され、一瞬油断した女性に近づき。

腕を取って、地面に拘束した。


「きゃあぁ!!」


「大人しくしろ、お前の負け・・・だ」


後ろに女性の両手を回し、背中で両手を縛る。

これで、もう何も出来ないだろう。


「放しなさいよ・・・!」


「この戦いが終わったら、放してやるよ」


縛り上げた女性をその場に放置し、仲間の援護に向かう。

ドギー達とコトハを助けに行かなければ。


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