表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田舎冒険者と白狐  作者: 倉秋
シルハ国編
37/53

次の階層へ

身体の節々が痛む。

アイスドラゴンに体を吹っ飛ばされた時のダメージが、まだ残っているようだ。

剣を構えて、アイスドラゴンを威嚇するように立ち回る。


しかし、アイスドラゴンの目は、コトハに向いてしまった。


「ぬう、まだ終わっておらぬというのに・・・!」


そう悪態をつくコトハだが、顔には焦りが見える。

ドラゴンといえば、上位のモンスターだ。

それが目の前で、自分を攻撃しようとしているのだ。


「コトハ!」


目の前に立ち、剣で防御の姿勢を取る。

氷の息(アイスブレス)の前兆が、ドラゴンの口に見える。


「セオドアァァァ!!」


「ああ!」


ドラゴンの後ろから聞こえるその声。

ドラゴンが何かを痛がっていた。

見れば、ドギーとセオドアがドラゴンの尻尾に斬りかかっていた。

唸り声を上げながら、ドラゴンの顔がそちらを向く。


「やべぇ、逃げるぞ!」


二人が通路へ飛び込むと同時に、通路の出入り口に尻尾の一撃が当たる。

二人は何とか、無事なようでこちらを見ている。

それを見て、俺は頷いた。


「コトハ!」


コトハの詠唱が終わる。

それと同時に、アイスドラゴンの周りに立っていた氷柱に異変が起こる。


「うむ!」


コトハの起こした狐火が、氷柱の根元を溶かす。

やがて、自重に耐えかねた氷柱は、アイスドラゴンを圧し潰すように倒れ込む。


「ガァァ!」


氷柱によって、身体が封じ込まれ、首にも氷柱が倒れ込む。

最後の一撃を加えようとしたアイスドラゴンは、その氷柱のせいで地面に伏した。


「今だ、逃げるぞ!」


あの程度で死ぬ魔物じゃない。

ここは、さっさと逃げた方がいい。

コトハの手を掴み、通路へと急いだ。


「主様!」


「急ぐぞ!!」


滑り込む様に、通路に入ると。

後ろからはアイスブレスが向かってきていたようで、

通路の出入り口は凍り付いていた。

危なかった・・・もう少しで、氷漬けになっていただろう。


――――――――――――――――――――


「とんでもない目にあったな・・・大丈夫か?」


「ああ・・・さっさと次に行こう」


通路の先を目指す。

話ではこの階層のどこかに、地下に通じる階段があるはず。


「しかし、あの冒険者共・・・余計なことをしてくれたの」


「欲張り者は、ワーレスでは長生きできない、か」


ドギーがそう呟く。

セオドアは頷くと。


「身の丈を考えずに挑めばああなるという事だ。

 ・・・ドギー、十分気を付けろよ?」


「分かってるよ、俺一人のパーティーじゃないんだからさ」


そう言うと、ドギーは頭を掻いた。


「だけど、少しは無茶をしないと・・・宝は手に入らない、よな?」


そう言うと、自身の懐に手を伸ばし、何かを取り出した。

それは、先ほどのアイスドラゴンの鱗が数枚握られていた。


「いつの間に・・・」


セオドアが驚いていた。


「斬りかかった時に、尻尾から何枚か失敬した。

 材料としては、そこそこ高い値段で売れるだろうさ」


そう言って、懐にしまいなおす。

ちゃっかりしてるな・・・。



通路をしばらくの間歩いていると、また、開けた場所に出た。

目の前には、下に降りる階段があるだけだった。


「これが、次の階層か」


「どうする?話では、ここで戻る事も出来るのじゃろ?」


白い丸い石を懐から取り出す。

下への階段の傍で、この石を砕くと・・・地上に強制的に戻されるらしい。

言わば、脱出手段だ。


今のパーティーの状況を見るに、まだ大丈夫そうだ。

アイスドラゴンと一戦交えたという事もあったが、まあ・・・物資的には大丈夫だろう。


「進もうと思うが、どうだ?」


コトハは頷いた。

ドギーもセオドアも頷く。

次は、何処に通じているのだろうか?


――――――――――――――――――――


階段を降りて行くと、先ほどと同じように扉が一つ前に見える。

ノブを触るが、先ほどのような冷たさなどは感じない。


「開けるぞ」


後ろを見て、全員の顔を確認する。

皆が頷いたので、ゆっくりとドアを開けた。


ドアの先には、黄金の部屋が見えた。

灯りと、その照り返しで、目が痛い程の光を放っていた。


「なんだ、こりゃぁ!?」


「全部、金・・・だな」


セオドアの言う通り、壁も・・・床も金だ。

部屋の真ん中には木のテーブルがあるが、その上にも、金塊が積まれていた。


「目が痛いのぉ・・・」


「大金持ちだぜ、俺達!」


ドギーが興奮気味にそう言うが。

セオドアは部屋の壁を触りながら、ドギーの頭を小突いていた。


「よく見ろ、偽物だ」


「へ?」


金で出来たと思われていた、壁をこするセオドア。

すると、くすんだ色の土が姿を見せた。


「塗っているだけだ」


「つまり、この机の金塊も?」


セオドアが机に近づくと、しゃがんで確認している。

俺もそれに近づき、机を確認する。

・・・だが、この机の上の金塊は、偽物には見えないが。


「主様、『欲張りは身を滅ぼす』じゃな」


「ああ・・・これも罠だろう」


セオドアが机の周りを調べ始めた。

すると、何かの仕掛けを発見したのか、床を触り始めた。


「・・・トラップだな、これは」


「金塊を取った瞬間に、発動するのか?」


「恐らく。・・・見ろ、机の足下が沈んでいる」


確かに、机の足は4本あるが、そのすべてが床に沈んでいるように見える。


「重さを感知して、金塊を取った瞬間に・・・何か起こるな」


「さっさと離れた方がよさそうだな」


セオドアが頷く。


「えー・・・取らないのかよ?」


「ドギー、死にたくないなら、危ないものには触るな」


そういうセオドアに、ドギーはブーブー文句を垂れていたが。

セオドアに従うのか、金塊に関して何も言わなくなった。


「しかし、この部屋・・・他の道は無さそうじゃなの」


確かに、コトハが言う通り・・・入ってきた道以外、繋がっている場所が無い。

完全な個室だ。


「ふむ・・・何か仕掛けがありそうじゃが」


ペタペタと、壁を触るコトハ。


「金塊を取ったら、トラップが発動する。

 そして、この部屋には他の仕掛けがある、か」


金塊に目が眩んだら、その場で終わりなのだろう。

そして、それに惑わされなかった奴らが、先に進める。


辺りを見渡す。


「おお、これじゃ」


コトハが声を上げた。

壁を触っていたコトハが、何かを発見したようだ。

全員が集まり、その見つけたものを見る。

そこには、出っ張った壁の一部があった。


「押せばいいのか?」


「うむ・・・多分」


・・・まあ、やってみるか。

出っ張りに手を押し当て、力一杯押してみた。

すると、出っ張りは壁に埋まる。

同時に、出っ張りの周りの壁が、音もなく崩れた。


その崩れた先には、更に道が広がっていた。


「なるほど、隠し通路って事か」


暗い道だ、松明を付けて進もう。

そう思い、松明に火をつける。


松明に照らされた道からは湿った風が吹いてくる。

・・・この先にも何かある、そう予感させる風だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ