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田舎冒険者と白狐  作者: 倉秋
シルハ国編
36/53

氷の先に潜むもの

目の前に広がる凍ったダンジョン。

石造りのダンジョンは、その表面が凍っている。


「寒いの・・・」


コトハに、予備のマントを掛ける。

無いよりはましだろう。


「おお、主様・・・すまぬ」


「気を付けろよ、凍えた体は・・・咄嗟に動かないもんだからな」


俺も、手袋を厚手にしておく。

ドギーも厚手のマントに着替えたようだ。


「くそ、これだけ寒いと、あんま変わらないな」


フードも被るが、寒さは防寒着を貫通するように俺達を刺してくる。


「探索は最低限にして、次の階に降りた方がいいな」


なんでも、どこかに階段があって、そこを降りると全く別の世界になるらしい。

そして、その10階には、シルフの何かがあるという事だ。

皆、それを狙って潜るが。


・・・今までの最高記録は9階。

だれも、シルフのそれを、見た者はいないという事だ。


「賛成だ・・・宝探しして、凍死はしたくないからな!」


ドギーはそう言うと、ランタンに火をつけて先頭で歩き出す。

それに続く俺達。

・・・キーラは来なくて正解だったな。

この状況じゃ、キーラを守りながら戦うのは無理だ。


しばらく、石造りの廊下を歩いていると、開けた場所に出た。

クリスタルや、凍った水の結晶が辺り一面に広がっている。

幻想的な空間だが、それ以上に・・・この部屋は寒い。


「・・・分かったぜ、この寒さの原因」


そう言った、ドギーは目の前を指さす。

目の間には・・・眠っているドラゴンがいた。


「『アイスドラゴン』、周りの空気を凍らせるほどの冷気を吐き出す」


「あいつがいるだけで、周りが冷える・・・厄介だぜ」


セオドアとドギーがそう言う。


「どうする?」


寝ているようだし、隣をこっそりと抜けた方が得策だとは思うが。


「触らぬ神に祟りなし・・・じゃな」


「ああ、賛成だ・・・このパーティーじゃ、勝てないだろうしな」


全員が頷き、ドラゴンの横を通り抜ける。

いびきをかきながら、ドラゴンは寝ている。

・・・この様子なら、すんなりと抜けれそうだ。


そう思っていたが・・・その考えは後ろから聞こえてきた声で、脆くも崩れた。

他の冒険者が、後から入ってきたのかとそう思ったのだが。

・・・そう思った瞬間には、ドラゴンに魔法が当たる瞬間だった。


「な・・・ドギー!急げ!」


「あ?」


後ろに気づいていなかったのか、後ろを振り向くドギー。

その目には、魔法が当たるドラゴンと、冒険者が映った。


「まずい・・・!」


そうドギーが呟くと、ドラゴンの後ろにあった通路に飛び込んだ。

セオドアもそれに続き、俺達も続こうとしたが。


「ぬあ!」


起きたドラゴンの尻尾に防がれ、ドギー達と分断された。

目の前に迫る尻尾を屈んで回避した。


「主様!」


「くそ、余計なことを・・・!」


後ろの冒険者たちを忌々しげに見る。


ドラゴンがその首を上げると、辺りを見渡す。

そして俺達と、新たに現れた冒険者を見つけた。

その瞬間、ドラゴンの咆哮が部屋に響いた。


――――――――――――――――――――


冒険者たちは、Cランク冒険者らしく装備も充実していたが。

到底、アイスドラゴンに勝てる様な装備じゃなさそうだ。


「無謀は、ワーレスでは生き残れない・・・か」


商人の話を思い出す。

欲張りは、長生きできない。

身の程を知り、稼ぐのが賢いやり方だと。


アイスドラゴンの口が開くと、凍てつく様な氷のブレスを吐き出した。

ブレスは冒険者たちを襲うと、瞬く間に氷像が出来上がった。


・・・一撃で全滅か。

Cランクでも勝てない相手だ、俺達ではまだ無理だ。

そう思い、ブレスを吐いてる最中のドラゴンの横を通り抜けようとする。

しかし、尻尾がその行動を塞ぐ。


「・・・くそ、逃がしてはくれなさそうだな」


「主様、隙を作って逃げるべきじゃ」


「ああ」


冒険者が片付いたと思ったのか、ドラゴンの目と顔は俺達に向いていた。

右を見る。


ドギー達は、通路で俺達の事を待っている。

あっち側に、逃げることが出来れば・・・ドラゴンは撒けるはずだ。


「コトハ、『狐火』で氷を溶かせるか?」


「?ああ、それは可能じゃ」


そうか、なら・・・目くらましが出来る。

コトハにあることを耳打ちする。


「・・・大丈夫なのか、主様?」


「ああ、その代わり・・・頼んだぞ!」


そう言って、剣を引き抜きドラゴンと相対する。

口元にから冷気が漏れるドラゴン。

その目線は、俺をじっと見ている。


俺の役割は、ドラゴンの気を引くことだ。

その間に、コトハがあることをする。

上手くいけば、ドラゴンから逃げることが出来る。


俺の後ろで魔力を練っているコトハ。

コトハのそれが終了するまで、俺がドラゴンを引きつければいいだけだ。

簡単だ、そう・・・言うなら簡単だ。


ドラゴンは俺から目を離さない。

俺が一歩動けば、それに合わせるように前足を動かす。

下手に動けば、先ほどの冒険者と同じく、氷漬けになり死ぬ。


「・・・!」


自分の身体が委縮で止まらないように足を動かす。

ドラゴンの威圧のせいで、心臓が跳ねる。

たまに、威嚇のつもりか、口を開いては凍える程の息をこちらに吐いてくる。


どうする・・・コトハの詠唱はまだかかる。

このまま、にらみ合いが続けば、それでもいいが。

焦れて、攻撃してくるだろう。


ふと、ドラゴンが今まで一番大きく口を開いた。

口の奥が光るのが見えた。


氷の息(アイスブレス)・・・!」


口の中に見える光りが強くなる。

このまま吹かれたら、俺ごとコトハが凍り付く。

咄嗟に、足元に落ちていた石を、ドラゴンの口に投げ入れた。


異物を感知したドラゴンが口を閉じると、目の前の俺を睨んだ。

これは・・・来る!

そう思った瞬間には、ドラゴンの前足が俺を捉えていた。


「ぬぁ・・・!」


剣で防御したが、体ごと近くの氷柱に吹っ飛ばされ、身体を強かに打ち付けた。

痛みが背中に広がる。


「くそ・・・勝てはしない・・・が」


立ち上がり、コトハを見る。

練った魔力がコトハを包み始めていた。

もう少し、もう少しで・・・策が成る。


そう思い、もう一度身体を起き上がらせた。


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