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田舎冒険者と白狐  作者: 倉秋
帰郷編
23/53

女神像

金の女神像は何かを指し示すとコトハは言っていた。

ベッドに横になりながら、その女神像を見る。


「・・・これが、地図ね」


微笑みをたたえた、ただの女神の像。

金で出来ているので、価値はありそうだが。


・・・。


『女神は左を見て微笑む、それは、人々が笑っているから。

 女神は右を見て、悲しむ。それは人々が死んでいくから

 女神は天からの裁きを受ける。それは・・・』


どっかで聞いた話。

『女神教』というものの、一説らしいが。

後半は忘れてしまった。


・・・左を見る。

女神像に手を掛け、頭をひねってみる。

すると、左に顔が動いた。


「うお!」


冗談半分で動かしたのに、動いた。

すると、女神像の頭が取れてしまった。

縁起が悪い、そう思いつつも、取れた部分を見る。


「・・・紙?」


丸まった紙が、胴体の中に入ってあった。


――――――――――――――――――――


隣の部屋でのんびりしていたコトハに、その紙を手渡した。

俺も読んでみようとしたが、理解不能な言語で書かれていたからだ。

コトハなら読めるんじゃないかと、持ってきたのだが。


「ううむ・・・精霊文字じゃ」


「精霊文字?なんだそりゃ?」


「精霊文字は・・・精霊しか読めぬ、特殊な文字じゃ。

 そもそも、文字に法則性が無いから、解読は不可能じゃな・・・」


・・・なるほど。

俺達では解読は無理か・・・。


「じゃが、精霊文字を解読しようと志した者もおる。

 たしか、シルハ国の首都に住んでいる・・・そうじゃ、エルフのキーラじゃ!」


「・・・これを持っていけば、分かるかもしれないって事か?」


像の中に入っていた紙。

・・・これは、何か途轍もない事が書かれている気がする。


――――――――――――――――――――


早朝。

まだ気になった事があったので、朝早くから村の教会に来ていた。

早朝なので、まだ、誰も教会へきている人間はいない。

だが、神父様は既に来ているようで、庭の手入れをしていた。


「お久しぶりです、神父様」


「む・・・?ああ、レオハルトくんか」


立ち上がると、こちらを見てきた。

壮年の男性の神父様。

久しぶりに会うからか、白髪が増えた印象だ。


「ええ、無事に戻ってこれたので・・・その、神様にお礼でも言っておこうかと」


「・・・そんな、信心深い子じゃないと思うのだが、私に何か用か?」


・・・ばれたようだ。

まあ、身の行いを考えれば、神を信じるような、

人間には見えないだろうな・・・。


「実は・・・この女神像なんですが」


「ん?」


金の女神像を手渡した。


「・・・女神様の像か・・・」


俺と同じように、隅々まで見ている。


「女神教のものかも知れんが・・・この教会は土着の宗教だ。

 この教会とは一切関係ないぞ?」


そういって、女神像を返してきた。

そうか、やっぱり、この教会から無くなったとか、そう言うものじゃないか。

・・・掘りだしたもので間違いないようだ。


「・・・だが、変な感じのする像だ。出来るなら、捨てた方がいい。

 それは、災厄を呼ぶ像の気がする」


「災厄か・・・ゴイアの腕が、これに関係しているようなんですけど」


「ゴイア教か・・・魔法の神を主神として、魔法による世界の統治を謳う、

 カルトに近い宗教だとは、私も聞いている」


カルト・・・。


「レオハルト。関わるのなら、気を付けることだ。

 彼らは・・・君が考えている以上の狂気を内包している」


――――――――――――――――――――


神父様の話を聞き、ゴイア教の狙いを考えた。

恐らく、四大精霊の遺産を使って、強大な力を得ようとしているのだろう。

だが、何故・・・この金の女神像を置いていった?

・・・もう、用なしになったという事か?


分からないが、彼らの取って、これはもう要らないものなのだろう。


「とにかく、コトハの言った通り・・・シルハ国に向かってみるか」


精霊文字で書かれた紙を取り出す。

目的のない旅に、目的が出来た瞬間だった。



まずは、シルハ国の精霊文字が読めるというエルフに会う。

次に、その精霊文字に何が書いてあるかによって・・・行動が変わってくるが。


(・・・カルト教団が力を持ったら、とんでもないことになる)


それは、阻止した方がいい。

・・・とにかく、シルハ国に向かってみるとするか。


――――――――――――――――――――


実家に帰ると、両親は何か用意していた。


「おう、帰ったか?」


「・・・それは?」


親父は布のようなものを、外で弄っていた。


「テントだよ、明日から、必要になるんだろ?」


「・・・明日って」


確かに、旅立つのは早めの方がいいと思っていたが。

言った覚えが無い。

隣で手伝っていたお袋が、テントを修理しながら。


「コトハさんに聞いたよ。・・・シルハ国に行くってね」


・・・コトハにも、言っていなかったのだが。

どうやら、考えはお見通しだったらしい。


「・・・ああ、旅立つ前に、一度寄っておこうと思ってね」


「ま、無茶するんじゃないぞ。お前だって、一般市民なんだからな?」


「そうだよ、無事に帰ってくればいい、それだけさ」


親父、お袋。

・・・。


「ああ、無事に帰ってくるよ」


「その時は、孫を連れて来いよ」


「・・・それはもう少し先になるんじゃないかしらね?」


ニヤニヤと俺を見てくる二人。


「・・・ノーコメントだ」


――――――――――――――――――――


明日、また村を旅立つ。

シルハへ向けて。


この紙が、自分を何に導くのかは分からない。

それに、未知の冒険ができるとわくわくしている自分もいる。


・・・明日も早い、今日は寝てしまおう。





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