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田舎冒険者と白狐  作者: 倉秋
帰郷編
22/53

村の秘密

コトハを連れてくる時から、ある程度予想はしていたが。

・・・やっぱり、両親は大喜びだった。

というより、こんな小さい子を連れてきて、嫁だと叫ぶのはどうかとも思うが。


「しかし、若い嫁を連れてきたな?」


「・・・あのな、親父」


嬉しいからと、酒をあおっている親父。

こうなるとめんどくさくなる。

絡み酒が酷いんだ、この人。


「いやいや、若くて結構。いずれは美人さんになって、お前の嫁になるんだろう?」


「・・・」


目を逸らす。

まだ、踏ん切りがつかないんだよ・・・。


「あら・・・そうなのね。ごめんなさい、コトハさん。

 息子が、優柔不断で」


「お袋、それは無いだろ・・・」


その様子を見ていたコトハは笑っていた。

とても楽しそうに。


「しかし、親父。返済期限はまだのはずだろ?なんで呼ばれたんだ?」


「・・・ああ、村に来ている黒いローブの奴ら、知ってるか」


「ああ、ゴイアの腕の奴らか?」


「そうだ。そいつらが何をしているか、俺に調べてほしいって言われたんだよ」


「じゃあ、借金の話は」


「呼び出す口実だ、あいつらがどこで見張っているか分からんからな」


なるほど。

・・・この村に一体何があるっていうんだ?


――――――――――――――――――――


広場に彫られた穴は数m下まで掘られていた。

そして・・・ゴイアの腕の一人のスコップが、あるものに当たる。

キィンと金属音が響くと、周りで作業を見守っていた者の視線が一点に集中する。


「おお・・・これこそ・・・四大精霊の遺産・・・!」


金色の輝きを放つ、小さな像。

それは、女神を模した形をしていた。


「ゴイア様に感謝を・・・!」


掘り出した男がそう言うと、天高く像を掲げる。

同時に・・・雲も無いのに雷が鳴り、像を直撃した。


「がぁぁぁ!ゴイア様・・・!」


黒焦げとなり、倒れる男。


「見ろ・・・ゴイア様の信託だ・・・」


男の掲げた金の像。

その金の像にはルーン文字が浮かび上がった。


「・・・ゴイア様、確かに受け取りました・・・」


天に向かって深い感謝を示した男。

それは・・・冒険者『ゴイアの腕』のリーダーだった。

右腕は無くなり、左手にも大きな傷が残っていた。


「・・・ベヒーモスに敗れ、生き残った私を、まだ必要と仰ったあなたのため。

 四大精霊の力を必ず、あなたの物に・・・!」


――――――――――――――――――――


朝方、村が騒がしかった。

なんでも、広場に大きな穴が開いていたとのこと。

そして、ゴイアの腕の連中もいなくなっていた。


「調べる必要が無くなったな、親父」


「ああ、しかし・・・一体何をしやがったんだ?」


親父と二人で広場に来ていた。

広場の真ん中には大穴、何かを掘りだしたような跡がある。


「・・・おい、レオ」


親父が何かを指さす。

その先には、小さな像が落ちていた。


「・・・なんだ、これは?」


それを拾い上げる。

金色の小さな女神の像だ。


「おお、女神様の像だな。なんで、こんなところに?」


隅々まで調べるが、何の変哲もない金の像だ。


「・・・?」


だが、何か・・・引っかかる。

コトハに見せてみよう。


――――――――――――――――――――


実家では、コトハとお袋が料理の仕込みをしていた。

こっちに気づいたコトハが近づいて来る。


「おお、主様。どうしたのじゃ」


エプロンを外し、こちらに向かってくる。


「ああ、ちょっと見てもらいたいものがある」


「?」


首を傾げるコトハ。

その目の前で、先ほどの像を取り出して、見せる。


「・・・む?」


それをじっと見ると、手にとって何かを確かめ始めた。


「・・・主様、これをどこで?」


「『ゴイアの腕』の奴らが、何かしてた後で見つけた」


「ほう・・・」


像をテーブルに置く。

そして、あることを話し始めた。


「これは、四大精霊の遺産・・・を示す像じゃ」


「遺産?」


「ああ・・・サラマンダー、ノーム、シルフ、ウンディーネ・・・。

 この大陸の守護精霊・・・これは知っておるの?」


「ああ、だけど・・・あれは伝説だろ?」


子供に聞かせるような、おとぎ話とかの話だ。

それの遺産だって?


「うむ・・・まあ、聞いてくれ。四大精霊は実在している・・・いや、いた」


「・・・いた?死んだって事か?」


「いや、存在が消えたのじゃ。丁度、ハントシーズンとやらが始まる頃にな」


・・・100年以上前に姿を消したって事か?

コトハは像を持ち上げる。


「四大精霊が消えた影響で・・・ハントシーズンが起こるようになったのかもしれん」


「・・・なんだか、難しい話だな!」


親父がそう言うと、コトハに向かって


「こうも考えられないか?誰かが四大精霊を消して、ハントシーズンを起こさせた」


「・・・そんなことして、得する奴がいるのかよ、親父?」


「それは分からん、だが・・・あり得ない話じゃないだろ?」


・・・まあ、誰かが意図的にしたというのはあり得ない話ではないが。


「で・・・コトハ、遺産っていうのは?」


「ああ、そうじゃったな。・・・四大精霊が消えた後、ある噂が流れた」


噂・・・?


「四大精霊の力を上回る、魔力を手に入れられる・・・石があると」


――――――――――――――――――――


石?

その石を手に入れたものは、その四大精霊の力を超える力を持つという事か?


「その石の地図こそ、この金の女神像・・・噂が本当なら、な」


じゃあ、コトハ自体は噂しか知らないという事か。

しかし、金の女神像があったのは事実。

・・・噂が現実味を帯びたな。


「しっかし、なんでそんなもんが村にあるんだ?」


親父がそう言う。

確かに・・・それもそうだ。

なんで、ボーペリアの片田舎にこんなものが。


お袋は全員にお茶を出しながら、あることを親父に話す。


「あなた、あの話って、ガセじゃないんじゃないの?」


「・・・あの話?」


コトハが食いつく。


「昔、この村に骨を埋めた英雄がいるのよ。ただ・・・墓も無いし、

 ガセなんじゃないかって、みんな言うんだけどね?」


「英雄・・・」


「ああ、その人は何かを守るために・・・ここで骨を埋めたってきくんだけどね?」


それが、この女神像?

コトハの顔が険しくなる。


「それが本当なら、わらわ達の前にあるこれは・・・とんでもない疫病神かもしれんぞ」


「どうしてそう思うんだ?」


「英雄と呼ばれるほどの者が、隠そうとしたものじゃ。

 ・・・もしかしたら、この女神像は、本物かもしれんな」


・・・コトハのその一言に、多少の不安を覚えた。


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