冒険者の仕事 館の調査 前編
マリーからの提案で、ハントシーズンが終わるまで、宿を借りれることになった。
後は、旅の路銀を稼いでおくだけでよくなった、
ギルドのボード前で仕事を探す。
討伐依頼がほとんどだが、中には通常通りの依頼が混じっている。
例えば、護衛や採取・・・迷い人の捜索などだ。
ハントシーズン中は出会った魔物を狩ることで給料を得る時期になるが、
通常通りの依頼を張ってはいけない決まりはない。
むしろ、通常通り給金を貰える分、得だともいえるのだが。
「・・・」
これといった依頼書が見つからない。
やはり、ハント中心の依頼書の方がいいか。
そう思い、受付へと向かう。
すると、ノイアが対応をしてくれた。
「あ・・・レオハルトさんですね。今日のご用件は?」
「ハントの情報を聞きたいんだが」
「・・・ええと、ハントですね」
隣の棚から地図を取り出す。
その地図にはこの周辺の事が書かれており、大きな丸が幾つも書いてあった。
ノイアはモノクルを掛けると、一つ一つ情報を書き始めた。
「レオハルトさん、情報は―――」
「おー!レオじゃないか」
後ろから、聞いた声が響いた。
ノイアさんが驚いている。
振り向くと、出入り口周辺にドギーが立っていた。
「ドギーか、おはよう」
「ああ、おはよう・・・で、早速仕事か?身体は大丈夫なのかよ?」
「おかげさまでな・・・働ける体力はあるよ」
とはいえ、無理をすればコトハに怒られるだろう。
その辺を注意しながら仕事を選ばないと。
「なら、いい話があるぜ?」
「いい話?」
・・・きな臭さを感じるが、聞くだけ聞いてみるか。
――――――――――――――――――――
「は?邸宅調査?」
「ああ、何でも・・・近くの誰も住まない豪邸に、魔物?が住み着いたらしい」
・・・豪邸に魔物が住み着いた?
「ところが、何度冒険者が見て回っても、何も出てこない。
魔物の影すらないらしい」
「じゃあ、なんでそんな話が出てくるんだ?」
「・・・夜中になると、奇妙な声が屋敷中に響くんだと。
でも、誰も解決できないから、依頼書も張られっぱなしだ」
そう言って、ボードを指さす。
しかし、それって、魔物というより。
「幽霊の類じゃないのか?」
「それが分からないから、ずっと張ってあるんだよ。報酬額を見たか?」
・・・ボードを注視する。
確かに、ドギーの言った邸宅調査の依頼書が貼ってある。
・・・報酬は、金貨2枚。
かなりの高額だ。
「家の持ち主が、建て替えたいのに・・・業者が怖がって出来ないんだと。
しかも、誰も解決できないから、金額を振ってでも、解決したいんだろうさ」
なるほど、金持ちからの依頼か。
それで、さっさと立て替えたいから値段も高い、と。
ドギーは持っている依頼書を一枚、こちらによこした。
「興味ないか?ハントシーズンだからって、ハントだけが仕事じゃないだろ?」
身体の調子もある。
戦う必要がないのなら、受けてみるのも一興か。
――――――――――――――――――――
その、豪邸は・・・カルラス中央街の一角に立っていた。
周りは柵で覆われ、門構えも立派だ。
家自体も3階建て、豪奢で立派な建物に見える。
「・・・でけぇなぁ・・・?」
「ああ、探索するのも苦労しそうだぞ」
一日で終わるだろうか?
そう思いつつも、門に手を掛けた。
鍵は掛かっていなかったので、家の中にはすんなりと入れた。
中は埃っぽいが・・・。
「おいおい、こんなところを壊すのかよ」
「ああ・・・もったいない気もするな」
それほど、豪華な景色が広がっている。
近くのランタンに火を入れる。
それを片手で持ち、中の探索を始めた。
ドギーは右から、俺は左から。
この豪邸を二人で調べ上げるのは・・・。
「明日までかかるな・・・いや、明日でも無理かもしれないな・・・」
ランタンで一室を照らす。
・・・埃まみれのベッドと、机しか見当たらない。
「・・・ここも無し、だな」
その調子で、奥の部屋まで探していく。
やはり、埃の被り方といい、生き物の出入りはなさそうだ。
冒険者が調査しに来た時に新しくできた足跡ぐらいしかない。
魔物の足跡なんかないし・・・。
2階へ向かう。
階段には冒険者の足跡があったが。
うっすらと埃を被っている。
大分前に、調査したきりなんだろう。
2階の探索をするが、1階に比べると・・・荒れ具合が酷い。
壁は汚れ、床は軋んでいる。
所々にある扉も、どこか傷んでいるような印象を受ける。
床を踏み抜かないよう、慎重に歩きながら部屋を調べていく。
廊下の荒れ具合と同様に、部屋も荒れていた。
・・・それに、金目の物がほとんどないのも気になる。
「まさかと思うが・・・いやいや」
冒険者が盗んでいった、とも考えたが。
流石にそれは考えすぎか。
「・・・?」
気になる足跡がある。
冒険者のものだが・・・一方向にしか続いていない。
・・・出て行った形跡がない。
ランタンで、その先を照らす。
その先には・・・一枚の絵画が飾られていた。




