エピローグ:いや、確かにハーレムを望んだけど…
これにて完結です。
ここにいるのは俺ともう一人だけ…
木漏れ日がキラキラと光り、そよ風が吹くと木々の葉の心地よい音が聞こえてくる。
良い雰囲気だ。
本来ならこんなところで昼寝したら気持ち良いだろうが、今この場を包んでいるのは緊張感だ…
意を決して紡がれる言葉…
「大好きです。付き合って下さい。」
その言葉の後にそよ風が吹き、サァーっと音が鳴る…
****
俺達が魔族を倒した後、魔物の群れは統率を無くしたそうだ。
王都を攻めていた魔物達はそれぞれが散り散りになり、違う種族の魔物同士でも闘いが起こっていたらしい。
前線にいた冒険者達も深追いはせず、こちらに向かってくる魔物だけを倒して、逃げる魔物は放置したらしい。
どうして『そうだ』とか『らしい』と言っているのは、俺達が王都に戻る頃には魔物は居なくなって、怪我人以外は魔物の素材を取っている光景が広がっていたからだ。
解体された魔物達もいれば剣で斬られたり矢が刺さっていたり、魔法で焼かれたり色々な魔物達の死体が広がっており、まさに地獄の様な光景だ。
てか、死臭というか生臭いというか…とにかく臭い!
動物園のにおいってあるよね?
そのにおいを鍋で煮詰めて凝縮させて、そこに鉄錆びの様な血のにおいと肉の焼けた焦げ臭いにおいを混ぜこんだなんとも言えないにおいがする。
この世界の魔物の血も赤いんだなぁ…
現実逃避したくなる。
俺が読んでいた『俺TUEEEな異世界転生』小説やマンガではこんな描写は無かった。
…現実ってヤバい。
これ、この後ちゃんと処理しないと疫病が流行って王都は死の都市と化すだろう。
…もしかして、これも作戦の内?
目を覚ました魔族に聞いてみる。
「おい。魔物の死体で疫病を流行らすのも作戦の内か?」
「ふん!当たり前だろう!あ、痛てっ!え?言葉使い?はい、すみません。…いえ…ちょっと予想外でした…すごい臭いですね。」
…予想外のようでした。
ちなみに、皆が先に洞窟を出た後に生きていた魔族をちょっと教育した後は、たまに魔族の威厳を出そうとするが、基本的には大人しくなった。
顔はイケメンだし、色々と便利そうなんで俺の世話係みたいなことをさせようかなぁと思ったのだ。だってイケメンだし。
俺は基本的には敵に対しても慈悲深いんだよ?
まぁ語尾に『ただし、イケメンに限る』が付くけど。
でも、この後の処理は本当にどうするんだろう?
「なあソフィ。この後の処理ってどうするんだ?」
「え、えぇ…。この後は私達神官や協会の皆さんで聖水をかけて土地を浄化します。解体された後の死体は一ヵ所に集めて魔法使いの皆さんで焼きます。」
ふーん。
「このにおいはどうするんだ?」
「聖水をかけるとかなりマシになりますよ。まぁ、死体を焼くときにどうしてもにおいは出ますけど。」
「そうなのか…。死体を焼くときは俺も手伝おう。超高温で一気に焼けばにおいもマシなはずだしな。」
「えぇ!是非お願いします!」
「ユーキ兄さん。さっきから気になってるんだけど、魔族って何で従順になってるの?名前とかあるの?」
ん?そう言えば、名前は聞いてなかったな。
「こいつが大人しくなったのは、情報を聞き出すときに拳でお話したからだな。置かれている立場を理解してもらえたようだ。そう言えば、名前はあるのか?」
「私ですか?もちろんありますけど!人間の皆さんには聞きとれないですし、発音も出来ませんね。近い発音で言うとガルバルディアスでしょうか?」
「長いからガルな。テイク2、はじめっ!」
問答無用で決める。
「私の名前はガルです。」
「「「「「(うわぁ…)」」」」」
「ミリィ、こいつはガルだそうだ。」
何故か皆に納得した顔をされた。
「ユーキ。ガルはユーキの宿の部屋に泊めるのか?」
「あぁ、その事なんだが、俺達かなり頑張ってるよな?」
「あぁ。ユーキの言う通り、絶対Bランクの依頼ではないレベルの無理難題を解決してきたと思う。」
「そうだねー…」「えぇ、そうですね…」
皆が遠い目をしながら俺の言葉に同意した。
「これ、報酬の一部として王都に家(拠点)を貰えるように交渉しても良いんじゃないか?」
「あぁー…それもアリだな。」
「そこのお手伝いさんに仕込もうかな?と。」
「この高位魔族である私をお手伝いさんなどとバカな事…喜んでやります!だから、その怖い顔をおさめていただけないでしょうか?」
「…ユーキはある意味すごいな…」
レオに誉められた。
その後アーネと合流して、王女様達は王城に、俺達はギルドに向かうのだった…
…
……
「ユーキ達か。今回の件、色々と助かった。ありがとう。」
ギルマスが立ち上がって頭を下げる。
「おぉ!俺、ギルドマスターに頭下げられちゃったぜ。すっげー変な感じ。」
「兄さん…変な事言わないで。」
「魔物の群れは片が付いたが、まだ忙しそうだな。」
ギルドマスターの目の下にはハッキリとした隈が出来ていた。
うわぁ…ほとんど寝てないんじゃねぇ?
「魔物達の死体の処理に冒険者たちの被害確認、冒険者たちへの報奨金に他のクエストの確認と調整…。やることはまだまだあるわい。」
…聞かなかったことにしよう。
「Bランク以上の冒険者達は戻ってきたのか?あと、侯爵はどうなったんだ?」
「冒険者達ならまだ戻ってきておらん。侯爵もまだ見つかっておらん。くそっ!本当にどこに潜伏しておるのだ!」
まだ侯爵は見つかっていないのか…。
その時クイックイッっと袖を引っ張られる。
「あのー勇者様?侯爵ならスタンピードが開始された時に、私が殺しましたが?」
ガルが俺の耳元で報告してきた。あふん♪気持ちいいから後でもう一度してもらおう。
って、えぇっ!殺しちゃったの?
「(おい、本当か?)」
俺も声を落としてガルに問いかける。
「はい。アイツ、無茶苦茶偉そうで鬱陶しかったんでつい。マズかったですか?」
「いや、そいつは別にどうでも良いが、侯爵が連れ出した冒険者達はどこにいるんだ?」
「そいつらなら作戦の邪魔になるので、スタンピードを起こす前に北の国境付近まで移動させて罠に賭けました。すべては死んでいないと思いますが、戻ってくるまでに後1週間はかかるんじゃないでしょうか?」
うそんっ!?
…。言わないわけにはいかないか。
「あー、ギルドマスター?その事なんだが、ちょうど今最新の情報が手に入った。」
「突然どうしたんだ?」
「侯爵死んでるわ。冒険者達も北の国境付近で罠にかけられたらしい。」
「なんだと!どういう事だ!」
「ちなみに、冒険者達は全て死なないと思うが、戻って来るまで後1週間はかかるんじゃないかな?」
「な・ん・で!なんでおぬしが知っておるんだ!」
ギルマスが俺の胸倉をつかんで激しく揺さぶってくる。
おぅおぅ…。きぼぢ悪くなっできだ…おえぇ!
「ま…待て、事情を説明するから…」
何とかギルマスから逃れる。
「俺と戦った魔族がそう言っていたんだ。」
「そういう事か。魔族め…侯爵は殺していいが、冒険者達になんてことを…。」
ギルマスはそう言った後、俺の後ろにいたガルに気が付いた。
「…ユーキよ。ところで、そこの蒼い肌をした頭に角をはやしている禍々しい雰囲気の御仁はどなたかな?」
「その魔族さんご本人の登場です。」
「な・に・を!やっとるんだー!!」
またギルマスに胸倉を掴まれて激しく揺さぶられる!もうやめて…(泣)
「いや、色々とあって…」
「王都の外に捨ててきなさい!」
「いやいや、コレを外に捨てるとまた被害が出るぞ?」
ギルマスはテンパっているなぁ。ちょっと萌えた。
「ハッ!!殺せば良いではないか!」
「ここで闘うと戦闘の余波で王都が滅ぶぞ?」
「ぐぬぬぬぬ…。」
おぉー、めっちゃ混乱しとるな。
別に王都の外に連れ出した時に殺せば良いのに。
まぁ、俺の世話係にするからそんなことはしないし、教えないけどね。
「とりあえず、冒険者を助けに行った方が良いんじゃないか?」
「そうだった!すぐに手配せねば!」
そう言ってギルマスはどこかに出掛けていった。
まぁ、良いけど。
…
……
後日、俺達は王城に呼ばれた。
王都の防衛で活躍したこと、そして王女と王子の婚約者を救出した功績で褒賞をもらえるそうだ。
今は目の前に王様が居るので、それっぽい作法で謁見している。
「面を上げよ。」
やっと前に向けられるな。
おぉっ!やっぱりだ!王子がカッコ良かったから、きっと王様もイケメンだと思っていたのだが、正解だったな!
ダンディーなおじ様ではないか!
これは目の保養になるな。
「そなた達のお陰で我が娘を救い出すことが出来た。礼を言う。王女よ、そなたからも礼を言うがよい。」
そういった後、王女と王子の婚約者が現れた。
…王子の婚約者の周りには色々なタイプのイケメンがいるんだが…。
何あれ?もしかして逆ハーレムってヤツじゃないの?めっちゃ羨ましいんやけど…。
くそっ!なんかムカつく!とりあえず睨んでおこう。
「勇者ユーキ様。この度は私をお救いいただき、ありがとうございます。」
何が嬉しいのか、すごくニコニコしながら王女がお礼を言ってくる。
あれ?何で王子の婚約者から睨まれるの?
「ユーキ様?ユーキ様はもう婚約者はいるのでしょうか?我が王家も元々は勇者様と同じ黒髪・黒目の人物でした。なので、同じ世界の血を引いています。王家と同じ血を持っていますので、王家との婚約が可能なのです。」
…なんか雲行きが怪しい。
何故かミリィとソフィが俺の両隣りに来て腕を組まれた。
王子の婚約者が俺を視線で射殺さんばかりにすごい形相で睨んできている。
…マジで怖ぇ…
「王よ!発言をお許しください。」
「ふむ、良かろう。」
「私は勇者等と言う崇高な人物ではありません。只の冒険者です。冒険者は日々その日を生きていくのに必死です。」
「で、あろうな。」
「もし褒賞をいたたけるなら、日々の生活を安定させるためにも、この王都に家をいただけないでしょうか?」
だから、王女様は要りません。
届け!俺の想い!
「まぁ良かろう。レオナルド、ミリアリア、ソフィアよ。そなたらもそれで良いか?」
「「「喜んで。」」」
「ふむ。では手配をしておこう。そなた達も両親が心配しておるのでたまには家に顔を出すがよい。」
「「「っ!…かしこまりました。」」」
ん?どう言うことだ?王様はレオ達を知っているのか?しかも両親まで。
そう言えば、レオ達は王子や王女の事を知っているようだったな。
普通、冒険者が王子や王女を見る機会なんて無いし、どう言うことなんだろう?
まぁいつか言ってくれるまで待っとこう。
…出来れば、レオのご両親に挨拶に行くまでには教えてほしいなぁ。
「では、これにて褒賞の儀を終了する。」
はぁ疲れた。
…
……
王城から出た所にアーネがいた。
どうしたんだ?
あ、戦場に行く前にアーネから話があると言われてたな。
「ユーキさん!!少し時間をいただけませんか?二人で話がしたいんです。」
そう言って、俺を連れていく。
「レオ達は先に行っててくれ。」
そして、王都にある落ち着いた雰囲気の公園に来た。
木々が計算されて配置されており、木漏れ日が気持ちいい。
「実はどうしてもお伝えしたいことがあります。」
あー、もしかして…
アーネが意を決したように覚悟を決めたようだ。
「大好きです。付き合って下さい。」
やっぱりなー!
「ありがとう。だがすまない。俺には好きなヤツがいるんだ。」
「あー、やっぱりなぁ。なんとなくフラれる気がしたんです。」
すまん。だけど俺、ゲイなんだもん。
男として男が好きだから、女は完全に対象外なんだよね。
「ユーキさん。ありがとうございます!言えてスッキリしました!」
「そうか。」
「だけど、私は諦めませんからね!まだチャンスはありますよね?」
いえ、申し訳ないですけどありません。
「その事なんだが…」
「いえ、言わなくても良いです!私、振り向いて貰えるように頑張りますから!では、またギルドで!」
そう言ってアーネは去っていった。
…何てこった…。
…
……
宿に戻るとき、レオ達がいた。
「ユーキ兄さん!アーネさんとは話をしたの?」
「ああ。」
「そうなんだ…。よし!ユーキ兄さん!私もユーキ兄さんが
好きだよ!」
「ユーキさん!私もあなたの事が好きです!」
ミリィとソフィに告白された。
え?マジで!?
「返事はいらない!でも、知っておいてほしかったの!」
「まだお互いをよく知ってないですし、ちゃんと私達を見極めて下さい!」
そう言って二人は部屋に戻っていった…。
「モテモテだな。兄としては複雑な気持ちだぜ。」
レオが呟く。
「ユーキ!」
レオが真剣な目をして俺を見る。
なんだと!もしかして、レオからも告白されるのか!
よっしゃ!バッチコイ!
「俺はアーネさんが好きだ!」
あれ?
「アーネさんがお前を好きなのはなんとなくわかってた!」
あれれ?
「だが、まだお前に結論は出てないようだな!」
ねぇ…ちょっと待って…
「まだ俺にもチャンスは残ってるわけだ!」
その先は言わないで…
「俺とお前はライバルだな!負けねぇぞ!」
そう言ってレオも部屋に戻っていった…。
好きな人からのライバル宣言…
うそーん!
違う!違うから!
確かにハーレム作りたかったんだけどね!
ミリィ、ソフィ、アーネのハーレムなんて望んで無いから!
俺、ゲイだから!
俺の欲しいのは男達のハーレムなんだー!
その日、俺は部屋で泣いた!
でも負けねぇ!
絶対レオもギルマスもガルも俺のハーレムにしてやる!
男達のハーレムを作るまで、俺は諦めんぞー!
そして絶対イケメン達と●●●するんだー!!
と言うわけで、ユーキの冒険はこれにて閉幕です。
見ていただいてありがとうございます。
まぁユーキ君は諦めが悪い子なので、きっといつかハーレムを作ると思います。
私もその諦めの悪さを見習って、キレイな女の子になって、良い男を捕まえたいですw
さて、初めて小説書きましたが難しいですね!
まだまだ勉強が足りませんorz
また時間が出来たら他のLGBTsのお話でも書いてみます。(プロットだけは作ったんですけどねー。)
その時はまたよろしくお願いします!




