第2話:冒険者登録!
「ここが王都か!」
イケメン戦士のレオとその妹ミリィ、レオの幼なじみのソフィの危機を救った俺は、レオ達に誘われて一緒に王都に到着した。
「ユーキ兄さん!ユーキ兄さんはギルドカードみたいなのは持ってないの?」
「ギルドカード?」
「あぁ…そうか。ユーキは山奥で修行をしてたんだったな。」
「そうでしたね。でも、私たちが保証すれば大丈夫じゃないでしょうか?一応、Cランクの冒険者ですし。」
ん?どういうことだ?
「すまん、簡単で良いから冒険者とかギルドカードとかCランクの説明をしてもらえないか?」
「ああ、俺達の様にクエストを受けて魔物を倒したり、素材を集めたりする事で生計を立ててる奴らを冒険者って言うんだ。ギルドカードは冒険者ギルドに登録している証で、身分証明になる。Cランクって言うのは冒険者としてのランクだな。」
「Cクラスと言うのは熟練冒険者として、ギルドに認められているランクなのよ。Bランクはギルドでもトップクラスの冒険者で、Aランクは世界でも数人しかいない冒険者なの。」
「そうだよー!あたし達はCランク冒険者パーティーで『金竜の咆哮』って名前なの!今回のクエストを完了したらBランクに上がれる予定だよ!でも、まさか帰りにオーガ亜種と遭遇するなんて思わなかったよ!」
「ああ、まさかBランクモンスターとはな…。魔物もランク分けされてるが、Bランクの魔物を倒すにはBランク冒険者が4パーティー必要なんだ!」
「なるほど、大体わかった。でも、なんでレオ達が保証すれば大丈夫なんだ?」
「熟練冒険者はギルドからの信頼がある証ですからね。多少は信頼してくれているんですよ?」
ふむ、Cランク冒険者は社会的に信頼があると言うことか。
「それは助かるな。すまない。迷惑をかけてしまって。」
「ん?あぁ、気にすんなよ!俺達も助けられたんだからな!」
「そうだよ!あたし達死ぬところだったんだから、全然迷惑じゃないよ!」
「そうですよ。では、門番さんに話をしてきますね。」
そう言ってソフィは王都の門番に駆け寄っていく。
王都は高い壁に囲まれており、中心の方に城がある。
やっぱり中世ヨーロッパみたいな感じなんだなー。
「そう言えばユーキ。王都に入ったらどうするんだ?とりあえず、お金は持ってなさそうだから俺達と一緒に行動しないか?」
「助かる。それと、俺も冒険者になりたいんだが大丈夫だろうか?」
「ああ、ユーキくらい強ければ問題ないさ。じゃあクエストの完了報告の時に登録しちまえよ!」
「そうだな。」
「ユーキ兄さんも冒険者になるの?だったらパーティー組もうよ!」
「おいおい、新人はFランクだろ?急には無理だろ。まぁユーキの実力的にはAランクくらいありそうだけどよ。」
「オーガ亜種一人で倒したもんねー!ギルドマスターに言って何とかならないかな?」
「まぁ試しに言ってみるか?」
「良くわからんが、ランクが上がった時は是非パーティーに入れて欲しいな。レオ達に助けられてるしな。」
それに、レオと仲良くなっていつか…ムフフ。
「ああ、俺もユーキには入って欲しいからな!」
「早く上がればいいのにね!」
…。
キタ━(゜∀゜)━!
なんだよ、レオも同じ気持ちなのか!
俺の好感度もそこそこ高いんじゃないか?
むふー、レオが『俺の中に入れて欲しい』って言ってくれればいつでもお相手するぜ!
「おい、ユーキ!どうしたんだ?急にそわそわして。」
「ああ、すまん。嬉しくてな。」
いかん、いかん。妄想しすぎた。
ちょっと落ち着かなくては。
「レオー、ユーキさんの件、終わりましたよ。?どうしたんですか?」
「ユーキが冒険者になるって言ったからな。ランクが上がったら俺達のパーティーに入って欲しいって言ってたんだ。」
「あら、素敵ですね。私からもお願いしますね。」
「私も私もー!」
「ああ、ランクが上がったら頼む。」
「じゃあ冒険者ギルドに行くか!コッチだ、迷うなよユーキ!」
「あ、じゃあ迷わないようにあたしが手を繋いであげる!」
「ありがとな、ミリィ。」
くっ!レオと繋ぎたかった!
まぁ急に距離を詰めたら怪しまれるか…。
少し残念な気持ちで歩いていると3階建ての建物が見えてきた。
「あれが冒険者ギルドだよー。」
「1階が受付と酒場だな。2階にギルマスの部屋がある。3階は資料室だな。」
「ふーん、大きいな。」
「ふふふ、じゃあ中に入りましょう?」
「ああ。」
ギルドの中は昼間から飲んでいる冒険者達がいる。
お!アイツ中々良い筋肉だな!
俺はレオみたいなジャニーズ系の細マッチョイケメンがタイプだが、ガチムチ系のタイプも嫌いじゃない。
ん?アイツは細いな…。魔法使いか?俺のタイプじゃないなー。
ゲイにも色々な好みがいるからなぁ。
男なら誰でも良いわけじゃないぞ?
オネェ言葉を使うゲイも一部だけだからな。
「レオさん、お疲れ様です。クエストの完了報告ですか?」
「ああ。これが討伐証明だ。」
レオが受付嬢に話しかけている。
おぉ、なんか知的な感じの美人なお姉さんだな。
おい、レオ!受付嬢の手をさわろうとするな!
レオの好みなのか?
くっ!やはりレオはストレート(ノンケ)だったか!
でも諦めん!ちゃんと理解して貰った上で恋人になってもらう!
「おーい、ユーキ!コッチ来いよ!登録してもらうんだろ?って怖い顔してどうしたんだよ?」
「いや、何でもない。登録だな。」
「初めまして、受付のアーネリアです。アーネとお呼びください。」
「ユーキだ。登録を頼む。」
「おいおい、表情が堅いな。アーネさんすみません。ユーキの奴、緊張してるみたいで。」
くそー!レオのヤツ、ヘラヘラして!
早く切り上げさせなければ!
「アーネリアさん、すまないが登録を早くしてもらえないだろうか?」
「すみません!そうですね、では登録を開始しますね。あと、アーネで良いですよ♪」
「しかたない、じゃあね、アーネさん!ユーキも終わったら俺達の所に来てくれ!酒場で少し休憩してるよ。」
そう言ってレオは酒場の方に行く。
「ああ。早く終わらしてすぐに行く。」
「ではユーキさん、こちらに記入してください。」
早く終わらせなければ!
「おいおい、アーネちゃん!そんな弱そうなヤツの登録なんてしてないでオレ達と飲もうぜ!」
なんか酒臭いヤツが乱入してきたな…。
ん?さっきのガチムチじゃないか。
酔っぱらっているのか?
「すみません。登録のお仕事があるので。」
「少しくらい良いじゃねぇかよー!」
「おい!俺の登録中だ。邪魔するな!」
早く終わらしてレオの所に行きたいんだ!
「あぁん?なんだ?オレとヤるのかよ?」
「ちょっと!彼は新人なんですから絡まないでください!」
「ヤるだと…?良いぜ!相手になってやる。」
ちょっとだけドキッとしたじゃないか。
「ユーキさんも落ち着いてください。彼はDランクですが実力はCランクなんです!」
「問題ない。どうせ冒険者登録には実技試験みたいなのもあるんだろ?コイツが代わりになってくれるそうだ。」
「調子に乗りやがって…叩き潰してやる!」
そう言って問答無用でパンチを放ってきた。
そっちがその気なら仕方ない。
俺は身体強化を発動して、パンチをくぐり抜け相手の懐に入り込む。
「消えただと!」
「えっ早い!」
ふむ、中々の筋肉だな。
…。
ちょっと押さえ込んでも良いよな?
だって相手から攻撃してきたもんな?
これは正当防衛なだけで、別に変な意味はないのだ!
そのまま相手の伸びきった腕を掴み一本背負いの要領で投げ飛ばす。
「ぐえっ!」
倒れた男に正面から抱きつき、さば折りの要領で締め上げる。
まぁ、大胸筋を堪能するのはついでと言うことで♪
仕方ないんだ!相手を殺しちゃうとダメだし、動けないようにしてるだけ!
「く…苦しい…」
「むはー、どうだ?まだヤるのか?俺は一向に構わんぞ?むしろ、根性を見せてみろ!」
頑張れ!
もっとだ!もっと粘れ!もっと足掻いてくれ!
「す、すまなかった!もうしない!だから離してくれ!」
「おいおい、まだイケるだろ?根性を見せてみろよ!」
…もう少しだけ…もう少しだけだから。
ハァハァ。
「た…助け…て…」
「静かにせんかっ!」
「ん?」
「ギ…ギルドマスター!」
ギルドマスターだと?
!!!中々渋めのオジサマではないか!
ふむ、冒険者ギルドのマスターだけあって引き締まった体だな。
顔も嫌いではない!むしろ好きなタイプだな。
「何事だ?」
「すみません!新人の登録中に絡まれてしまいまして。」
「そいつか?おい、そこの新人!もう離してやれ。そいつはもう気を失っとる。」
「ん?あ、忘れてた。」
くそっ、もう少しだけこの筋肉を堪能したかったのだが…。
「お前が新人か?…ふむ、ちょっと上の部屋まで来い。アーネはそこのを片付けとけ。」
「は、はい!ユーキさんもありがとうございました。」
「いや、こちらこそ暴れすぎたな。すまなかった。」
「いえ、助かりました。ギルドマスターの部屋は階段を登って左側です。」
はぁ、なんで急に呼ばれたんだ?もしかしてやり過ぎたかな?
それとも俺に興味でも出たのだろうか?
俺に惚れてくれたら良いのにな…ムフフ。
ギルマスの部屋にノックして入る。
「お主、名前は?」
「ユーキだ。ユーキ=ニノミヤ。」
「あまり聞かないような名前だな。それに黒髪・黒目か…。お主の国では普通なのか?」
「俺は山奥で生まれたから他は知らん。育ててくれたじいさんに聞かないとな。」
なんだ…やっぱりお誘いではなかったか…。
…少し残念。
「まぁそう言うことにしておこう。先ほど金竜の咆哮のクエスト報告書を見たが、オーガ亜種を倒したのはお主のようだな。」
「ああ。山奥でずっと修行をしていたもんでね。」
「オーガ亜種を単独で倒せる新人などおらんからな。悪いヤツでは無さそうだし、Bランクから始めてみんか?ただし、金竜の咆哮に入る事が条件だが。」
なにっ!めっちゃラッキーじゃねぇか!むしろコッチからお願いしたいくらいなんだが…。
「何を考えている?」
「なに、とある筋からキナ臭い噂を聞いたものでな。優秀そうなヤツを遊ばせておくのはムダになる。」
んー?王都なのに人手不足なのか?
「ここは王都だろう?AランクやBランクの冒険者がいるんじゃないのか?」
「生憎と侯爵家が指名依頼を出しおってな。Bランク以上の冒険者達は王都から離れておる。くそっ!侯爵のヤツめ!勝手にしてくれる!」
「なるほど。確かにキナ臭いな。まぁ良いだろう。その話に乗ってやる。」
おいおい、マジでキナ臭いな。まぁ俺はチート持ってるから問題ないけどな。
それよりも、ギルマスの印象を良くしておこうか。そしていつか俺のハーレムに入れてやるぜ!
「すまんな。ギルドとしても助かる。アーネに伝えておくから、後でギルドカードを受け取ってくれ」
「わかった。」
そう言って俺はギルマスの部屋をあとにした。
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<ギルドマスターの部屋>
「ふむ、黒髪・黒目か…。この国にはニノミヤと言う家名の貴族もおらんしの。かつて異世界からやって来た勇者と同じ特徴を持つ男か…。高ランク冒険者がいなくなった時に現れた勇者と同じ特徴を持つ男…。この王都で何かが起きようとしているのか…」
そう言ってギルドマスターはアーネにBランク手続きをさせるための書類を作り始めた。
それは不安な気持ちを忘れようとしているようであった。