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はじまり
ぽつんと道端に置かれた段ボール
『拾ってください』と汚い字で書かれた薄汚れた段ボールに、奇妙な生き物が入っていた
それは一匹のはずなのに、見方によっては二匹にも見える不思議な生き物
穏やかな笑みを浮かべている兎と思えばそう見えるし、眉間にシワを寄せたツリ目の狐かと言われれば、そうにも見える
兎にも角にも、奇妙な生き物がそこに入っていた
「私は一人でもいいのですよ」
そう言う兎の顔は少し寂しげで
「別に他の人なんて要らない」
そう言う狐の顔は心からそう思っているようにも見えた