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昊 Your color
ずっと、色なんて、無いと思ってた。
僕以外、どうせ全部黒色で。
全ては、多少ましかどうか。それだけだった。
いっそ、全て、墨汁で塗りつぶしてしまえば。
どうせ、いつか、全て暗黒に染め上がるのなら。
灰色の世界で、僕は、佇んでいて。
いつからだろう。
一つだけ、色が見える様になったのはさ。
見間違え。錯覚。幻覚。そんな陳腐な不正解ではなく。
はっきりと、明瞭に。漠然とした色味。
これが、僕の求めたものなのか。
それすらも、わからなくて。
愛着が、執着が、少し、わかった気がした。
赤い軍に身を投じる人。
青い春を追い求める人。
黄色いお菓子を集める人。
みんな、ただ、自分の生を、彩りたいんだ。
僕は、このために、生きてきたのかもね。
僕の世界で、たった一つの。
僕に、色を与えてくれた。色を教えてくれた。
ずっと、この色を、守りたい。
あなたにとって、僕は、どんな色に、見えていますか。