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宙 砂の器
たとえるなら、砂の器。
そこにあると思っていても、
気がつくと、手から流れ落ちてしまう。
たとえるなら、森の木の葉。
みんなとても似ているけれど、
それでいて、本当は少しずつ違っている。
たとえるなら、雲の塊。
遠くからならはっきり見えるのに、
近づくと、だんだん見えなくなる。
たとえるなら、偽の宝石。
みんな全然違うのに、
知っていて、同じ形になろうとする。
たとえるなら、海の水。
どこまでも深く続いて、
その奥に、何を隠しているのかわからない。
たとえるなら、陽の光。
焦がす様に照りつけると思えば、
あたたかく、そっと包みこむ。
そんな人たちから、私を見たら。
たとえるなら、何なのだろう。