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虚 不学天則 弌
不遂の物語を紡ぐは、幸と違うのではないか。
大方、未完で終わるというのに。
自ら紡ぐのではない、紡がざるを得ず、
自ら続くのではない、筆を休むを得ないのだ。
今日も星が生まれる。
無心に辺りを照らす彼らは、何を求めているのだろう。
不伝の物語を遺すは、誠と違うのではないか。
存外、誰も読まぬというのに。
誰かに託したところで、いずれ流れ去る。
誰かが継いだところで、必ず絶えるのだ。
今日も星が輝く。
無貌の顔を持つ彼らは、何を遺していくのだろう。
不毛の物語を棄てるは、安らぎとなるのではないか。
結論、執筆は苦を伴う。
自らの選択で、自らの筆を擱き、
自らの意思で、自らの物語を絶つ。
一度産まれた星が、すぐには崩れぬ様に、
握った筆は離し難く。
この晴間は、いつか、雨に変わるのだ。
小説の事を語っているのではありません。ただのたとえ話です。