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君恋しかりけれ

ばーちゃんの説明でだいたい理解できた

巫女さんが、この蛮行に到った理由とやらを


すると、あの巫女の格好のままで東京まで来たのか…ナタまで持って

良く途中で職質されなかったな


さて、これからどうするか

百家争鳴の脳内会議をしていると



正座して座り直した日菜乃が


「ねえ、貴方は雪音さんのこと本当に好きなの?

 子供の頃の約束なんでしょ?」


挑みかかるように問うてきた


「なんで?好きだよ」

「嘘ばっかり…か、身体とか目当て?」


ウソじゃないよ?

身体目当てに関しては疚しい気持ちが無いでもないが

だって仕方ないじゃない。男なんだもの!


だが彼女なりに真摯に向き合ってる以上は

ここは正直に答えるべき




「愛してる。とまでは言うつもりはないな。まだ再会したばかりだしね」


「ほーらね」


勝ち誇ったように日菜乃




「でも恋はしてる」


「小さな頃の夢を何度も見る。

 向日葵畑の中に綺麗なお姉さんがいて優しく笑ってるんだ」


「幼さの恋い焦がれかもしれないけど

 俺は雪音さんに間違いなくあの時から恋してる」


いかん、俺は想像以上にクサくて恥ずかしいことを

だが恋してる。何も間違ってない。うん



「は?」


「私も旦那様に恋してる」


日菜乃の素っ頓狂な声に雪音さんの言葉が重なる


「へ!?」


突然の不意打ちを食らった日菜乃は動きが固まる


暫しの間、俺と雪音さんは無言で見つめ合う





「ふははははははははははは」


成り行きを黙って眺めていたばーちゃんが大笑する


「身内の、この婆の前でそんだけ小っ恥ずかしいこと抜かせりゃ一人前の男だ」


「日菜乃さん。雪音さんを本当に好きなら、その意思を尊重してやっておくれ」

「この婆の一生のお願いじゃ。どうか二人を添わせてやって欲しい」


ばーちゃんは向き直り日菜乃に深々と頭を下げる




「姫神の巫女さん」

「どうか俺が雪音さんと一緒になることをお許し下さい」


俺は雪音さんを祀る姫神の巫女としての

日菜乃に頭を垂れる



「巫女殿。私も此の方と添いとうございます。どうぞお許しを」


雪音さんも俺の隣で頭を下げる




暫時の沈黙




「こ、これで反対したら私が悪者じゃないですか……」



あー恥ずかしかった



「でもね…雪音様泣かすような舐めた真似しやがったら」

ナタを構える日菜乃


「誓ってしません サー!!!」



てか眠い

安心したら眠くなってきた

何時だよ…


こいつら仕方ないから今夜は泊めるとしてもだ

布団が足らんな


俺がキッチンで寝るか


「そろそろ寝よう」


ニヤリと笑うばーちゃん


「いやらしい」と汚物を見る眼の日菜乃


頬に朱を差してもじもじする雪音さん


「あー…キミたちが何を想像したのかは概ねわかるが 

 この場合の寝るは睡眠を意味するのだと理解してくれたまえ」


せめて金曜日に来てくれよ!

てか未成年の娘も部屋に泊めて大丈夫か俺?


まあ明日に帰すにしても何にせよ

巫女装束で帰せんわな

なんぞ着替えを買ってやらねば


「それよりお泊まりセットだ

 これからどっかに買いに行かなきゃな」


まさか俺のワイシャツとかTシャツ着せるわけにも…

できたら着て欲しいよネ

 

俺が財布の中身を確認してると雪音さんが


「お任せ下さい旦那様」

「このようなこともあろうかと斯様なものを準備して参りました」


と雪音さんが巾着から取り出したのは2枚の真新しいキャッシュカード

しかも農◯と郵◯だ


てか雪女って口座作れたんだ…

すげえな!◯協と◯貯!


そんな事に感心している時に

ポケットの中のスマホが着信を知らせる


従兄弟の貴兄だった


どーやら、まだまだ寝られそうにはない

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