巫女と雪女
ところで俺は何時寝られるのだろう?
明日も会社なのだが
残業してアパートに帰って来て
いきなり嫁が出来たと思ったら
暴力巫女の来襲によって命の危機に陥る
まとめてみると人生ハードモードが数時間の間に起こってる
我ながら誠にエキサイティングな人生である
彼女の名は日菜乃
三条 日菜乃
幼い頃に俺と雪音さんの出会った
姫神の神社の巫女だそうな
もうちょっと人選べ。と厳重に抗議したい
「落ち着いた?」
愚図った子供をあやすように
巫女の背をポンポンと優しく叩きながら
雪音が問い掛ける
良いなあ雪音さん
包み込むような母性を感じる
どうやら落ち着いた様子なので
俺としては一つ言いたい
「俺はキミに自宅に踏み込まれる理由もないし」
「ましてや突然ナタを突き付けられる覚えなど無いぞ」
「そっちに無くても、こっちにはあるのです」
巫女に睨みつけられた
強烈な殺気を感じる
ええい!プレッシャーめ!
だが負ける訳にはいかない
すでに神経戦は始まっているのだ
「えっーと。日菜乃ちゃんだっけ?」
大人の余裕を見せつつフランクに接してみる
「キモい。名前で呼ぶな!ちゃん付けするな!」
…ほほう。このガキ
人が下手に出てりゃいい気になりやがって(ピキピキ
俺はお姉さん系には滅法弱いが
お前みたいなションベン臭いガキには、なーんも遠慮なんかせんぞ
人としての最低限の礼儀ってものを教育してやる
社会人としてな!
と、睨み据えて目で訴える
するとスチャと巫女にナタを構えられたので
「すいませんでした。三条さん!」と速攻で土下座して謝る
神経戦は力の行使の示唆の前に
あっさりと敗れ去ることになったのである
暴力反対!
「相変わらずヘタレじゃのー」とばーちゃんが呆れた様に呟いた
「あら、そんなとこも可愛いですよ」と雪音さん
そんなに褒めないで下さい
すると巫女はまるで汚物でも見るような目で俺を見ながら
「こんなのが可愛い?」
「目を覚まして下さいませ雪音様!」
まさか年下の巫女に
ここまで蔑まれ罵られるとはな…
俺の中にある未知の性癖の扉が開いてしまったらどうしてくれる!
困るでしょ!!
「私と一緒に村に帰りましょう」
雪音さんは雪女であってビルマのお坊さんではない
てか、まさか百合か?この娘?
「だっておかしいですよ!」
「雪音様は神社に祀られる神その人なのに」
「こんな男のとこに嫁ぐとか有り得ない!」
衝撃!雪女は女神様でもありましたとさ
てか、こんな男で悪かったな
雪音さんは優しげに
日菜乃の真剣な瞳を見つめて
「まだ不安?」
「そんな訳では…」
「貴女は、もう一人前よ」
?…2人の会話が見えない
誰か解説してくれないかなあ(チラッ




