表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/18

月夜と雪女

月の明るい晩だった


店を追い出された俺達は近くの神社へとやって来たのだった


玉藻が不審げに俺に尋ねる

「さっきのは何だったのだ?」

「パワーアップとかするのかと思って適当に念じてみたら

 あの有様になった。正直、自分が一番驚いてる」

「波を意思で変えられる?」

雪音は信じられないと言った顔で俺を見る

「そんな人間」聞いたことねえぞ」と童女が呆れる


「ははははははは!これが天佑か!我等の出会いは偶然ではなく必然か!」

突如として哄笑した玉藻は

俺に向き合い、まるで射抜くような眼差しで

「幾多数多の天意が神威が妖魔たちが


 お前を助けようとする

 お前に手を貸そうとする

 お前の愛を求める

 助勢を 助力を 従属を を与えんと欲する

 その気になれば、人の世を 天地あめつちの世を統べることさえできる


 さあ、我の手を取れ ヒトの子よ

 我に命じよ

 さすれば我は喜び勇んでお前の膝下へ跪く

 我を愛せよ

 さすれば我は泣いて縋ってお前の愛撫を懇願する


 さすればお前は全てを手に入れられる」


「これは我なりの愛の告白だ!

 雪の姫神か?金毛白面の禍つ神か?そなたの好きな方を選ぶがよい!」


俺に選択を迫ってくる

そんな事いきなり言われても・・・一介の社畜には荷が重すぎるわ!


「・・・気持ちは嬉しいけど

 俺はそんな大それた器じゃない」


雪音さんの手を取る

「雪音さんの事はずっと優しくて綺麗なお姉さんだと思ってた」

「でもホンの少しの間だけど一緒にいて泣いたり笑ったり怒ったりヤキモチ焼いたりして・・・」

「それを見てるとすごい幸せ感じたんだ」

「だから俺は雪音さんと生きてく!」







「そうか・・・やれやれ振られてしまったか」

「ではな」

「良いのかよ?」


「・・・・」

「・・・・」


「雪音さん」

「・・・はい」

「帰ろ。あの部屋に」

手を繋いだまま歩き出す


そして神社の御神木の前まで来ると俺は・・・

雪音さんの前に立ち肩にそっと手を載せる

「はい?」


雪音はちょこんと首を傾げる

彼女は鈍かった

だが、ここで引く訳にはいかない勇気を振り絞って尋ねる


「・・・あの、・・・キスしてもいい?」


一瞬、あっ!とした顔をした雪音だが

コクリと頷くとそっと目を閉じる

(ホントにわかんなかったんだ・・・)


月の影が御神木に映る

影はそっと近づきすぐに離れる


(な、なんて声かければ良いんだ)


ポーッとしていた雪音さんだが俺の腕にそっと腕を絡ませてくる


「ね、帰ろ」

嬉しそうにそう言ってきた


月の光に照らされた参道を二人でゆっくりゆっくりと歩く

強く弱く指を絡ませ合いながら

それはそれは、とても幸せな時間だった






こうして部屋に帰ってきた俺達はもどかしく玄関の鍵を開ける



「遅かったな?」

「どっかシケ込んできたのか?」

そこにいたのは先程別れたばかりの玉藻と童女だった


「諦めたんじゃ・・・」

「ではな。とは言ったが「諦める」などとは言ってない」


当然のような顔で茶を啜る

そしてニヤリと笑って俺にではなく雪音さんに向かって


「それに言ったであろう?他人ひとのモノなら欲しくなる。と」


その言葉に雪音さんの眼がスッと細くなる

部屋は、たちまちの内に氷点下の世界へと変貌する


「ならば私が諦めさせねばならないようですね・・・」

「やれるものならやって見よ。この生娘めが」


玉藻から人間の俺ですら感知できるような凄まじい妖気が立ち昇る


「ケンカはやめよう?ね?二人とも冷静に冷静に」

冷や汗を垂らしながら必死で止める俺は

頭の片隅でこう思っていた


おそらくは、これさえも酷く幸せな日々なのだろう

俺は間違いなく幸せな男だった



終わります。

なにぶん始めての小説。そして投稿だったので

分からないことばかりでしたが

非常に勉強になりました


こんな駄文雑文にお付き合い下さいました皆様には

限りない感謝を


この経験を次回へと活かせるように努力してまいりますので

何卒、ご容赦のことを

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ