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雪女の嗅覚

気を取り直しておウチに帰ろう

そうだよ


犬にでも噛まれたと思って今の事は忘れよう

そうしましょ




こえー!

余計なお節介すんじゃなかったー!


真夏の暑くねっとりした空気の中を

全力疾走でアパートの部屋まで帰る


この扉を開ければ、そこに俺の安らぎがある

そーですとも!


「た、ただいま!」


そこには三ッ指を突いて俺を出迎える雪音さんが居た


「御帰りなさいませ。旦那様」


心なしか瞳を潤ませ弾んだ声で迎える雪音さん

キミも期待してるんだね?今夜のことを!


「お、遅くなってごめんね」


俺の鞄を笑顔で受け取りながら雪音さんが尋ねてくる


「夕餉になさいます?湯浴みが先かしら?それとも…」


そこで言葉が途切れ

「…他の女の匂いがします」と冷え冷えとした声が…


いやあああああああああああああああああああああああああああああ!!!


雪音さんの瞳孔が開いてる!開いてるよ!


しかも玄関の温度が急速冷凍状態に!

霜張ってるよ!霜が!


てか、すげえーよ!

雪女の嗅覚!


俺は必死で己の無実を訴える


「あのね雪音さん!これには深ーいオカルトちっくでホラーな理由があるの!」

「ねえ!聞こえてる!雪音さんてば!」




雪音さんは茫然自失の体でペタリと玄関に座り込んで動かない


が、暫くしてピクっと動き出すと

のろのろと部屋の中へ向かい

巾着からスマホを取り出し何処かへ掛ける


誰に掛けたのは直ぐにわかった


「ぐすっぐすっ…あのね日菜乃ちゃん。聞いてくれる?」

「私ね、もう浮気されちゃったの。わたしの何が悪かったのかしら?」


やめて!暴力巫女にそんな事報告されたら

マジでボクの命がピンチなのー!!!


通話が切れたのか

座って、しくしくと雪音さんが泣いている


雪音さんの感情の高ぶりに比例するかのごとく

部屋が冷凍室になっていく!

あまりの寒さに震えが出る


すると俺のスマホに着信が


(暴力巫女)からの着信表示されてる


絶対に、こいつも誤解してる!


覚悟を決めて出る


「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!」


耳がキーンとした

日本語でおk


「誤解だ!俺は浮気なんかしてないぞ!」

とスマホに怒鳴り返す


「誤解も六階もねーのよ!あんた雪音様泣かして生きられるてと思っての?!」


お前ら人の話聞けよ!頼むから!

もういいわ!ピッとこっちから通話を切る


とにかく雪音さんを宥めて落ち着かせる


「浮気なんかしてないよー」

「ボクは雪音さん一筋なんだよー」

「知らないヘンな女に帰りに絡まれただけなんだよー?」


やがて雪音さんが涙目で「ホントに?」と

よーやく落ち着いてくれた


…疲れた




結局、同じ部屋で寝るのは室内遭難の恐れがあるため

雪音さんとは別々の部屋で寝た


ですよねー(泣

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