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魔性

実質ここから本編

遅くなったけど会社の帰りー


邪魔者どもは全て村へ帰った


ふふふふふふふふふふ

笑いが止まらない


今日から嬉し恥ずかし雪音さんとの

二人だけの甘いあまーい同棲生活が始まるのだ!


(お食事ですか?お風呂ですか?そ・れ・と・も・わ・た・し・?)

うはー妄想が広がるー


思わずスキップ スキップ ランランラン

…いい歳した大人がこんなことしてるとバカみたい


駅からアパートへの近道の坂道の階段まで来ると

ギャルっぽい娘が階段に座ってスマホを見ていた


お、パンツ見えそう

しかし、そんなものはどーでもいいのだー

俺には雪音さんがいるもんねー


と軽やかな足取りでギャルの横を通り過ぎて数段駆け上がる。と

そのままバックでギャルの後ろまで戻る


「おいガキ。親が心配してるからとっととウチに帰れ」

「あとな。そんな格好してるとパンツ見えるぞ」


「あ?」

ウザそうな眼で俺を睨むギャル


「なんだよ兄ちゃん、あたしのパンツ見たいのか?」

「もしメシ奢ってくれんなら見してやっても良いぞ」


「ぶぶっぶー。乳臭いガキのパンツなんか興味ねえよ」

雪音さんの襦袢姿なら見たいけどな


「んだよ貧乏人かよ…お前こそとっとと失せ…」


言い掛けてジッと俺を眺めるギャル

「兄ちゃん面白い波してんなぁ」とニタリと笑う


こやつメンヘラも入ってるのかよ?


「よし!気に入った!あたい兄ちゃんち行ってやんよ」

ナニイッテンのこいつ?


「すごーく、いい思いさしてやんぜぇ」


俺の胸元に指でなぞるように「の」の字を描く

ガキのくせに異様ななまでの色気

ゾクリとする


「ゴメンね。ボクお前なんかと違って清楚で綺麗な人と住んでるからお前連れていけねえわ」


ギャルはクンクンと俺の匂いを嗅いで

ニマッーと不気味な笑みを浮かべる


「へっへー。そいつ人間じゃねえだろ?」


ビクリとする

「な、何のことかなー???」


「隠すなよ。あたいにゃ分かんだよ」


…眼が怖い

このギャルから途轍もない魔性を感じる

まるで蛇の前へと引き出された蛙の気分だ

全身から嫌な汗が吹き出す


その時、、階段の上からシャリーンという金属の音が響く

「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前」と朗々たる破邪の文言が聞こえてくる


するとギャルは

「ちっ…しつけえなぁ」と呟き

「しかたねえか…」


俺の頬に舌を這わせると

「またな兄ちゃん!ははははは」

捨て台詞を残して夜の暗闇へと消えていった




ようやく身体の自由が効くようになる

そして階段の上を見るとそこには誰もいなかった



…何これ怖い


雪女と同棲してて、こんな事言うのもアレだが

俺はホラーが嫌いなんだよ!

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