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浮かぶ黒
どこへ行くのだ、と。聞こえた気がした。
嫌な汗が背中を流れて、急いで振り返る。けれどそこには何もいなかった。ただ、この先と何の代わり映えもしない塀と赤が影を塗り潰さんとしているだけ。
ひっそりと息を吐いて、進まなければと前に向き直った。と。
「どこへ行くのだ」
同じ、音だった。ぎらりと輝く何かの瞳が、僕をただじっと見詰めていた。
紅い景色の中に立ち尽くすのは、真っ黒い何か。じっと、ただじっと見詰められていた。
どこへ行くのだ、と。聞こえた気がした。
嫌な汗が背中を流れて、急いで振り返る。けれどそこには何もいなかった。ただ、この先と何の代わり映えもしない塀と赤が影を塗り潰さんとしているだけ。
ひっそりと息を吐いて、進まなければと前に向き直った。と。
「どこへ行くのだ」
同じ、音だった。ぎらりと輝く何かの瞳が、僕をただじっと見詰めていた。
紅い景色の中に立ち尽くすのは、真っ黒い何か。じっと、ただじっと見詰められていた。
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