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三叉の槍
一つ一つのシーン毎に進んで行きます。
暫く一本道を行けば、三つ。それぞれが何処かへと通じているはずなのに、そのどれもが赤に塗りつぶされていた。
一つ、僕の左手側に続く道は、辛うじて河原沿いだと言うことが見て取れた。いっそ痛々しいまでに夕陽を跳ね返している河には、魚がいるようには見えない。
一つ、目の前に広がる道は、左右を高いブロック塀が囲う。その上から僅かに覗くのは瓦屋根。ひっそりと、何かが息付いているように思えた。
一つ、僕から見て右に進む道は、何処か廃れているように感じられた。コンクリートはぼこぼこと剥がれ、草が生えている。このまま行けば、使われなくなった建物にでも辿り着けるのかもしれない。
一体、何処へ行けと言うのだろう。迷う気持ちと、けれど引き返せない気持ちでいっぱいになる。
じりじりと、後ろを振り向けば付いて来ているのは僕の影だけだった。
けれどそれがとても気味が悪いことに思えて、僕はそっと路地に潜り込んだ。高い塀の上には、ぽつりと白い雲が浮かんでいた。