夕陽の街
何処と無く、とある診断のような雰囲気です。
夢現。目の前に広がる紅い赤い地平線をぼんやりと、僕は眺めていた。
漠然と、この奇妙な光景から逃げ出さなければと思うのに、けれど手段はどこにもなかった。
だから僕は、ただひたすらに歩き続けるしかなかった。何があろうとも。
夕陽の街と、僕の話。
気が付けば、公園の砂場は赤く染まっていた。人っ子一人いないその公園の、ブランコで僕はそっと揺られていた。きこ、きこ。
ここに来た記憶は、ない。それまで一体何をしていたかも分からない。ああ、僕は、誰なんだろうか。
と、不気味な風が葉を揺らして、それに背筋が凍った。ここは、なんだか嫌なところだ。何もかもを失いそうな、そんな気がした。
何かに急かされるように立ち上がれば、きいっとブランコが鳴く。それさえも恐ろしいものに思えてならなかった。
緋の公園。誰もいないのに、誰かがいる気配だけがひっそりと。足音さえないそれは、何処かからじっと僕を見つめているようだった。気味の悪い視線は、多くはない。けれどそのどれもが、じとりと肌を濡らすような、嫌な湿度を持っていた。
早く、何処かへと行ってしまおう。
股程の高さの柵を越えてから公園を振り返れば、長く伸びた僕の影と、いつまでも揺れ続けるブランコが見えた。