第十一話
「そんなに激しく表情変えないで下さいよ。かわいいですね」
意識していなかったが顔に出ていたらしい。
さっとスマートに表情をつくる。笑顔、笑顔、対人関係は笑顔が基本よ、ニコニコ。
あれ?それより、今お姉さん、かわいいって言った?
ダンディな男を秘かに目指している俺にかわいいですととおおおお!
許せませんなぁ、硬派で渋い高校生筆頭の私をかわいいとは、まっこと不快な気分ですぞ、ぐぬぬぬ。
「そういえばあなた、あの足踏みしていた綺麗な子の横にいたでしょ?」
ほう、このお姉さん、東堂さんのイラつきステップに気づいていたようだ。
でも、それなら絶対いいイメージを持っていないような。
「そうですが、それが何か?」
「ふふふ」
何かを悟ったかのようにクスッと笑う彼女。
本当、何を悟ったんですか?
「どうしたんですか?」
「彼女、すっごく怒ってたよね?」
「はぁ~、確かに、そのような事もあったような。気づきませんでしたが」
一応ぼかす、この天使の協力は必須だ。東堂さんの傍若無人な態度で俺が大変な事になるのは避けなければ。
「ねぇ、あなた、彼女とどういう関係なの?お姉さん、聞きたいな。聞き、たいな」
「はぁ?」
いや、はぁ?である。心の声、マインドボイスである。
「だって、あなたたち、授業中に教室から離れて二人でベッドの上にいたんでしょ。お姉さん、知ってるんだよ」
その「分かってます」感満載のドヤ顔。
「ざます」と叫んで、パチンっとそのほっぺをひっぱたきなるが我慢。
「ただのクラスメイトです」
「ねぇ、どうやって彼女とそんな関係なったの。お姉さん、知りたいな」
いや、なにもないのですが・・・本当に。
っていうか、私の答えガン無視ですよ。それにこの天使?そんなこと知ってどうするのだろう。近所の謎の知識欲旺盛おばさんか?
「ただのクラスメイトです。それより、その本の使い方を教えてください」
そう、話が中断したが、今はそもそもお姉さんがくれるらしい本の能力説明中だ。
そっちが優先であろう。
「そうだったね。でも、だめですよ。教えてくれないと話しません。等価交換です」
いとうざし。さっきはそんな条件なかったはず。
後づけしやがったよ、このお姉さん。天使の恰好ですが悪魔ですな。
「なんでそんな事聞きたいんですか?」
「いいじゃん、いいじゃん、教えてよ」
うほっ!超絶馴れ馴れしくなってきたよ。
しかも、俺の肩を指でツンツンしだしたよ、この女。
その刺激が良い感じにイラつく強さとリズム。
だが、ここは適当に答えて早く次の話に進むべきだろう。
それなら特大のをぶちこんでやるわい。
「あいつが俺の事大好きで付き合って欲しいって毎日言ってきて、土下座までするからしょうがなく付き合ってるだけですよ。全く、授業中も求めてくるんで、しょうがなく保健室でいたしておったのですよ。ほほほ」
どうよ、一度は言ってみたかった超絶モテ男のセリフをドヤりましたよ。
心がもぞもぞして落ち着かないけど。
「やっぱりそうなんだ。お姉さん、知ってたよ」
「え?・・・はい?・・・え」」
え?いやいや、今の所だ「何バカっているのwww」って突っ込むところですよ、お姉さん。そんなさも当然のように納得しないで下さいよ。あなた、俺俺詐欺に騙されますぜ。
だが、面倒なので。
「さすがお姉さん、ばれていましたか。ははは」
「あったりまえよ」
「それで、本の事を教えてもらいたいんですが」
「いいよ。私は約束は守りますからね。知りたいですか、そんなに知りたいですか?」
同意を求めるように頭を振る彼女。
ここで「知りたくない」と言ったらどんな反応するか興味があったが、面倒なので却下。
「はい」っと呟く。
「よくできました!花丸です」という感じで頷くお姉さん。
「それでですね、この本の本当の能力は・・・」
きました毎度恒例のため。
一応のっておきましょう。
「その能力とは・・・」(←迫真の声)
「そこに絵を描くとその事が実現します!」
「え?」
えええええええええええええええええええええええ!
なんか、すっごい漠然としてるけど、それ凄くない。
デスノートより普通にそっちの方がグレイトでしょ、うん、そっちの方が凄いでしょ、普通に。だって絵書けば、名前分からなくても殺せるんでしょ。
「色々制限ありますけどね。それにかなり精密に書かないと能力発揮しませんから、使いきれない人がほとんどですね」
「具体的に、どれぐらい精密に書く必要があるんですか?」
「そうですね~。私が使うから見ていてくださいね」
「おう・・・はい」
興奮してついため口になってしまったので訂正。
お姉さんは本についているペンを取ると、俺を見る。
なんだ?俺を書くのか。
でもあれ、それってまずくないか?俺に能力発揮するって事だろ。
やばいって、やばいよ!まさかお姉さん、さくっと俺の事書いて消す気じゃないの?
きっと、証拠隠滅する気だよ。俺の死んでるリョナ画像書く気だよ、あの同人誌みたいに、きっとそうだよ、同人誌みたいにグログロにする気だよ。
オークに蹂躙されるのだけは止めて下さい、誠に!
だが願っていても現実は変わらない、行動あるのみ。
抵抗せずにむざむざと殺される黒タイツの犠牲者じゃない。
思わず首を振ったり、ブリッジしてせかせかと動く。
これならば、上手くこちらをスケッチできないはず。
俺の事を「?、こいつ大丈夫か?」っという顔で見つめるお姉さん。
その目線、見覚え有りますよ、ニヤリ。
マイシスターに毎日やられていますから、ドヤッ!
「何してるんですか?どこか痒いんですか?早く私の横に来てください。絵、描くとこ見せますから」
あっ、そういう意味なのね、早とちりしてしまった。
ちょっと恥ずかしいので、その動揺を隠すように頭をポリポリかく。そう、頭が痒かったんですよ。
それにお姉さんはそんなに悪い人じゃないって信じてましたよ、本当に心の底から。
お姉さんの横にいくと、中々いい匂いがする。
それに、つい大きく膨らんだ胸に意識がいってしまいそうになる。
我慢だ、今は能力の使い方を学ばなければ。
色香に惑わされている場合ではない、精神集中、集中!次、一本!
「いきますよ」
「はい」
お姉さんが絵を描く。それはリンゴの様だった。
あれだ、リュークが食っていたやつだ。
やっぱり天使もりんご好きなのかな、そんな神話あったしね。
しかも、かなり絵が上手い。これ、現実世界だと普通にプロ最上級レベルだよ。お姉さん何者?まるで写真を撮ったかのような絵だ。まじでよ、手に職持ってるお姉さん素敵!見た目しか能がないメンヘラと思っててごめんなさい。心の中でぺこり、ぺこりんこ。
「そして、こう呟くんです。――ドロップ――」
すると、絵の中からリンゴがでてきた。
うほ~い、でてきてしまいましたよ、りんごですよ。
イッツ、ア、アッポー。赤くてツルツルの球体よ!
にしても、本当に絵から物体が、魔法みたいですな。
それに書い本からはりんごの絵が消えていますよ。




