マリオデルマクタン死す
マリオデルマクタン死す
超未熟児マリオも3日目には走れるまでになったので外で遊ばせてやりたいがデミーの手前逡巡した。考えて2階のベランダに出した。強い日差しが心地よいのか仰向けになる。人間並みだ。ほとんどの動物が仰向けに寝ることはしないと聞く。外敵からの保身術であろう。手摺に乗せると木々青空が見える。片脚を上げて羽を後ろに広げるストレッチをやってみせる。デミーの雛の時分を思い出させる。顔もそっくりだ。
昼前になって隣の管理の息子がマリオが庭にいると教えてくれた。デミーがベランダから庭に飛んだのは孵化後1年であったから足を滑らして落ちたのであろう。幸い怪我もなく元気にしていたので一安心であった。ところが夕方になってマリオは食べなくなった。翌朝には冷たくなっていた。
庭に埋葬することにしたが当地はキリスト教に則り十字架を立てた。この様子は雛の埋葬と題してアップロードした。フィリピン人の死に対する観念はあっさりしている。死者を思うことはその時だけである。思い起こすことはあまりない。昨日まで動き回っていたものが死体となってもスープにしたら美味いのにと思っているようだ。死体は法的には物体であるが日本人にはそう簡単には割り切れない。生まれ出ようと殻を破りこの世に生を受けた雛は4日目には天国へと旅立ったのである。
死亡原因は滑落による全身打撲あるいは内臓破裂かも知れないが、母の愛を受けなかったことが最大の原因であるまいか。不憫である。