第1話:失恋
私には、恋より友情―――
私には、好きな人がいる。
加賀 竜也―――親友、愛海の彼氏
愛海とは元々気が合うほうで、好きなものとかが凄く似てる。
その結果がコレだ―――
別に親友の恋人を取るつもりは無いけど、やっぱりツラい。
それに……時々思うんだ。 なんで加賀くんと付き合っているのは、私じゃなくて愛海なんだろうって――― そんなこと言ったらイヤな子って思われるかも知れないけど……コレが私の本当のキモチなんだ―――
そんなコト思っていた時だった。
「ねぇ、戸田さん!!」
加賀くんが話しかけてきた。
私は、心臓が飛び出そうなくらいビックリした。
「な、何?」
私は答えた。
「昨日の英語のノート取った?」
「うん、取ったよ。」
「オレさ、昨日学校休んじゃってノート取ってないんだ…写させて貰って良い?」
「……良いよ!!」
この時、少し期待してしまった。
―――だって、私と加賀くんの席は決して近くないのだ。
それなのに、わざわざノートを借りに来たって事は、私に何か…特別な感情を抱いてるのかもしれない―――そんな儚い希望を抱いてしまう私がココに居た。
『諦めよう』そう思うのに、あんな期待させるから諦められない。
でも―――私は、友情を大切に…したい。
そうだ、告白しよう。
何故か私は、そんな事を考えるようになった。
―――親友の彼氏なのに…… 違う。 親友の彼氏だからだ。
親友の彼だからこそ告白して、きっぱり振られる。 そうすれば、加賀君へのこのキモチ…捨てられる気がした。
そして、運命の放課後…。
「戸田さん!!」
加賀君が来た。
「あ……あの、あのね…」
ヤバイ。 物凄く緊張する。
まぁ、それはそうだ。 なんせ、人生初の告白なのだから――― しかも、フラれると分かっている……。
「あの、えっと…私、私ね、加賀君の事が好き……なの。」
しばらくの沈黙……そして、ついに加賀君の口が動いた。
「えっと、知ってると思うけどオレは、愛海と付き合ってて……それで、愛海が好きなんだ。だから、戸田さんとは付き合えない。」
「うん、ゴメンね。 あ……りが…と。」
「本当に、有難う。」
そう言って加賀君は行ってしまった。
私は、涙をこらえきれなくて―――泣いてしまった。
やっぱり、スグには諦めきれないみたい……。
悲しくて、悲しくて……たくさん泣いた。
でも―――新しい恋を出来そう……そんな気さえした。
告白した事で諦めもついたし、前より少しだけ……ほんの少しだけ強くなれた気がした。
たった、1年の恋。
今、終了しました。
これはこれで……ハッピーエンド―――なのかな?
もしかしたら、スグそこに新しい恋が待っているかも知れない。
―1話:失恋 完―




