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対面 2

 ハンバーグ店を出て車に乗ると「ねぇ、いいところ知っているんですけど、行ってみませんか?」と、提案してきた。

「いや、でも、そろそろ帰らないと、家のお爺さんとお婆さんが心配するんじゃない?」

 哲郎が心配そうに言う。時刻は十九時を過ぎていた。

「大丈夫です。携帯で連絡入れておきましたから。」シンカイマコトは携帯電話を見せる。

「う~ん、そっか、せっかくだから行ってみようか。道はわかるの?」幸弘が運転席からマコトに訊ねる。

「えっと、取り敢えずわたしの中学校の近くまで行ってくれれば、あとは案内できます。」

「了解。」幸弘はギアをドライブに入れ替えて出発した。

マコトは車を三十分走らせたところから、道がわかったようで道案内を始めた。

マコトのいいところ、というのは中学校で流行っている心霊スポットらしい。

「廃病院なんですよ。未だに、メスとかが手術室に置いてあるんです。」後ろからマコトが嬉しそうに心霊話をする。

「うわぁぁ、嫌だね~、出るのはそこで死んだ患者達かなぁ。」哲郎は言葉とは裏腹に嬉しそうである。

「幽霊なんて、どうせいねぇよ。」幸弘は二人のテンションを下げるように言う。

「あ~、やだ、やだ。これから、心霊スポットに行くのにどうしてそうゆうことを言うの。もしかして・・・怖いの?」後ろから挑発的な声がする。

「ばっか。幽霊なんて信じてないって言ってんだろ。」

「ふーん、あっそう。後悔しても知らないですから。」

「えっ? どうゆう意味?」哲郎が嬉しそうに訊ねる。

「それは内緒です。」口に人差し指を口当てるマコトがバックミラー越しに見えた。


「なぁ~、随分暗い道になってきたけど、大丈夫なの?」ハンドルを握りながら幸弘が訊ねる。

「大丈夫だからそのまま進んで。」後ろから小さくマコトの声が聞こえる。

「本当に大丈夫なの?」

「・・・」

「ねぇ、マコトちゃん。大丈夫なの?」

「・・・」マコトからの応答はない。

「マコトちゃん?」幸弘はバックミラーでマコトを確認する姿が見えない。

「・・・えっ? おい、いまなんかいたぞ。」横にいる哲郎が叫んだ。

 幸弘は急いでブレーキを踏んだ。ギアをパーキングに戻す。

「おい、なにがいたんだよ。つーか、マコトちゃんは?」幸弘が哲郎を問い質す。

「しらねーよ。それよりなんかいたって、いま。」哲郎が幸弘の体を叩く。

「いてぇよ。それよりマコトちゃんはどうした。」幸弘が哲郎に訊く。

「知るかぁ、おれが。」哲郎は高い声を出した。

 幸弘の心臓の鼓動が速くなる。マコトが消えた。彼女は幽霊だったのではないかと頭に過った。

「マコ・・・」マコトを探そうと身を後ろに投げ出して探そうとしたら『わぁぁぁぁ』とマコトが下から現れた。「ぎゃぁぁっぁぁぁ」と悲鳴を上げ、勢いよく後ろに身を引く。ハンドルに背中を強打した。その衝撃で『プッ』とクラクションが短く鳴った。

 さらに頭に鈍い痛みが走る。「ぎゃぁぁぁぁぁ」哲郎の頭が横から飛んできたのだ。「ドン」幸弘と哲郎の頭がぶつかったのだ。

「痛えよ。」と哲郎に文句を言おうとしたら女の幽霊が助手席の窓を叩いていた。

「・・・ぎゃぁぁぁぁぁ」幸弘が悲鳴を挙げる。「えっ? どうしたの?」マコトが二人に訊ねてきた。

 幸弘が悲鳴を上げ、目を見開いたまま、指で助手席の窓を差した。そこを見た、マコトも幽霊の存在に気付き悲鳴を挙げた。



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