EP.3 ソフィア・ラ・クレスウェル
数分前
「次、受験番号16106番、16107番、16108番前へ」
俺か。俺の相手は...「第2騎士団所属イーサン・ミドルフィードだ。」「よろしくお願いします」
「それでは、試合開始!」
お互い構え、剣を抜「お前...なぜその剣を持っている!!」
「は?」「それの特徴的な持ち手、埋められている
ガーネットが証拠だ。言い逃れはできんぞ!」
「これは俺が報酬として貰った剣だ。」
「アンダーソン将軍の剣をこちらに返せ!貴様のような下民には過ぎた物だろう?まさか盗まれていたとは...」 何を言ってるんだ。これは俺があの金持ちから貰った剣だ。英雄は関係無いだろ。
「試合、始めないんですか?」
冤罪をかけられるのは気分が悪い。イライラする。
「黙れ!貴様!!」
大丈夫。いつも通り。心臓が熱くなり、魔力が増幅する。剣に炎を乗せて、「貴様ごときにアンダーソン将軍の」 一閃!
「なっ、」イーサ、なんだっけ?イタシアさんが
地面に転がった。「貧民街の奴らの方が強かったぞ」
「お前には剣、向いてないんじゃないか?」
首元に剣を突きつける。 反論も無いか。これだからお貴族サマは。そのまま首を...
「やめなさい!」 ピタッ
「これ以上は無意味です。あなたの実力は分かりました」「俺を煽ったのはコイツだ。命を先に賭けたのはコイツ。俺は乗っただけだ。」
本当に貴族で良かったなコイツ。貧民街なら8回は死んでる。「これは試験です。殺していたら失格でした。それに、貴方には話さないといけないことがあります」
あ、「アンタ受付の...分かった。俺はどこに行けばいい?」「ついて来て下さい。」
試験会場・医務室
試験会場を使うのは年一度。なのに、(こんな綺麗なのかよ)「改めて、私はクレスウェル侯爵家次女、ソフィアと申します。」
「最近の貴族は受付もするのか?」アルシアさんと比べるとまともに見えるな。いや、アルバートさんも
最初の5秒ぐらいは普通だったけど。
「通常しません。私が受付をしていたのは優秀な人材を勧誘するためです。クレスウェル家は現在人手不足なので」「俺に使用人になれって言いたいのか?」
断るけど。「大きくは間違っていません。貴方には
私の護衛になっていただきたくて」「断る。護衛は家直属の騎士から選ぶモンだろ?それに性に合わない」
「あなた、試験に落ちますよ」
「 脅しか?」「筆記試験に名前の記述が必要なことをご存知ですか?あなたの解答を見ましたが、
書いていませんでした。名前が分からないといくら
優秀でも騎士にはなれません。名前がないなら嘘でも何か書かないと落ちますよ」
え?...そうか!おそらく名前は最初に記入する物なのだろう。俺が解き始めた(カンニング)したのは後半から!それに名前は全員違うから見ても意味がない!
「そうか...」
終わったよ母さん、酒場のじいさん。一応ディエゴ。
「あなた、貧民街出身ですか?」
「だったら何なんだ。護衛にするのを諦めるか?」
「いいえ。名前が無いならあげないといけないと思って」コイツ...!
「名前ぐらい俺にもある。わざわざ名前をつけようなんて、貴族にも色々だな。イリガードさんは少数派なのか」
「イリガードさん? あぁ、イーサン・ミドルフィード子爵のことですね。彼は異常にアンダーソン将軍を尊敬してるだけですよ。貴族の中ではまともな方です」マジか...
「話を戻しましょう。あなたは私の騎士になりますか?なりませんか?」
どうする?
この得体が知れない侯爵令嬢のお守りか、ヘラレスとして貧民街に戻るか。
『幸せになりなさい』
分かってるよ。母さん。いつも俺を動かしてきたのは
この言葉だから。
「分かった。お前の騎士になる」
「はい、これからよろしくお願いします」
いつか見た絵本の騎士は確か、片足を引き跪く。
「...作法とか知ってるんですね。」
「あぁ、忘れてました。まだ名前を聞いていませんでしたね」
俺は、「ルカだ」
「よろしくルカ。あと、私は一応主人になるので敬語を使ってね」 「俺、敬語使ったことないけど」
「詳しいことはまた使いを送るので、定住している場所はありますか?」「あぁ、都市に1番近い貧民街にあるガイラ通りの近くの廃墟だ。家と呼べるかは怪しいけどな、怪しいです」
「それは敬語じゃないです。まぁ、分かりました。では今日はこれで。じいや行きましょう」「はい」コイツ、いつからここに!?
「って訳で侯爵令嬢の護衛になった」
「マジか。というかオレに言っていいのか?後、名前ぐらい覚えろ」「無理」