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Mx.sun  作者: 黒枝湊人
第1章 別れと出会い、そして別れ
2/10

EP.1 英雄 2つ目の出会い

この剣を手にしてから6年。

あの男は本当にこの貧民街を変えた。

死体が捨てられることもない。暴行を働いたものは騎士団に捕まった。飯だって週に1度あの男の会社が配給を渡しにくる。

今は少々治安が悪い街で済んでいる。

だから、出ていく必要などないのかもしれない。

なのに、


俺は素振りしている。

遺言なんて、守らなくても...


練習の後はいつもここだ。

「ルカ!お前もう来んなっていったろ昨日!」

「そんな真面目なのじいさんぐらいだろ。

ビールでいい」

「ったく…早死にするぞお前」

じいさんの方が先だと思うけど。そういうことじゃないのか。

「気を付けろよルカ。待遇が良くなったせいで、

色んなところから悪い輩が集まってる。」

「それはどこの貧民街もそうだろ?ここは首都に近いだけの場所だ。じいさんお代。」



いつも通り酒場を出ればそこには...

「よう、ルカ待ってたぜ」

「正解だな。中入ったらじいさん泣いてたぞ。

あと、名前呼ぶなディエゴ。」

お前のような顔からガラが悪い人間は入らない方がいい。

「後で覚えてろよ...じゃあ行くか!お前も来るだろ?暴力団の男が待ってるぞ」

「あぁ」


「やめろ」


誰だコイツ。ディエゴとか見てみろ。強面のくせして、体格の良さと謎のオーラで泣きそうだ。これじゃあさっきまでの強気な態度も台無しだ。


「悪事を働くのは勝手だが、その少年を巻き込むのはやめろ」

「いやいやいや、このガキは俺の仲間だ許可もとってる、だよな?」

その目を止めろ、ビビりすぎてるだろ。

「そうなのか?」

「あーはい。というか、俺と同い年ですよそいつ。」



「それはすまない!ここは最近治安が良くないからな

巡回に来ていたんだ」

「安し...困りますよ〜ここにもまともな人間ぐらいいます」

おい、敬語になってるぞ


「僕はアレス・アンダーソン、騎士団の団員をしている」


『!!』


俺の記憶が正しければアレス・アンダーソンという名は、


戦争を終わらせた英雄と同じ名だ。

にしては若すぎないか?まだ20代でもおかしくない。


「すみません、英雄に失礼を!!」

お前にはもうつっこまないからな。


「いいんだ。よく貫禄のない顔だと言われる。

ところで、君は巷で有名なヘラレスという男を知っているか?犯罪者を騎士団に送りつけてきているんだ。巡回も名目でね。」



え?



「へ、ヘラレスですか?き、聞いたことないです!!

女かも知れませんし、俺は会ったことないですもしかしたらもうこの街にはいないかと!」


もうお前は一旦黙れ!!!!


「そうか...協力ありがとう。それから少年、名は?」


「...ルカ」

「そうか、いい名だ。君騎士団の試験を受けないか?」

「え?なんでオレが?」

「受験は誰でもできる。8ヶ月後平民以下の人間は駐屯地に行く。待ってるよ」

「あ、ちょっと!」


「またね」








「   はあの子に剣を託したのか」

君なら、もしかしたら...





「オイ、どうすんだよ!?ヘラレスの正体がバレたらお前は...!」

「あの感じバレてないだろ。じゃなきゃ、俺に騎士団の勧誘なんてしない」

「どうするのか?」

「はぁ?暴力団の男が待ってるんだぞ。行くに決まってるだろ?」

「違う。騎士団の勧誘だ。お前オレを舐めすぎだ」

チッ、

「お前英雄の時と態度違いすぎるだろ。」

急に落ち着きやがって。俺の貫禄の問題か?

「当たり前だろ。友達の将来のことなんだ、真面目にもなる。オレはお前に騎士になって欲しい。正義感も強さもお前なら持ってる。だからお前は、」



「...お前よくここで生き残ってきたな。


今日はいい。引き渡しは適当にやっててくれ」


「あっ、オイ!!」



調子が狂う。ディエゴも、英雄も。

「ただいまー」

返事が返ってくるわけもない。

ここは数年前に見つけた廃墟。少々雨漏りが激しいが、裏路地よりはよっぽどマシだ。

ここを後数年早く見つけていれば、オレたちは...


「無駄な考えだな」


ディエゴだってあんな奴じゃなかった。

友達とか甘いことを言う奴じゃなかった。

母さんが死んで、金持ちの男と会って、剣を渡されてからずっとおかしいんだ。

前の俺ならヘラレスなんて名前で偽善者になんてならなかった。

勧誘だって、その場で「飼い犬なんてごめんだね」で

終わりだった。


『幸せになりなさい』


母さん、俺はこの感情を放っておけない。

放っておいたら、幸せになんてなれない!

だから、探しに行くよ。


外を眺める。

今日は月が見えない。

けれど、星は散らばっている綺麗な空だ。

昔は空なんて見なかった。けど...

「眠れない?そうねぇ... 空を見てみて!星と星を結べば...ほら、パンの形になったでしょう?」

「おかあさん、あれ!」

「ん、どうしたの?」

「こことここで...リボンになったよ!」

「あら、綺麗ね!おかあさんの髪に飾って欲しいなー」

「ほんものをおかあさんにあげるまでダメ!!」

「おかあさんはルカの気持ちが欲しいの」

「それでも...ダメ!!!」

「そっか...じゃあ大人になったら、プレゼントしてね?」

母さん、オレ16になったよ。

何を描くか決めないまま、星をなぞる。

その時流れたのは、









8ヶ月後...

「これより、入団試験を開始する!」





































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