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終わりと始まりのスタンピード  作者: べっちー
1/1

プロローグ

趣味で書いてるので、とりあえず今ある分だけ出します。

更新する予定はほぼ無いです。

正しい文法?伝わりやすい表現の仕方?クオリティ?そんなもん知らん。

良いという評価は普通に嬉しいですけど、酷評だけはやめてください。

容易く心が折れます。

あくまでも趣味なので悪しからず。


 だんだんと気温(きおん)()がり、湿度(しつど)上昇(じょうしょう)して()(あつ)くなる6(がつ)中旬(ちゅうじゅん)いま時期じきだれもがおもう。


あちぃ」

と。


「こういうときはクーラーガンガンで扇風機せんぷうきまわしてアイスをいながらゴロゴロするにかぎるよなぁ」

 おやにバレればわりだが、りょう誘惑ゆうわくにはてない。

 高校こうこう年生ねんせい夏休なつやすみ。けっしてひまではない。

 学校がっこうからされた課題かだいなど山積やまづみだが、もうすでおれ屈服くっぷくしたハラだ。

 そんなどうしようもないことをっていると、だんだんと眠気ねむけいてきた。

 クーラーつけっぱなしだが、まぁ寝落ねおちというのもわるくない。

「zzz」



 黒尽くろづくめの青年せいねんるうはかね身長しんちょうほどもある大太刀おおたち

 そのとなりにはおさなからだには不釣ふついなほどおおきな銃火器じゅうかきてき一掃いっそうする少女しょうじょ

 そしてかれらが相手あいてるは異形いぎょう魔物まものたち。

 青年せいねんがニヤリとわらうと、二人ふたりてきれにけてはしした。



「ん、んー……なんか不思議ふしぎゆめがする……」

 寝起ねおききのおれはそうつぶきながらべかけだったアイスにばす。

「…………は?」

 だがばしたさきにはアイスなど跡形あとかたもなく。

 そこにはどこかでたようなかたなかれていた。

「なにこれ。スゲ」

 違和感いわかんよりもかたなたいする好奇心こうきしんまさったおれかたなる。

加賀 真司(シンジ・カガ)神代級ゴッドかたな大和ヤマト所有者しょゆうしゃ設定せっていされました』

 唐突とうとつ脳内のうないひび無機質むきしつこえ

「これ……ゆめか?」

と、家族かぞく全員ぜんいん出払ではらっているハズのいえ二階にかいから物音ものおとがした。

「ま、まさか強盗ごうとう!?」

 二階にかいからは不審ふしん物音ものおと手元てもとには本物ほんものかたな

 だが剣術けんじゅつなどわせていない。家庭かてい事情じじょう武術ぶじゅつたしなんでいたが、けんなどにぎったことはない。真剣しんけんともなれば尚更なおさらだ。

「そうだ!警察けいさつ!」

 そうおもいつきさっそくスマホにける。

「110…………あれ?」

 スマホが起動きどうしない。どうやらバッテリーれのようだ。

「なんでだよ。充電じゅうでんしてたはずなのに……」

 焦っていると階段かいだんりるおとこえてくる。

「ま、マジかよぉ……」

 とびらまれたりガラスしにえる侵入者しんにゅうしゃかげ異様いようだった。

 いや、これは異様いようではない。異形いぎょうだ。

 突然とつぜんドアがくだける。周囲しゅうい木片もくへんとガラスへんらばる。

 破壊はかいされたドアのこうにたたずんでいたのは3mほどはあろうかというくまのようなけものだった。こころなしかくま周囲しゅういには瘴気しょうきのようなものがえる。

 ここは都市部としぶちか住宅地じゅうたくち付近ふきんにはくまどころか野生やせいけものすら確認かくにんされているやまなどない。こんなところにくまるわけがない。

うそだろ……マジでどうなってんだよ……まだゆめなのか?」

「グルルルル……」

 完全かんぜんおれのことをてきとしてているくま

「クソっ!なんかいつのにかクーラーも扇風機せんぷうきまってっけど!ずはテメェだ熊公くまこう!やるだけやってやろうじゃねぇか!」

 自棄ヤケだ。

「グルルアアアァァァァァ!」

「うおおぉぉぉぉぉぉぉ!」



 結果けっか(おれ)勝利(しょうり)

「ハァ…ハァ…ハァ」

「………」

 ハッキリ()ってなぜ(おれ)がこんなにつかれているのかわからない。


 二足立(にそくだち)ちになって()おれ頭部とうぶねらったくままえにしておれ気絶きぜつした。

 そしてめたらまえむねふかえぐられたくまたおれており、っていたかたなにはくまのものとおもわれるがベットリといていた。

おれが、やったのか?」

 うたがうまでもなく自分じぶんおこなったことだということは無理むりにでも理解りかいした。

「どうなってんだよ……」

加賀 真司(シンジ・カガ)は町熊の討伐とうばつ完了かんりょうしました。レベルアップを実行(じっこう)します。なお、加賀 真司(シンジ・カガ)神代級(ゴッド)〈刀〉大和(ヤマト)特異能力(とくいのうりょく)戦利(せんり)』により【全知(ぜんち)(もん)】【修練(しゅうれん)(もん)】【解析(かいせき)(もん)】【造形(ぞうけい)(もん)】【認識(にんしき)(もん)】を獲得(かくとく)しました。以上(いじょう)の【(もん)】の転写(てんしゃ)(おこな)います』

「は」

 またも無機質(むきしつ)(こえ)()こえたかと(おも)うと、鉄砲水(てっぽうみず)のように(あふ)れる脳内(のうない)情報(じょうほう)(うず)

 おれはそれに()まれ、精神的疲労(せいしんてきひろう)からの体力(たいりょく)消耗(しょうもう)(いき)()らしていたのだ。そして(こえ)にもあった【(もん)】のことだと(おも)われる模様(もよう)(ひたい)左目(ひだりめ)右目(みぎめ)周囲(しゅうい)左腕(ひだりうで)右腕(みぎうで)刺青(いれずみ)のように()ていた。さわっても感触(かんしょく)がない。麻痺(まひ)しているのだろうか。

 よく(おも)()せば、()たような模様(もよう)があの(くま)体表(たいひょう)にもあった()がする。剛毛(ごうもう)だから()(いろ)か?

『町熊。住宅地(じゅうたくち)などで(まれ)発生(はっせい)する熊型(くまがた)怪異(かいい)。ステータスは通常(つうじょう)(くま)の30〜50(ばい)とさる。2等級(とうきゅう)

 またしても脳内(のうない)(なが)れる無機質(むきしつ)——ではない明確(めいかく)意思(いし)をもって(かた)(こえ)

 どうやら(れい)(くま)のようなヤツは町熊という怪異(かいい)だそうだ……怪異(かいい)

怪異(かいい)今回(こんかい)()きたスタンピードによって各地(かくち)発生(はっせい)した異形(いぎょう)怪物(かいぶつ)御器(みうつわ)でしかダメージを(あた)えることができない』

御器(みうつわ)?」

(かみ)によって(えら)ばれた全世界(ぜんせかい)7500万人まんにん(もと)召喚(しょうかん)された怪異(かいい)(わた)()うための得物(えもの)武器(ぶき)防具(ぼうぐ)(かぎ)られず、調理器具(ちょうりきぐ)農具(のうぐ)(など)。その種類(しゅるい)はほぼ無限大(むげんだい)。その御器(みうつわ)特性(とくせい)によって戦闘(せんとう)日常生活(にちじょうせいかつ)での優位性(ゆういせい)変化(へんか)する。(かみ)によって創造(そうぞう)されたものであるからして、劣化(れっか)はもちろん破壊(はかい)(けっ)してされない』

(かみ)?スタンピード?」

(かみ)。この世界(せかい)創造(そうぞう)し、管理(かんり)する存在(そんざい)(つね)絶対的(ぜったいてき)(ちから)()つ』

『スタンピード。狂騒(きょうそう)世界各地(せかいかくち)突然発生(とつぜんはっせい)した怪異(かいい)大量発生(たいりょうはっせい)原因(げんいん)不明(ふめい)

 そのまま()になることを次々(つぎつぎ)(くち)にした。

 結果(けっか)。よくわからないが、どうやらこの()になることに(こた)えてくれるのは【全知(ぜんち)(もん)】の権能(けんのう)のようだ。

 【修練(しゅうれん)(もん)】はレベルアップ()のステータス上昇率(じょうしょうりつ)増加(ぞうか)。レベルやステータスというのはゲームみたいなものなのだと()()った。

 【解析(かいせき)(もん)】は目視(もくし)した物体(ぶったい)生物(せいぶつ)解説(かいせつ)。【全知(ぜんち)(もん)】のように脳内(のうない)直接(ちょくせつ)音声(おんせい)()こえるようだ。

 【造形(どうけい)(もん)】はわかりやすくいうと錬金術(れんきんじゅつ)だ。物質(ぶっしつ)(かたち)性質(せいしつ)()えたりできるらしい。

 【認識(にんしき)(もん)】は認識範囲外(にんしきはんいがい)物体(ぶったい)生物(せいぶつ)動向(どうこう)などを察知(さっち)することができるらしい。

 そして、最後(さいご)にこの(かたな)

神代級(ゴッド)〈刀〉大和(ヤマト)御器(みうつわ)(なか)でも(かみ)(とく)(ちから)()れて創造(そうぞう)した8()(うち)一振(ひとふ)り。対象(たいしょう)がどんなものであれ(かなら)切断(せつだん)する『絶対切断(ぜったいせつだん)』や、討伐(とうばつ)した相手(あいて)(もん)保持者(ほじしゃ)肉体(にくたい)転写(てんしゃ)する『戦利(せんり)』、保持者(ほじしゃ)気絶(きぜつ)していても生命活動(せいめいかつどう)さえ確保(かくほ)されていれば保持者(ほじしゃ)(たい)する害意(がいい)反応(はんのう)して反撃(はんげき)する『自動迎撃(じどうげいげき)』などの(ちから)をもつ異能(いのう)武器(ぶき)(ほか)にも(ちから)()っているようだが、(いま)のところ不明(ふめい)御器(みうつわ)(なか)では(もっと)怪異(かいい)(たい)して有効(ゆうこう)武器(ぶき)といえる』

神代級(ゴッド)御器(みうつわ)のランクを()すもので、下級(レッサー)中級(インター)上級(アーク)超級(スーパー)剛力級パワー英雄級(ヒーロー)伝説級(レジェンド)原始級(オリジン)究極級(アルティメット)幻想級(ファンタズム)神代級(ゴッド)の11段階(だんかい)ある。神代級(ゴッド)はその(なか)でも最高(さいこう)ランク。また、剛力級(パワー)からは、魔導級(マジック)勇者級(ブリード)遺物級(アーティファクト)古代級(エンシェント)破滅級(デストロイ)恒星級(スター)龍神級(ドラゴイド)のように亜種(あしゅ)存在(そんざい)する』

気絶(きぜつ)して()()めた(とき)に町熊が(たお)れていたのはこの『大和(ヤマト)』の『自動迎撃(じどうげいげき)』という特異能力(とくいのうりょく)効果(こうか)らしい。

 どうやらこの(かたな)、チート武器(ぶき)でもあるようだ。


 と、今度(こんど)(いえ)(そと)から少女(しょうじょ)悲鳴(ひめい)()こえた。

「これはアレか?(おんな)()(たす)けてヒーローになれってことか?んで(たび)して(おんな)()()やしてハーレム(つく)れってことか?」

『………』

「あ、これには反応(はんのう)しないのね」

 【全知(ぜんち)(もん)】から明確(めいかく)沈黙(ちんもく)(かえ)ってきた。

「まぁいいや。なんにしろ(おんな)()見殺(みごろ)しとか寝覚(ねざ)(わる)いし」

 チートを獲得(かくとく)した異世界転生(いせかいてんせい)モノの主人公(しゅじんこう)ばりにイキった(おれ)は町熊の咆哮(ほうこう)()れたのだろうか、(わく)だけの大窓(おおまど)から(そと)()()す。

 ちょうど()(まえ)(みち)少女(しょうじょ)()け、それを(もてあそ)ぶように怪異(かいい)らしき狼型(おおかみがた)異形(いぎょう)がノロノロと()う。

『風狼。屋外(おくがい)でよく発生(はっせい)する怪異(かいい)(かぜ)(つよ)くなるほどに力強(ちからづよ)さが()す。7等級(とうきゅう)

 (いま)()いている(かぜ)はかなり(よわ)い。(おおかみ)というと()れというイメージだが、(かぜ)(よわ)いと発生率(はっせいりつ)()ちるのか?

発生当時(はっせいとうじ)条件(じょうけん)によって怪異(かいい)発生率(はっせいりつ)個体(こたい)(つよ)さもピンからキリまであります』

「ん?もしかしてアイツ(おれ)のこと()づいてねぇのか?」

 少女(しょうじょ)()う風狼は(おれ)には()もくれずに一歩一歩(いっぽいっぽ)ゆっくりと(ある)いている。 それでも小柄(こがら)少女(しょうじょ)(はし)りに(たい)してはまだ(はや)(ほう)だ。

「どうしよ。これ(ほう)っといてもいつかは(おそ)われるよな。てか()うのか?」

 (れい)の町熊は(おれ)獲物(えもの)として()ていたのか?それとも脅威(きょうい)として()ていたのか?アイツの()っていた【解析(かいせき)(もん)】でこの(かたな)(ちから)()ったうえで(おそ)ったのかもしれない。てか怪異(かいい)ってのは食事(しょくじ)なんかを必要(ひつよう)とするのか?

現状(げんじょう)不明(ふめい)です』

全知(ぜんち)(もん)》が()いて(あき)れるな。

『………』

「まぁなんでもいいや。さっさっと片付(かたづ)けよう」

 そう()って一歩(いっぽ)()()気付(きづ)かれる(まえ)(くび)()ねる。

 (うご)きは想像通(そうぞうどお)りではあるが、(おも)っていた以上(いじょう)(ちから)()ていたようだ。

 これもレベルアップの恩恵(おんけい)だろうか?

『町熊討伐以前(とうばついぜん)のレベルは17。レベルアップによりレベル246になっています』

 あの(くま)(うま)すぎだろ(経験値的(けいけんちてき)意味(いみ)で)。町熊を(たお)したことでレベルが229も()がっている。

『風狼の討伐(とうばつ)によりレベルアップを(おこな)います』

 お?今度(こんど)はいくらあがるのだろうか。

『【解析(かいせき)(もん)】により、現在(げんざい)のステータスの確認(かくにん)(おこな)えます』

 マジでか。いよいよ本格的(ほんかくてき)にゲームっぽくなってきたな。

 「え〜と、え?たったの14?」

『町熊は2等級(とうきゅう)怪異(かいい)。それに(たい)して風狼は7等級(とうきゅう)ですので、討伐(とうばつ)によるレベルアップの数値(すうち)(こと)なります』

これでも【修練(しゅうれん)(もん)】のおかげでかなりもらえている(ほう)なのだろう。

我儘(わがまま)()えんな……ん?」

 そういえば(なに)(わす)れているような。

『風狼に()われていた少女(しょうじょ)です』

 おー、こんなことにも(こた)えてくれるのか。と、そんなことは()いといて……

「あー、大丈夫(だいじょうぶ)?」

「あ、ありがとう、ございます……」

 さっきから一人(ひとり)(しゃべ)っていたせいか、それとも体表(たいひょう)にある【(もん)】のせいか、ちょっと()かれている()がする。


 その(あと)少女(しょうじょ)親元(おやもと)(かえ)そうとしたのだが、(おや)所在(しょざい)少女(しょうじょ)()いても「いない」としか(こた)えないので、おそらく風狼に()べられてしまったのだろう。

「そっか……あ、そうだ。名前(なまえ)(おし)えてくれるかな?」

優恵(ゆえ)大谷 優恵(おおたに ゆえ)

優恵(ゆえ)ちゃんっていうだ。いい名前(なまえ)だね。(おれ)真司(しんじ)加賀 真司(かが しんじ)だ。それじゃあ優恵(ゆえ)ちゃん。(いま)なにか武器(ぶき)みたいなの()ってたりするかな?」

「?」

 世界中(せかいじゅう)で700万人(まんにん)しか所持(しょじ)していない御器(みうつわ)所在(しょざい)(たず)ねる。

 怪異(かいい)という異形(いぎょう)()(もの)跋扈(ばっこ)している世界(せかい)になってしまった以上(いじょう)怪異(かいい)唯一対抗(ゆいいつたいこう)できる御器(みうつわ)所持(しょじ)している人間(にんげん)ならば保護(ほご)したい。

 いや(べつ)御器(みうつわ)所持(しょじ)していなくても保護(ほご)するけどね?

「えっとね、(いま)まで()ってなかったのに(きゅう)手元(てもと)()てきた(もの)……とか?」

 (おれ)なに()ってんだろ。

「…これ」

「ん?」

 少女(しょうじょ)()()したのは、銃弾(じゅうだん)だった。

「これ、銃弾(じゅうだん)だよな?」

御器(みうつわ)幻想級(ファンタズム)〈銃火器〉G.N.の弾丸(だんがん)本体(ほんたい)使用(しよう)すると無限(むげん)増殖(ぞうしょく)する特殊弾(とくしゅだん)

 これは【全知(ぜんち)(もん)】ではなくて【解析(かいせき)(もん)】だな。(こえ)一緒(いっしょ)だと()かりにくいな。まぁどうしようもないけど。

「えっとね、(じゅう)…ってわかるかな?これくらいのやつ()なかった?」

「えっと、たぶん(いえ)

「そっか。それじゃお(うち)まで案内(あんない)してくれないかな?その(じゅう)必要(ひつよう)なんだ」

「どうして?」

「アレはね、さっきの(おおかみ)をヤツをやっつけるためにどうしても必要(ひつよう)なの」

一応(いちおう)()っておくが、「ヤツ」と「やっつける」はダジャレではない。

「……わかった。こっち」

「あ、ちょっと()ってて」

 その(とき)のテンションで()()した(おれ)裸足(はだし)だった。


 (くつ)()いてから案内(あんない)されたのは(おれ)(いえ)から徒歩(とほ)で10(ぷん)ほどにある一戸建(いっとだて)(いえ)だった。

 あの少女(しょうじょ)はこの距離(きょり)をずっとあの怪物(かいぶつ)()われながらも一人(ひとり)(はし)ってきたのだ。健気(けなげ)だ。健気(けなげ)すぎて(なみだ)()ちゃう。

「それにしても、な〜んかここに()るの(はじ)めてではない()がするんだよなぁ」

 (いえ)(まえ)()いてすぐ「ちょっと()ってて」と()って、かれこれ20(ぷん)ほど(いえ)(こも)っていた少女(しょうじょ)玄関(げんかん)から(かお)()す。

「お(にい)ちゃん、(はい)っていいよ」

 お(にい)ちゃん。いい(ひび)きだ。

 幼気(いたいけ)少女(しょうじょ)(いや)されながら(いえ)()がる。

 すると、少女(しょうじょ)(あが)っていく階段(かいだん)(となり)にある(とびら)。おそらくこの(さき)はリビングなのだろう。だが、【認識(にんしき)(もん)】で感知(かんち)した部屋(へや)から(ただよ)(にお)いは(たし)かめるまでもなく“()”だ。

 (ゆか)(かべ)(あか)()()まったリビングの(となり)。ダイニングと(おも)われるところに()かれている(つくえ)。その(うえ)にはこんもりと(ふく)らんだタオルがあった。

 その(ふく)らみ具合ぐあいからして、(うで)だろうか。それも二本分(にほんぶん)

 風狼の()(のこ)しというワケだ。

 あの少女(しょうじょ)はあの(とし)でこの部屋(へや)()きた惨状(さんじょう)()()れ、このような処置(しょち)(ほどこ)したのだ。健気(けなげ)どころではない。

(つよ)いな」

 【全知(ぜんち)(もん)】で(いま)この世界(せかい)()()いている現状(げんじょう)()っている。

「あんな(ちい)さい()(つよ)くならないといけない世界(せかい)になっちまったのか……」

悲壮感(ひそうかん)()たされる(おれ)(みみ)二階(にかい)から少女(しょうじょ)(こえ)()こえてくる。

「お(にい)ちゃん。なにしてるの?」

「ごめん。(いま)()く」


 少女(しょうじょ)部屋(へや)(とお)された(おれ)(うなが)されるままにベッドに(すわ)()む。

「たぶんこれがお(にい)ちゃんが()ってたやつ」

 (まぎ)れもなく(じゅう)だ。リボルバーとかいったか?回転式弾倉(かいてんしきだんそう)(じゅう)だ。

幻想級(ファンタズム)〈銃火器〉G.N.。所有者(しょゆうしゃ)である大谷 優恵(ユエ・オオタニ)想像(そうぞう)した(とお)りに、狙撃銃(SR)突撃銃(AR)拳銃(HG)など、あらゆる銃火器(じゅうかき)変化(へんか)する』

 幻想級(ファンタズム)(おれ)の『大和(ヤマト)』の1つ(した)のランクだったか。現状(げんじょう)ではイマイチランクの実感(じっかん)があまりないが、この御器(みうつわ)もなかなかな代物(しろもの)なのだろう。

「これもかなりチートだな」

「ちいと?」

「なんでもないよ。さっきの(たま)はまだ()ってるかな?」

「うん。はい」

「ありがと。えっとこれを……こうか」

 【解析(かいせき)(もん)】のおかげで手順(てじゅん)がよくわかる。便利(べんり)()ぎんだろ。

「これで()てるようになったのかな?」

 (まど)()け、優恵(ゆえ)には距離きょり()いて(みみ)(ふさ)いでいてもらう。

(ねら)い(()かいの(いえ)(にわ)()えている()(みき))を(さだ)めて〜……アレ?」

 いくら()(がね)()いても(たま)発射(はっしゃ)されない。

御器(みうつわ)(ちから)所持者しょじしゃ以外(いがい)利用りようすることはできません。機械系(マシン)魔法系(マジック)御器(みうつわ)はそれが顕著(けんちょ)です』

 ちぇ、一度(いちど)(じゅう)()ってみたかったなぁ。

 ん?(いま)魔法(まほう)”といったか?すごい()になる。まぁまた今度(こんど)だな。

(わる)い。これ優恵(ゆえ)ちゃんじゃないと使(つか)えないみたいなんだ。(ため)しに()ってみてくれる?」

「わかった」

 (おれ)()ていたのか、スラスラと手順(てじゅん)確認(かくにん)していく。

 ()(すぐ)れていたのだろう。物覚(ものおぼ)えが()い。

反動(はんどう)がくるから(うで)(かた)(こし)緩和(かんわ)してね」

 少女(しょうじょ)(からだ)だ。(じゅう)反動(はんどう)がどれほど影響(えいきょう)するのかわからない。

「………んっ」

「…………………やば」

 【認識(にんしき)(もん)】で確認(かくにん)したところ、(ねら)いはバッチリ(みき)()(なか)命中(めいちゅう)し、 反動(はんどう)手首(てくび)(ひじ)だけの(うご)きで(やわ)らげでいた。すごい才能(さいのう)があるなこの()日本(にほん)()まれたのが()しいレベルだ。

御器(みうつわ)所持者(しょじしゃ)はその御器(みうつわ)(あつか)うにあたって相応(そうおう)技術(ぎじゅつ)獲得(かくとく)します』

 そういえば(おれ)も町熊や風狼に()りかかる(とき)剣筋(けんすじ)手首(てくび)などの(こま)かい(うご)きを明確(めいかく)にイメージできていた。

大谷 優恵(ユエ・オオタニ)場合(ばあい)先天的(せんてんてき)才能(さいのう)であることは(いな)めません』

 まじかよ。

「すごいな。普通(ふつう)大人(おとな)でもこんなに上手(じょうず)使(つか)えないよ」

「……これがあればあの(おおかみ)もやっつけられるの?」

「ん?そうだな。(いま)ならあの(おおかみ)優恵(ゆえ)ちゃん一人(ひとり)でやっつけることも出来(でき)るだろうな」

 御器(みうつわ)才能(さいのう)なしに、(いま)はそれだけの(こころ)(つよ)さが彼女(かのじょ)にはある。

「これでもう(だれ)()なない?これでお(とお)さんもお(かあ)さんも()べられなくてすむ?」

 最後(さいご)(ほう)(ふる)(こえ)上手(うまく)()()れなかったが、(おさ)()んでいた(おも)いが、(せき)()ったように(あふ)()たのだろう。(なみだ)でぐちゃぐちゃになりながら(おれ)()いかける。

「もう大丈夫(だいじょうぶ)だよ。(だれ)()なない。優恵(ゆえ)ちゃんのお(とお)さんもお(かあ)さんも きっと天国(てんごく)(よろこ)んでると(おも)う。だからその(ぶん)、お(とお)さんやお(かあ)さんの()わりに()きよう?」

「うん、うんっ……」

 その(あと)はずっと()()めていた。どれぐらいの時間(じかん)()ったのかはわからないが、大切(たいせつ)(ひと)()くした少女(しょうじょ)にとってはとても大事(だいじ)時間(じかん)なのだと(おも)うと、()ではなかった。


「もう()いたか?」

「うん。もう大丈夫だいじょうぶ

「よかった」

 んでからは彼女かのじょ両親りょうしんうでを、二人ふたりがとても大事だいじにしていたというワイングラスと一緒いっしょにわめた。

 そのときにもう一度いちど号泣ごうきゅうしてしまったが、今度こんどはすぐにいた。


 数時間後すうじかんご

「それじゃいえにあるものものあつめようか。このぶんだとおみせもやってないだろうしね」

 さきほどたしかめたのだが、ブレーカーを何度なんどなおしても電気でんきかないのだ。

 もしやとおも一度いちど自分じぶんいえもどってたしかめたところ、まったくおなじことになっていた。ちなみに、町熊や風狼の死体したい跡形あとかたもなくえていた。血痕けっこん(のこ)ってたんだがな。

 【全知ぜんちもんいわく、スタンピードの影響(えいきょう)文明ぶんめいにある程度ていど制限せいげんがかかっているのだとか。あのときクーラーや扇風機せんぷうきまっていたのはそのせいだったようだ。そして怪異かいい死体したい一定時間いっていじかん経過けいかすると消失しょうしつするそうだ。

「これで全部ぜんぶ

 おれいえまでもどっていたあいだ優恵ゆえ食料しょくりょうみずあつめてっていてくれた。ほんとしっかりしてるな。

「んー、出来できれば日持ひもちするものがいいな。期限きげんじゅんならべてみよう」

 ちなみに、美味おいしくべれる期限きげんが“賞味期限しょうみきげん”。安全あんぜんべれる期限きげんが“消費期限しょうひきげん”らしい。

「わかった」

 手際てぎわ順番じゅんばんものならべていく少女しょうじょ。そして、夜中よなかにゲームばかりしていたせいで視力しりょくちたのか、表示ひょえじがよくえずに難航なんこうするおれ。ほんとなさい。

わった」

「う、うん。おつかれ」

 【解析かいせきもん】を使つかえばるまでもなくのこりの期限きげんかることに気付きづいたのは大半たいはんならべらわってからだった。

 7わり優恵ゆえ手柄てがらだ。

「それでどうするの?」

期限きげんみじかいものははやいうちにべたほうがいいね。ぎゃくながいものは  だんボールなんかにれておこう。最悪さいあくカバンでもいいかな」

ってくる」

 優恵ゆえ部屋へやったあいだ生野菜なまやさいなどを仕分しわけておく。ちなみに、電気でんき使つかえなくなったことであぶない生肉なまにく生魚なまざかな生卵なまたまごなどはまだ比較的ひかくてきつめたい製氷室せいひょうしつこおり一緒いっしょに、そして保冷ほれいバッグにもけてれておいた。

「まだあかるいけど、はやめに晩御飯ばんごはんにでもするか」

 おれをただのぐーたら高校生《DK》とあなどってはいけない。

 両親共働りょうしんともばたらきの一人ひとりであるからして、ある程度ていど家事かじ一人ひとりでもできるのだ。将来しょうらい専業主夫せんぎょうしゅふというのもわるくないかもしれない。

 まぁ、いまみたいな世界せかいじゃそんなこともってられないけどね。

 IHコンロは使つかえなかったが、カセットコンロがあったのでそれを使つかう。

 ひきにく醤油しょうゆダレがこおばしいそぼろに、たまごき、ほうれんそうえ、非常食ひじょうしょくの『おそそぐだけでできるインスタント白米はくまい』をどんぶりいて、三色丼さんしょくどん完成かんせいだ。

「いいにおいがする!」

 においにつられて二階にかいからりてきた優恵ゆえかたには大量たいりょうのカバンがあった。

「そんなにってきたのか…」

「これだけないとはいらないよ?」

「いやまぁそうだけど…まぁいいや。ちょうどごはんできたから晩御飯ばんごはんにしよう」

「うん!」


美味おいしかった〜。おなかいっぱい!」

「お粗末様そまつさまでした」

 使用しようした食器類しょっきるいは、蛇口じゃぐちを捻っ《ひね》てもみずないのでシンクのなか山積やまづみにしておく。貴重きちょうみず使つかうわけにはいかない。

「そうだ。今日きょうはここでてもいいかな?」

「うん。いいよ。というか一緒いっしょてほしい」

「え?」

「その、一人ひとりこわくて……」

「あー」

 両親りょうしんころされたその一人ひとりれるようなひとはいない。それも少女しょうじょともなれば当然とうぜんだ。

おれければ」

「ありがと……」




 翌朝よくあさ。スタンピードから2日目かめ

「…………らない、天井てんじょうだ」

 時刻じこくはそろそろ6まわころだろうか。おれ目覚めざめたのは優恵ゆえ両親りょうしん寝室しんしつだった。となりにはスヤスヤと寝息ねいきてる少女しょうじょ優恵ゆえ

 だんじて事後じごではない。

「もうちょっとよ」

 そしてめたのはそれから3時間後じかんごであった。




朝御飯あさごはんつくってやれなくてごめんな〜晩御飯ばんごはんにはうでによりをかけるからな!」

「わーい!たのしみー!」

 そして親子丼おやこどんべたおれたちは昨晩さくばん中断ちゅうだんしていた荷物にもつのまとめにもどる。

 毎回まいかいどんぶりなのは、手軽てがる腹持はらもちちがいいからである。だんじてほか料理りょうりつくれないわけではない。ちなみに一番いちばん得意とくい料理りょうりはカップラーメンだ。


「これはどのカバンに入れるの?」

「それはこっちだな。やわらかいものかたものうえれてね。じゃないとつぶれちゃうから。着替きがえとかはリュックサックにれようか。小物こものなんかはこっちのポーチにな」

「わかった」

 一旦いったん自宅じたくもどり、追加ついか食料しょくりょうみずだんボールなどを調達ちょうたつして荷造にづくりを開始かいしする。


「ねぇおにいちゃん。このあとどうするの?」

「んー?」

 荷造にづくりをませたおれたちは休憩きゅうけいでただボーっとしていた。

「ずっとこのままこうやって生活せいかつするの?」

「あー、それもそうだな。いつかは食料しょくりょうそこつくくし、出来できればそと出歩であるきたいんだがな」

「やっぱり、わたしが……」

「うーん、レベルはじめるかな」

「レベルげ?」

しんじられないかもしれないが、いまこの世界せかいはゲームみたいになってるんだ。それで(おれ)は町熊とかいうてきたおして レベルをげたおかげであのおおかみ、風狼をたおして優恵ゆえちゃんをたすけることができたんだ」

かたきじゃないけど、その怪異かいい?をたおしてわたしみたいにかなしむひとすくわれるならどんなことでもしたい」

いまこのかたき」とか「すくわれる」ってった?この年齢としいくつだ?

「そ、そっか。そうだな。んじゃレベルげするか」

「どうするの?たおすだけ?」

「えーと、アレだ。名前なまえれたけど、おれてきよわらせて優恵ゆえちゃんがとどめをす。そうすれば優恵ゆえちゃんに経験値けいけんちはいるから効率的《効率的》にレベルアップができる。これでこう」

『“パワーレベリング”です』

「……ま、まぁじゅうならそのへん怪異かいいを1ぱつ仕留しめめれるとおもうけどな」

「よくわからないけど、わかった。おにいちゃんにまかせるね!」

「おう!」


 というわけで。おれたちがいるのは住宅地じゅうたくちとなりひろがるんぼのなか。スタンピードの影響えいきょうか、あぜ用水路ようすいろなどの所々《ところどころ》にちいさな地割じわれがあり、みず干上ひあがってカラカラの地面じめんになっている。

 「えーと、たしかこのあたりは水豚がるんだったな」

『水豚。んぼやちいさなかわなどの周辺しゅうへん発生はっせいする怪異かいいぶたそのもので、俊敏しゅんびんだが臆病おくびょう性格せいかく。しかし格《格下》下と判断はんだんした相手あいてには獰猛どうもうになるので危険度きけんどたかくなる。7.3等級とうきゅう

 小数点しょうすうてんとかはじめてだな。6等級とうきゅうりの7等級とうきゅうといったかんじか。

 優恵ゆえのレベルアップだが、おれ周辺しゅうへん発生はっせいする怪異(かいい)(くわ)しいわけではないので、【全知ぜんちもん】に付近ふきんによく発生はっせいする怪異かいいいてみた。すると住宅地じゅうたくちとなりひろがるんぼに水豚という怪異かいい発生はっせいすることをった。ならば好機こうきおれたちはうごきやすい服装ふくそう着替きがえてんぼにかったのだ。

「ここにあのおおかみ…風狼がいるの?」

「いや。アレはかぜがないと発生はっせいしないんだ。今日きょう生憎あいにく無風むふうだから最初さいしょから発生条件はっせいじょうけんそろっている場所ばしょりをしようかなってな」

「じゃあなにるの?」

「水豚っていう…まぁ、ぶただ」

「このじゅうたおせるかな?」

「アレだけの才能さいのううでがあれば大丈夫だいじょうぶだろ。作戦さくせんもちゃんとたてたし、おれ最低限さいていげんのサポートはさせてもらうから」

頑張がんばる」

「そうだな。お、水豚はっけ〜ん。それじゃ、ここに誘導ゆうどうするからうずくまって待機たいきな」

まかせて」

 優恵ゆえをそののこして200mほどはなれたところでつちほりかえしている水豚の背後はいごまわんで地面じめんこぶしたたく。

 レベル260の俊足しゅんそくけて水豚に接近せっきんさとられることもなく、レベル260の腕力わんりょく地面じめんなぐったことできた爆発的ばくはつてき打撃音だげきおん衝撃波しょうげきはおどいた水豚は想像通そうぞうどおりに優恵ゆえがいる方向ほうこうへとけてく。

「プギィィィィィィイイイイイ!!」

 うずくまってひくくしている優恵ゆえ格下かくした判断はをだんした水豚は優恵ゆえ標的ひょうてきさだめて突進とっしんしていく。

 優恵ゆえと水豚のあいだ距離きょりが100mをったところで優恵ゆえがる。しかしこしひくい。つというよりかがんでいる体勢たいせいだ。

 そのままかってくる水豚に銃口じゅうこうけてねらいをさだめる。

ねらうのは眉間みけんだぞー。あと、ったらぐにとなりけろよー」

「んっ」

 一帯いったいひびわた銃声じゅうせいよこんだ優恵ゆえとなりころげる水豚。

 比較的ひかくてき分厚ぶあつ頭蓋ずがいたまれるのではと心配しんぱいしたが、幻想級ファンタズム伊達だてではなかった。

 本来ほんらい目的もくてきである優恵ゆえのレベルリングの成果せいか確認かくにんするため【解析かいせきもん】で優恵ゆえる。

大谷 優恵(ユエ・オオタニ)。レベル8→10』

加賀 真司(シンジ・カガ)のレベルが1がりました』

「は?」

 【全知ぜんちもん】からの報告ほうこくについけたこえす。

 どうやら【修練しゅうれんもん】の影響えいきょうでか、戦闘せんとう参加さんかするだけでも経験値けいけんちはいるようだ。

 おれがトドメをしたわけではないので、レベルの上昇率じょうしょうりつ優恵ゆえよりひくい。

今夜こんやぶた生姜焼しょうがやきかな?」

「え。これべるの?」

「てか怪異かいいってえんの?」

「………」

「そんなるなよ」

内臓ないぞう中身なかみなどは討伐とうばつから時間じかんつことで消失しょうしつしますが、にく内臓ないぞうかわきばつめほねなどの各部位かくぶい討伐直後とうばつちょくご解体かいたいおこうことで入手可能にゅうしゅかのうです。ちなみに、怪異かいいにく等級とうきゅうたかほど美味びみになります。さらに怪異かいいにくかわ腐敗ふはい劣化れっかしません』

 なるほど。わからん。

 なぜ放置ほうちすると怪異かいい死体したいえるんだ?なぜ討伐直後とうばつちょくご解体かいたいすればえないんだ?なぜつよ個体こたいにくほど美味うまくなるんだ?なぜ怪異かいいにくくさらないんだ?原理げんりはサッパリだ。このでは『かみがそうしたから』と無理矢理むりやり納得なっとくしておく。

 まぁ、怪異かいいにくくさらないというのなら、今度こんどからは怪異かいい優恵ゆえのレベルリングもねて食料しょくりょうとしてることもかんがえないといけないな。

「とりあえずバラすか」

「え」

「かなり衝撃しょうげきモンだから、キツそうならないほうがいいぞ」

「…大丈夫だいじょうぶ

「そか」

 死体したいについたつちはらってコンクリートの部分ぶぶん移動いどうさせる。

 そして自分じぶんいえからってきた解体包丁かいたいぼうちょうす。

 なぜそんなものがいえにあるのか?なぜおれぶた解体かいたいができるのか?

 それは、母方ははかた叔父おじ趣味しゅみ狩猟しゅりょうで、休日きゅうじつなどはされ、鹿しかいのししなどの解体かいたい手伝てつだわされていたのだ。最初さいしょ下手へただったせいで、いえでも練習れんしゅうしろと叔父おじたされたのがこの解体包丁かいたいぼうちょうだ。練習体れんしゅうたいがないこの住宅地じゅうたくちでどう練習れんしゅうさせようとしていたのかはなは疑問ぎもんだが。

 まぁ、解体包丁かいたいぼうちょうってもただの分厚ぶあつ包丁ほうちょうだ。

 獲物えものぶたいて、もしやとおもってきていて正解せいかいだった。

 そんなこんなで1時間半じかんはんほどで解体かいたい終了しゅうりょうした。

「すごい!おにいちゃんすごい!」

「ふふん。もっとめてもいいのよ?」

「すごい!すごい!」

れるな〜」

いまのなんかかっこわるい」

「アッハイ」

 解体かいたいしてにくってきていたおおきいサイズのスーパーのレジぶくろれる。

 用意周到よういしゅうとうおとこはデキるおとこなのだ。

 解体包丁かいたいぼうちょうといいふくろといい、べつにハナから食料目的しょくりょうもくてきで水豚をりにきたわけではないことを了承りょうしょうしてしい。

「そんじゃ今日きょうかえるか」

「うん」


 スタミナどんべたあと昨日きのうのように、かしたおひたしたタオルでからだいて寝床ねどこく。

 怪異かいいにくくさらないとわかったので、保存ほぞんしていた肉類にくるい魚類ぎょるいあぶななそうなもの破棄はきした。

使つかった食器しょっきなどは昨日きのうぶん一緒いっしょかわあらながし、天日干てんぴぼしにした。

 みず使つかえないのならまないみず使つかえばいい。きんとかがになるなら天日干てんぴぼしにして殺菌さっきんすればいい。

 いまはちょうどなつだ。炎天下えんてんかなか金属製きんぞくせいなべやフライパンを日当ひあたたりのいいそとしておくだけでいいのだ。

 そうしておれたちはスタンピード2日目かめえたのだった。




 今日きょう優恵ゆえのレベリングをねた食料しょくりょうあつめである。

 あとついでに、川鹿も予定よていだ。

『川鹿。川辺かわべなどで発生はっせいする怪異かいい水上すいじょう移動いどうする鹿しかおと敏感びんかんで、とにかくげる。腹部ふくぶ用途不明ようとふめいみずめるふくろがある。8.5等級とうきゅう

 そう、りの目的もくてきはその水袋みずぶくろである。怪異かいいから採取さいしゅしたもの腐敗ふはいしないのなら、川鹿かられる水袋みずぶくろなかみず腐敗ふはいしないはずだ。

 日本にほんやまかわだらけであるからして、移動いどうしていてもかわさえあれば川鹿をってみず確保かくほできるのだ。そういった意味いみでは便利べんりになったとおもう。

おも目的もくてき優恵ゆえちゃんのレベリング。そのついでに食料確保しょくりょうかくほ。そして川鹿の水袋《水袋》。いいな?」

「それはいいけど、その『優恵ゆえちゃん』っていうのをやめてほしい。普通ふつうてでいい」

「あ、そう?じゃあ優恵ゆえくぞ」

「うん!」

でや

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