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遅咲き王子のお隣に  作者: 白澤 五月
第一章 つぼみ王子と没落令嬢
13/77

12 彼の優しさ

「ふう、綺麗になった!」


ふっふっふ!この一週間でこの私が何もしてこなかったわけがない!一週間かけて、このだだっ広い一階の階段を全部掃除を終わらせた。


この汚れだらけの家じゃ住み心地も悪いだろうから一階だけでも、時間がかかっても綺麗にしてあげたかったのだ。


使用人の噂のとおりスフィアさんは忙しいらしく、外に出ることを禁じられている王子のかわりに食事を運んだり、本を借りてきたりなどの最低限の世話だけを済ませるとメイドの仕事にいかざるをえないようだ。そのために荒れ果てた別荘も仕方ないように思える。


それに、そんな生活をしてきたからか王子は洗濯や食事に身なりを整えるまで自分1人でできるみたいで、少しでも遅くに行くといつの間にかすべてのお世話が終わってたりする。


(………もはや私の存在意義がない気がする)


ルイス王子本人は自分のことをいらない、って思ってるみたいだけど、彼はポンコツ王子よりずっとできる人だ。まぁそれのおかげというかせいで、仕事がない私はこの別邸を掃除することにしたのだけど。ぴかぴかになったのを見渡すと清々しい気分だ。


(これこそ、本来あるへまき王族の家よ!5年で培われた私の使用人の技をなめないでほしいわ!)


本当はルイス王子の部屋を一番に綺麗にしたいのだが、開いてくれないのを無理に開けるのもよくないと別の部屋を掃除をしていた。


(さて、今日も終わりますか……)


ポキポキと疲れ凝り固まった身体をほぐしながら歩く。よいしょ、とバケツや箒などを片付けようと立ち上がると、思わずずるっと階段を踏み外した。


「っぎゃー!!!」


乙女の欠片もない野太い叫び声が大きく響いた。ドタドタッドシンと階段を転げ落ちると、どうにか向かいの壁で止まってくれた。


「い、痛い………」


あちこち身体中が痛み、特に壁にぶつけた背中がずきずきと痛む。どこも骨折にはなっていないだろうけれど疼くように痛むし、もう最悪だ。


「うぅ~……」


「……大丈夫?」


まだ高くて透き通るような声。聞き覚えのある幼い男の子の声に驚いて目を見開く。すると目の前にたっている少年はやっぱりルイス王子だった。それに走ってきたのかすこし息が荒い。


「階段から落ちたの?どこか痛むところはない?」


しゃがみこんであちこち痛むとこはないかと聞く幼さの残った端正な顔立ちの王子は綺麗な青の瞳で心配そうに私の顔を覗き込む。まさか来てくれるなんて思ってなかったからこちらもびっくりだ。


「……えっと、王子なぜここに?」


「なぜって……君が家中に大きな悲鳴を響かせたんでしょ?」


ルイス王子は何を言ってるの、といいたげに呆れた顔だ。確かに若いメイドがあんなはしたない悲鳴をあげていたら何かあるのかと思うよね。


「ありがとうございます。心配してくれて嬉しいです」


「……まぁ、怪我がないならいいけど」


つん、とそっぽを向く彼は少しだけ年相応な男の子に見える。それに思わずこちらも笑みがこぼれてしまう。


「………ねぇ、なんで君は僕に関わってくるの?」


「え?」


さっきまで幼い男の子ようだった彼の瞳は寂しげにそしてただ不思議なんだというばかりに彼は首をかしげている。微かに不安そうに揺れる瞳で私を見つめている彼には何か欲しがっているよつにも見えた。


突然の質問すぎてびっくりしたけれど、私は王子が珍しく私に興味を持ってくれたので必死に考える。もちろん、アイザックの命令もあるけれど、何より……。


「……ルイス王子のことがどうしても放っておけなかったからです」


そうだ、言葉にしたらすとんと腑に落ちた。私はあの寂しげな姿を放っておけなかったのだ。思い起こせばここに来ることが決まる日の夢にも彼の姿が出てきた。彼にはまだ伝えていないが、きっとこれは運命かもしれない、なんて私はそう思っている。


私はルイス王子の何がほしい訳じゃない、もちろん見返りがほしい訳じゃない。でもあの人形のような寂しげな彼からスフィアさんの知る"本当のルイス王子"に戻ってほしい。笑顔になってほしい。


「……そう」


王子はそっけなくそう答えてそっぽを向くとそのまま二階へ上っていってしまった


(あ、あれ?怒らせちゃったかな……?)


……彼の望んでいた答えではなかったのだろうか。一言でそっけなく返されたので心配になり、痛む背中のことを忘れてしまう。


「……はい、これ。この薬を痛いとこに塗ったらよくなるから」


「へ?」


「……じゃあ」


上がっていったと思ったルイス王子がお薬を渡してくれた。そんなことになるなんて思わず、すっとんきょうな声がでてしまった。

 

(やっぱり優しい人なんだな……)


さっさと部屋に戻ってしまった彼の人形のような無表情はまだ変わらないけれどひとつ彼に近づけたようで嬉しくなった。


⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐


読んでくださりありがとうございます!!ヒーローが出るまで長かったですね…恋愛早くしてほしいですね!二人とも!!


長ったらしいわ!とお思いの読者様、ごめんなさい!

ブックマークに評価、ありがとうございます!

更新の励みになってます!

続きもよろしくお願いします! 白澤 五月

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