サンドラ
窓から見下ろす校庭では、昼休みに ハカ
(ほらニュージーランド代表のアレだぜ)
の練習して
朝礼台で指揮するのは、もちろんサンドラ様
始め5.6人だった
馬鹿が馬鹿やってると、思ってたら
今や30いや50人以上いる
(でもJCの ハカ 見てみたいよネ)
コレは、取られる
冗談じゃネェや、女王はアタシじゃない!
キェーッ!
窓際に並んでたサンドラの勉強机を頭突きで叩き折る
あの西部女の顔にもコイツを叩き込み
ペシャンコにしてやる
「何ですの! 何の騒ぎです! 教室で暴れてるの誰? 」
飛び込んで来たのは、担任のデバアー夫人先生
ヤバッ!
「まあ!リリイ様 如何為された
まあ お額から血が」
リリイは、大粒の涙をポロポロ溢し嘘泣きした
「先生、わたくし大変な粗相を
国賓であるマキューリィ様の お机……を
ウェーェェン」
更に涙を追加大放出
「一体 何が有ったの? 」
「わたくし 朝から貧血気味で
教室で お休みしてたの
でもサンドラ様の活躍する お姿が見たくて
窓辺に寄ったら
(腸が煮えくり返ったぜ)
クラクラめまいがして
(ここで もっと泣く)
倒れたの
(また泣く)
その時マキューリィ様の机にオデコぶつけて」
そして大泣き
(あのネ、オデコぶつけた位で、木製の勉強机が半分に、割れたりしないのよ)
「机の一つ位 代わりを用意させます、それより医務室に行かなきゃ」
「平気です」
「なら、もう泣かないで」
先生はリリィを抱き寄せ、ピンクのマショマロハンカチーフ で血を拭って
ハグハグ
でも その手つき妙にエロい
何処さわってんですか?
(いけネェ、忘れてたババァにはバイセクシャルとの噂)
「私の個室で、5時限目までお休みなさいな」
デバアーは口の端をピクピクさせ瞳を濡らす
チャンスよ
嘘を付いてもダメ
私が何年教師して来たと思ってんの
知ってるわ
アンタは今、西の魔女王娘への嫉妬に狂って
メンタルガタガタ
チャンスね
ベッドで額の傷口を舌で優しく愛撫して
お乳を軽く揉んでやったらコロリと落ちる
(そんな単純なモンかな? )
ウフン、ローティーンの女子の心理は
熟知掌握してるわ
これまで幾つの清らかな蕾を開花させて来た事か
先生、怖いんですけど
「わたし、早退します」
「あら、ガッカリ」
午後のお茶で、スイーツ愉しみたかったのに
相手、皇女だぜ あんた首が飛ぶよ
馘首じゃなくて、斬首だよ
「LOVEに貴賤は無いの ウフん」
何か、よく分からん論法では有るが、一応納得
「では、スクール馬車で クリムゾンまで、お送りしましょう」
(馬車で8000メートル山頂まで!
1週間かかるよ)
大丈夫 メアリアの馬車は、空も飛べるから
キューリィは廊下で呼び鈴を打ち鳴らす
「ギルバート、ギルバート、リリィ様をお城まで お送りなさい」
馬車内で馭者を待つリリィ
5時限目グランドの体育
(武道大会に向けて訓練、種目はテコンドー)
の光景をボンヤリ見てた
パチンと、指を鳴らす
そうだ、この手が有ったぜ
サンドラは人気者だ、顔(将来かなり美人に成りそう)もスタイルも良いし成績も優秀だ(先週の実力考査では学年ベスト10に、入ってた
転校生がだよ)
もちろん1番はアタシ
(それタネが有るじゃない)
うるさい!
(お前 全部 負けてるじゃない)
だから、うるさいってば!
それに性格の良さアピール半端ネーんだ、あれなら誰でもコロリと行くぜ
(ヒガミじゃないの、アンタ歪んでるよ)
私はネ誰にも負ける分けには いかないの
私が負ける時は、断頭台に登る時だけだ
リリィは馬車のなかで、クラス・メートにメールを送りまくる
「いいかお前ら、よく聞けよ……
西の魔女マキュリーは二重国籍だ」
この文面を読んだ級友達は、どう思っただろう
馬車はカルチェランタン街を過ぎ、ブナの木が生い茂るブルーユの森へと入って行く
森の中は昼でも暗く、冷たい静寂に満たされ美しい
ブルーユは年に一度の星祭の夜に、国じゅうから精霊達が集まりサバルトの宴が開かれる神秘の森だ、村人達は気味悪がり近づかない
その森の中程で
「ギルバート、止めて、アタシ降りるから」
「お嬢 冗談じゃネェ、ここは魔性の森じゃ日が暮れると生きては、帰れネェ」
「森に友達が、住んでるの」
「お嬢 困りるよ、オイラがキューリィ様に叱られる
この歳で他に勤め先なんて見付からないよ」
「これで居酒屋で、一服 してきて」
馭者台の横にペニーワイズ金貨を一枚 置く
「お嬢 いつも すまねえ」
馬車が遠ざかるのを待ち
リリィは、怒鳴る。
「ジジイ、居るか? 出て来い。
くたばったのかよ、生きてるなら出て来いよ ユンナ爺! 」
すると小さな熊が、ヨチヨチ歩いて来てペコリと お辞儀した。
「お待ちしてました」
「熊なんかに用ないや」
次の瞬間頭上に殺気、体を転がせ辛うじてかわす、元居た場所に太い杖が刺さっている。
「お上手、お上手、」パチパチ
熊は小さな女の子に戻り手を叩いてる。
「お前が、したのか!」
「リリィまだまだジャな」
見上げると、木の枝に仙人服を着てサンタ髭を生やしたユンナ爺が腰掛け、足をブラブラさせてる。
「生きてたネ、頼みが有るんだ、降りて来いよ」
爺はスーとゆっくりワイヤーで、吊るされたみたいに降りて来る。
「喧嘩だな、馬車が森に入って来た時から感じていたよ、真っ黒な憎しみが漂ってた、ワシが教えてるのは殺人術では無い拳法じゃ、それに怒りは本人も殺す、盲目になるからの、ワシの小屋に来い、お茶にしよう 少し頭冷やせ」
「このチビは、何だ? 」
「孫だ」
「ヘッ、アンタに家族がいたとは知らなかったよ」
「お前は、知らない事だらけさ」
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