表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/18

 魔族登場



 「ジュリア、私も あの馬車に乗る」

 「エッ? 」

 「もちろん校則違反さ、だから こうダッ! 」

 クルリとバク転して、ポンとハムスターに化け

 ジュリアの胸を駆け登る

 「胸ポケットに隠してくれ

 ジュリア、お前は臭わないか? 」


 「それは私のシャネル5番の香り」


 ヤッパりな、コイツらには無理だ


 「いいか何が有っても普段通ふるまえ、そして油断するな

 これは命令だ」


 ジュリアの乳房の間に、スッポリ ハマる 意外と巨乳


 するとジュリアは力を入れて、ネズミをギュッと握る


 苦しい 何すんだよ、握り潰す気かよ


 見上げると、ジュリアは顔を真っ赤にして大粒の涙をポロポロ     溢してる

 何だお前、狂ったのかよ


 「一生の お宝よ

リリイ様をこの胸に抱き

この腕で抱き締めたわ

私の一生のお宝よ」


 変な女

 何か良く分かんないや


 他の生徒が、騒ぎ出した

 「ジュリア、ズルいぞ」 

 「私も、リリイ様を抱き締めたい

 そのネズミ 貸して」

 「ダメだネ、ハー・マジェスティを抱けるのは貴族だけだ」

 「そんな決まり、何処にも無いぞ」

 「あんたシカトされたいの」


 何やってんだ、コイツら


 「お前ら、死にたいのか! アタイに従え! 」


 やがて馬車が停留所に到着

 強烈な、異臭を放つのは馭者(ぎょしゃ)だった


 頭からスッポリとマントを被り顔を隠してる

 あれは魔族ではあるまい

 低地カトマンザスに住む小鬼の種族

 小銭で卑しい仕事を引き受けるゴブリンだ


 「ジュリア、私が良いと言うまで、絶対に動くなよ」


 馬車は並木道を、しばらく進むと本通を外れ水車小屋の横の小道に入って行く


 リリイは、ジュリアにささやく

 「馭者に何故道を変えたのか聞け」

 

 「馭者さん何故、道を変えるの? 」

 「前方でガス管工事を、している」


 バカめ 周囲は田園地帯だライフラインは、一本も走って無いよ

 この道の先は、小さな広場だ

  そこで仕掛けて来るな


 やがて広場、周囲は大きなブナの暗い森


 そして馬車は、ゴブリンに囲まれた


 小型のオメスプレも、重いエンジン音を響かせ待機している

 そうか、これで子供達を境外に運ぶのか


 先頭に立つのは、ウサギ型魔導師


 リリイは、馬車の屋根に駆け登り怒鳴る


 「魔道士が営利誘拐か? ガッカリするぜ! 」

 「手段を選んでる(ひま)無いんだよネズミ

 中学校のスクール馬車にボディーガードが付いてるとは、思わ   なかったよ

お前も法力者なら降りて来いよ」

 ウサギは、石を拾うと投げつけて来た


 石は砕け燃える散弾と化しリリイを襲う

 クルクルと回転しながら変身するリリイのスカートに、プスプスと幾つもの穴を開ける

 危ない ところだ

 ネズミのまま喰らってたら、バラバラにされてた


 「ヘーエ、こう言うの、ひょうたん から駒てんだろな

 お前の事は知ってるぞ

 女王様気取りで朝っぱらから、領内をうろつくバカ女だ」


 「リリイ様に、それ以上の恥辱許さん」

 馬車から、飛び出すジュリア

 「ジュリア! よせ! 」


 「子供は、引っ込んでろ」

  ゴブリンが、突き飛ばす


 「小鬼 テメエ! 

 アタイ本気でを怒らせたな! パイロキネシスだ! 」

 ごう音と共に燃え上がるリリイの体から、ゴブリンに火柱が飛ぶ

 小鬼は瞬時に燃え尽き、灰は風が消す

 悲鳴を上げる暇も無い


 「この お姉ちゃんは強いよ

 お前らは帰れ」


 ウサギは、(ふところ)から皮袋を取り出すと、後方に放り投げる


 ゴブリン達は、金を受け取ると早々に退散


 「何で、あんな汚い連中を使う? 」

 「金で処理さ、風俗と同じだ」

 「良かろ、それで お前はアタイに勝てるか? 」

 「俺達に勝敗は無いんだ、有るのは生死だけさ

 コイン博打と同じだ、何時でも覚悟している」

 「上等だ、では来い! 」


 「ハッ! 」

 「ハッ! 」


 一人と一匹は空飛ぶ流星、一気に成層圏



 空気の薄さに、軽い目眩(めまい)を感じたリリイに

 一瞬の油断が生じる

 頭上から、日本刀を構えたウサギが急降下きりもみで首を狙う


 バサリ!


 辛うじて、かわしすがフィッシュボーンの尻尾を落とされた


 クソ! せっかく お気に入りのスタイルだったのにな

 しばらくショートだ


 (何を呑気な)


ウサギは、追撃の手を緩めない

クルクルと旋回しながら、放つ強烈な蹴りが 

リリイの みぞおちを(とら)える


 リリイは力を失くし地上に堕ちて行く


 リリイ! お前!


 仰向けに成り、手足を拡げた彼女の(かたわ)酷薄(こくはく)な笑みを浮かべたウサギ

 首に狙いを定め、刀を振りかざす


 が

 

 美しい


 根城の洞窟に持ち帰り……


(オンナとバトルする時、スケベ出したら負けよ)


 ウサギの前から、スッと彼女は消えた


 何で?


 (嫌いだからさ)


 何処へ?


 (虹の彼方へ)


 ほらウサギ、虹の彼方から帰って来た彼女が、お前の後ろに立ってるよ、振り向いて見ろよ


 エッ?


 次の瞬間、リリイの水平切りでウサギの首は、天高く飛ぶ


 「さすが王女さんだ

 ホレたよ、いつかモノにしてやる」

 「無理! 

 それよりアンタ何で、生首でしゃべってんの」


 「切断直前に、ライフを全部 頭蓋骨へ以降したからさ」

 「エルディア人みたい」

 「何だソレ? 」

 「知らなく良いよ」


 巨兎なんて見たくない!


 「次の出会いを楽しみにしてる

 今度は決めてやる サラバじゃ」

 

まあ、頑張れ


 ウサギは首から、飛行機雲を撒き散らし、飛んでいく


 あの首はどんな構造だろう、魔族のウサギは器用だ




    To be contenued



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ