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ジュリア





 ゴーン 、ゴーン 、ゴーン、


 国教会セント・メアリア聖堂が打つ 朝の祈りの鐘の音が、ランドに響き渡る


 エッ! 7時? 遊び過ぎた

 お城に帰り、もういっぺんシャヤー浴びて登校よ


 小娘のTKOを喰らい、草原に崩れ落ちたハゲで全裸のオッサン

 を残してお姫様はスキップして帰ってくの


 (得意の魔法で、飛んで帰れば)


 別に良いじゃない、この時間 好き

 生きる希望に輝く、朝日が好き

 (オー、文学的ですな)


 でしょ、スキップしながら詠唱するの



 吹く風を、心の友と


  口笛にまぎらはし


   15の春は


    煙のように……


 

  心一杯に懺悔ざんげして


  許されたと いう気持ちの中に


   再び生きて


 僕は、努力家に成ろうと思うんだ


 (中也ネ、おつだネ)


 でしょ アタシ文学少女


 (「文豪ストレイドッグス」で、知ったんだろ )


 バレたか



 でも彼の詩のエモさに涙が(こぼ)れる

生涯を身勝手に生き、早死にした男の残した言葉が、時を越え人の心に届き、胸を打つのは何故だろう

 

 芸術の神秘を感じる


 (お次は、芸術論かね?

 君が利口なのは分かったよ、でも話しが進まな)


 秋だから、センチに成ってた


 (君には、似合わない)


 分かってるよ


 (芝居を、続けろ

Show must go on だ)


 分かったよ



 ほら 見てモンパステル丘の ふもとから、帝都ビバロニアまで、真っ直ぐに延びるメタセコイヤの並木道

わずかに、色付き始めてる

 紅葉は凄いんだ、燃える様な深紅


 (それから、どうした)


 だから分かってるッてば!

 慌てるな


 道の途中の馬車停留所に、子供が集まってるだろ

 マジック・ランド学院のジュニア・ハイスクールの生徒、総勢30名 未来の私の家来達だ


 「お前達、今朝は早いな」


 歓声が あがる


 「リリイ様だ」

 「リリイ様は、今朝も素敵」

 「私達の女王陛下」


 「朝練なの、夏の大会メタメタだったから、顧問カンカン、朝からシゴかれまくり

 もう死にそうよ」

 キャプテンのジュリア

ランド領地4分の1を所有するカサンドラ家の長女 王位継承者の一人だ。

 とび色の大きな知性に輝く瞳、ブロンドの髪を無造作なショート・ボブに してるが、自分の可愛いさを充分意識していて小面憎い

 同級生だと、イジメてやんだけど年下だし一族だし


 しかし、リリイはやがて二人の間の壮絶な闘争(バトル)

 展開を今は知らない



 「そうか お前達はバスケ部だったな」

 「リリイ様、どうして歩いてるの学校に遅れ

ない」

 「何 意ってんの リリイ様が遅刻なんて、お得意の瞬間移動(テレポーテーション)で、チョチョイのチョイよ」


 「ジュリア、定期テストどうだった」

 「もちろん首席、私に それ意外無いわ」


 何かムカつく


 「だよネ、ジュリは小学1年生から、首席定位置だもん」


 お前ら、それで良いのかよ


 「でも高等部は地方から数多(あまた)の秀才が集まるわ、油断しないで」


 「フン」


 なんだ、鼻で笑ったな


 「田舎の秀才は、都会では凡才

 全然恐くありません。

 私もお姉様を見習い、学生時代を首席で通しますわ」


 確かにリリイは定期考査は常にトップだったが、考査期間中お姫様を缶詰めにして指導する10人の家庭教師達は、全員リリイの学年教科担任だった


 (それ有りなん? )


 公然の秘密だ


 (さすが王族、それカンニングの王道じゃん)


 やかましい


 「でも私は、リリイお姉様には絶対 勝てませんわ、

あんなに素晴らしい指導者に囲まれてますもの」

 ジュリアは真顔を、取り繕ってるが小鼻がプルプル震えてる


 ジュリア! お前! ボコられたいのかよ


 その時、パカ パカ パカ (ひずめ)の音を響かせ、スクール馬車がやって来る


 「あら、今朝は5分遅れネ」

 腕時計を見詰めるジュリアの手首で朝日に光るのは、まさか!    ジャガー・ルクルト?


 クリスマスに、おネダりした時の、父の言葉が(よみがえ)


 「お前には、早い」


 皇女の私がダメで、何で田舎貴族の娘が持っるワケ


 これで決まりだ

ハイおしまい


 顔面にストレートパンチの連打だ

 狙いを定め拳を固めた時、ふと異臭を感じた

 腐敗臭の様な、近くの草むらにジャッカルの、死骸でも、転がってるのかな?


 違うな、これは下等動物の匂いだ

 匂いは次第に強くなる、発生元は馬車だ

 悪い予感に、胸が騒ぐ


 To be contenu






 


 



       


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