土地神様(とちがみさま)
世界:ハッピーエンド
属性:神 夫
設定:変化可能な肉体と多数の魔法技術を習得している
通称:‐
鳥井神社で祀られている神。
鷹狩学園周辺の土地を管理している神様で、人一人くらい容易に飲み込めるサイズがある巨大で半透明なグリーンスライムのような見た目をしている。というか、もはやスライムそのもの。
お饅頭形でプニプニプルプルとしており、言葉は発せないが揺れ方や弾み方でなんとなく考えていることが分かる(ような気がする)。
鳥井家の人間はテレパシー的共感能力によって、この土地神の思考を大まかに読み取ることができる。
正確には「土地神と交信可能なESP使いを寄せ集めて“鳥井家”という神官の一族を生み出した」と言う方が正しい。
中でも今代の“御巫”である鳥井巫女子は共感性が強く、土地神の思考をほぼダイレクトに受信することが可能。
土地神の正体とは、数千年前にこの地に落下してきた宇宙外生命体である。
不老不死で粘性の肉体を持ち、無数の魔法技術すら習得しているこのアメーバ状の生命体は、あてのない長い旅路の途中で物見遊山的に地球へと立ち寄っただけだった。
しかし、いざ地上に降り立った姿を縄文人の少女に目撃され、天上界から降臨した“神”であると勘違いされてしまう。
そうして大々的に祀り上げられた挙句、その縄文人の少女を妻としてあてがわれてしまい、土地神はその地を離れるに離れられなくなってしまった。
幸いにして妻となった少女には若干のESP能力が備わっていたため、それなりの意思疎通は行えたのだが、それでも自分が神ではないという説明だけはどうしても理解してもらえなかったのだ。
妻が自分を逃がさないためにあえて理解できないフリをしていたのだと知ったのは、数十年が経過して神としての生活にもすっかり慣れた頃の話で。
死に際にあっけらかんと事実を語る妻に嘆息(するように震え)ながら、土地神は誓った。
どうせ不老不死の我が身にとって、この星での生活など涅槃寂静。
自分のことを最後の最後まで愛してくれた妻に敬意を表し、せめてその願いが途切れるまでの間、偽りの神として存分に力を振る舞おうと。
……まあ、それから三千年以上が経過してもまだ、自身がご丁寧に祀られちゃってるなんて思いもしなかったのだが。
そんなこんなでのほほんと神様の真似事をしていた土地神だったが、鳥井家に長女の巫女子が生まれた際に我が目を疑った(目はないけど)。
何千年経とうと忘れない。
巫女子の両親に乞われて未来知したその赤ん坊の姿が、かつての妻の姿と瓜二つだったのだ。
これは間違いなく彼女の生まれ変わりだと直感した土地神は、巫女子を自分の妻とするべく光源氏的育成計画に着手。
無事に理想の少女へと成長した巫女子も当然のように土地神のことを愛し、両者は無事ゴールインすることとなった。
そうして土地神は今日も巫女子を愛でる。
当時、最後の最後まで妻の愛に気づけなかったことへの贖罪のように、土地神は全身全霊を持って巫女子のことを愛し続けている。
巫女子が本当に妻の生まれ変わりであるかどうかは、神のみぞ知る話だ。
関連人物:
〇鳥井巫女子 妻
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