鷹狩 結(たかかり むすび)
世界:ハッピーエンド
属性:座敷童 幼女 理事長
設定:学園を繁栄させる義務を負う
通称:“教育の権化”
鷹狩学園に棲まう座敷童。鷹狩学園理事長兼学園長。
かつて鷹狩翁という教師が存在した。
僻地教育こそが己が責務と信じて日本中の僻地を転々としていた翁だったが、大災厄以降の急激な時代の流れと共に“僻地教育”という概念自体が消失していたことを知った。
未来技術と魔法が入り乱れる社会に、自分のような旧い教師はもう不要なのだと悟った翁は、終の住処としてとある学習塾を選んだ。
大災厄によって荒れ果てた土地の中で、偶発的に焼け残った旧家。
そこで小さな個人塾を開いて取り残された子供たちに教鞭を振るい、そしてその土地の再開発が終われば旧家と共に自分も消えてしまおう。
そんな覚悟でその家に越して来た翁は、そこで赤い和服を着た幼女と出会う。
それこそが翁の最大の理解者にして、後に生涯の伴侶となる女性――鷹狩結だった。
永いこと住む者もおらず、戦争に巻き込まれて半壊した木造家屋に宿っていた座敷童の結。
すでに朽ちた旧家と共に消える覚悟を固めていた結だったが、そんな家に越して来た翁の教育理念にいたく共感。そして、超獣が参入してきた今の社会にこそ翁のような教師が必要なのだと翁を激励し、彼のパートナーとして学習塾の経営をサポートすることとなった。
その土地だけでなく、戦争で孤児となった子供や学校から受け入れ拒否された超獣などを呼び寄せ、生活環境と教育を提供する。壊れた旧家を補修・増築して子供たちに無償で開放し、必要であれば焼け野原にコンビニを誘致して、私費で寮や医療所まで併設する。日中は子供たちの先生として振る舞い、夜は一日でも長く塾を経営できるよう様々な団体に協力を呼び掛けた。
結の言葉の通り、あたり前の教育すら受けられない超獣が山のように生まれ出ており、そのことが翁の使命感に再度火を灯した。
寝食を惜しんで奔走する翁を、結も長年の戦友のように尽くし支え続けた。
奇しくも同時期に日本が“超獣共存法”を打ち出したことで、多量の超獣が日本へと雪崩れ込み、社会だけでなく教育現場も混迷を極めていた。
そんな中で種族を問わず子供を受け入れ教育を施す学習塾があるとの噂が口コミで広がり、塾は様々な種族の子供たちで溢れることとなった。
そして二人の努力の賜物か、それとも座敷童としての力を取り戻した結の特性なのか。
大災厄後に台頭を始めた、WINK社の双璧として名高い“禊財閥”が周辺地域の再開発を買って出たことで、塾の規模は一気に膨れ上がり学校と呼べるまでになった。
インフラ整備が整うとともに居住区と商店街が生まれ、小学校はいつの間にか大学から幼稚園までの一貫校として軒を増やし、膨れ上がる人口に合わせてさらに開発が加速して。
翁がその地を訪れ十数年が経過した頃には、その地はもはや“鷹狩学園”として周囲に認知されるほどになっていた。
しかし、重務の果てに翁は急激に老い衰え、元々高齢だったこともあり床に伏せるようになった。
その頃にはちょっとした土着神レベルの権能を得ていた結は、座敷童の力で少しでも彼の寿命を延ばそうとしたが、「力は子供たちのために使って欲しい」と拒絶されてしまう。
その後、学習塾最初の卒業生らに見守られながら結と翁はささやかな結婚式を執り行い、ほどなくして翁は老衰でこの世を去った。
翁を亡くした結は葬儀もそこそこに宣言した。
いつか“自分たち”が不要な時代が来るその瞬間まで。この地に何者にも邪魔されない鉄壁の要塞を築き上げ、それを求める子供たちを受け入れて皆に等しく教育を施そうと。
後に“教育の権化”と呼ばれることになる、教育のためなら手段を選ばない幼齢の巨人が誕生した瞬間であった。
結は今日も静かに学園を見守り続けている。
時に子供たちを優しく愛でる母となり、時に外敵を討ち滅ぼす冷酷無慈悲な鬼神と化しながら。
関連人物:
〇鬼龍院鞢 秘書、ファンクラブ会長、最初の生徒
〇神谷都古 相対悪、かつての教え子
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【相対悪理論】