杜綱 きさら(もりつな きさら)
世界:ハッピーエンド
属性:人間 乙女 風紀委員長
設定:熱い杜魂と白兵戦術の素質を先天的に併せ持つ
通称:“魂杜羅”
鷹狩学園三十年の歴史の中でも最強と名高い武闘派風紀委員長。風紀委員、手芸部に所属。虎浪道場免許皆伝(通信教育)。
高校の入学式の際、宇宙より飛来した一千体のエイリアン軍団をたった一人で撃退したことでその場で風紀委員長に抜擢され、“熱い杜魂と白兵戦術の素質を先天的に併せ持つ最強の風紀委員長”と呼ばれることになった真顔少女。
ただ、あまりにも長いあだ名なので通常時は“魂杜羅”と記載されている(あだ名とはいったい……)。
長く鮮やかな赤髪が目を引くが、染めたり脱色したりはしておらず全て地毛。
きさらのことを恐れる不良たちは「返り血で赤く染まった」などと揶揄しているが、勿論そんなことはない(はず)。
また、きさらは感情があまり(というかほぼ完全に)表に出ない少女である。
本人的には喜怒哀楽の切り替わりが激しい方と思っているらしいのだが、外から見てもほとんど表情に変化が見られない。彼女の中ではハリウッドコメディ並の大爆笑をしているつもりでも、実際は「ふむ……」と軽く鼻を鳴らして口元に手を添える程度のリアクションなのだ。
そのため、きさらのことを恐れる不良たちは「血も涙もない鬼神」などと揶揄しているが、勿論そんなことはない(はず)。
そもそも、きさらは生まれた時から強かったわけではなかった。
子供の頃は年相応の腕力であり、隣に住む幼馴染みの少年を上級生や野良犬から守るために奮闘するので精一杯だった。
このままでは義弟を守り切れないと感じたきさらは、何気なくインターネットで出会った通信空手に目を付けた。
幼いきさらは特に疑問を抱かず申し込み用紙をダウンロードし、きさらの両親も深いことは考えずにOKを出した。
しかし本来守る予定だった義弟は、小学生に上がる際に親の都合でどこか遠くへ引っ越してしまった。
かと言って、一度始めたものを途中で辞めてしまうのも流儀に反すると、きさらはその怪しげな武術を習い続けた。
その義弟、杉恭路は今頃どうしているだろうか。
中学校に進学したきさらがそんなことを考えながら横断歩道を渡っていると、唐突に10tトラックが信号を無視して飛び出してきた。
――“虎浪流護星術”。
それが古来より銀河系に伝わる、外敵から自らの惑星を護るための武術であるという事実が判明したのは、きさらが蹴り一発でトラックを縦回転させた後の話だった。
高校受験を迎える頃には、免許皆伝を言い渡され(通信教育なのに)師範代に任命されていたきさら。
ご近所できさらの武勇伝を知らない者はおらず、街を歩けば通行人が道を開け警察官が敬礼しヤクザが土下座する。
友達はいるがお互いにどこか一線引いた付き合いで、自分を訪ねてくるのはお礼参りの不良ばかり。
そんな“普通”とは程遠い生活を送っていたきさらは、真顔のまま鷹狩学園のホームページに目を留めた。
もしかしてこの学校でなら、自分に相応しい“普通の女の子”としての生活ができるのではないだろうか?
受験生のきさらは熟考の末に願書をダウンロードし、きさらの両親も少し心配しながらもOKを出した。
その結果どうなったかは、冒頭で説明した通りである。
おまけにその一年後。ずっと心配し続けていた恭路が“不良”として学園に入学し、風紀委員活動中のきさらと再会する。
それぞれが風紀委員と不良という悲劇的な出会い――かと思いきや、きさらは「まあ義弟の間違いを正すのも姉の役割だな」と気楽な感じで恭路を蹴り飛ばすのだった(【杜綱きさらは笑わない】)。
虎浪流護星術の主な奥義。
奥義乃壱“雷充” 超高速の掌底打。縦横斜めと自在に打ち込めるようになれれば一人前。
奥義乃弐“韻律弩” 歩法。ステップとスウェーを組み合わせ一歩でキロメートルを駆ける。
奥義乃参“朱訃赤” 連撃の型。どんな技を起点としても最終的に五連打を繰り出せる。
奥義乃肆“光座” 壁を利用しての飛び蹴り。その衝撃は貫通して遠方の敵をも粉砕する。
三年生への進級直前。
“二年一組お別れパーティ”の際に恭路と決闘したきさらだったが、あともうちょっとで敗北できるというところで、昔撃退したエイリアン軍団がお礼参りに襲来して有耶無耶になってしまう。
怒りのあまり“スーパー魂杜羅”と化したきさらは、かつてない杜魂を胸に、無表情のまま淡々とエイリアン退治に出撃するのだった。
関連人物:
〇杉恭路 誇らしい義弟
〇グライザー エイリアンの親玉、実はきさらに惚れている
〇櫻井サラ・カーライル 風紀指導対象(相手は乗り気)
〇椿木春 普通の女の子仲間(相手は苦笑い)
関連物語
【杜綱きさらは笑わない】