95話
なにが、と問おうとしたレイの言葉は続かなかった。
何故なら、ランディの瞳から大粒の涙が次から次へと零れ落ちていたから。
ランディは涙を拭うことをせずにぽつりぽつりと嗚咽を上げつつ言葉を紡ごうとする。
「わ、わた、わたし……っ」
「えっと、ランディさん? 落ち着いて。一度お茶飲んで、ね?」
見かねた梨花と鈴が立ち上がってランディの背中をゆっくりと擦る。
リティスがアイヴィスと目配せをして頷きあった。
アルカナが手招きされ、リティスから指示を受けるとランディたちを隣室へ移動しようと声を掛ける。
「梨香、鈴。彼女を連れて部屋を変えましょう。身分ある方が泣き顔を晒すのはよくありませんでしょう?」
「あ……えっと、そうだね。ランディさん、行こ?」
「ランディさん、私たちと、少し、お話、しよ?」
無言で目を擦りながら頷いたランディを、梨香が手を貸しながら退出した。ついでにリティスとディアを除いた女子たちも一緒だ。
彼女たちの背中を見送って、レイは椅子の上で膝を抱えて首を傾げる。
「えっと……俺たちはどうする……?」
「取り敢えず、話せることは詰めておこうか」
優雅に茶器を傾けながら、アイヴィスは苦笑混じりに提案した。




