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91話

一頻り笑ったアイヴィスとカルロは、邪気のない笑みを浮かべる。

それこそ、仲の良い旧友同士が対面するかのように。


「ふふ。随分と久し振りだ、お前と会うのも。前回は二十年程前だったか?」

「そうですね、アイヴィス殿。正しく言うのなら、十六年ぶりになりますが」

「そんなになるか」


楽しげに話す二人に、周囲が着いていけない。

なにこれ、と眉根を寄せると、ディアがひそひそと状況の説明を始めた。


「うむ。実はの、あの二人……というか、先代の聖騎士団長が、じゃがの。どういうわけか意気投合してのぉ。殺しあいをしているというのに悪友のような関係に収まったのじゃ」

「その関係が連鎖的に聖騎士団員にも影響を及ぼして……その結果、実は聖騎士団員の殆どが此方側に離反したというか、寝返ったと言いますか……」

「言いたいことはわかりますが、同じですわ、お姉さま」

「「「…………………………………………」」」


言いたいことはごまんとある。

しかし、敢えて一つに絞るならばこれだ。


「何で戦争が未だに長期化してるのかわからない」

「「「そこじゃないだろっ/しょう⁉」」」


元々人族の国王の元に居たレイだからこそ、あの国王の異常さと人心掌握の無さを知っている。

それゆえの発言だったのだが、淳たちは納得いかなかったようだ。


しかしーー。


だから聖騎士団長を筆頭に、王家に対して批判的だったのかと、理解せざるを得なかった。

だが、当然ながら納得できないのが、一人。


「どういうこと……?」


放って置かれる形になったランディが、困惑も露に震える声で小さく言った。

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