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生命が恐怖するもの3

どうもー!更新分です!

ゆっくり見ていってください

 マスティマは続けざまに言った。


「我は置き札より2枚ドローを宣言っ!」


 腰の置き札より2枚引いて、手札に加える。

 俺はくわえられた札を見て思わず、「よし」と声が出た。


「使え、マスティマ!」


「うむ、ではいくぞ、我はコスト3を使い戦略札『永久の墓穴』を発動!」


「ん?」


 シャドウは首を傾げた。

 その顔からして、効果を知らないと見える。

 全く、しょうがないやつだ。

 それで環境の中心にいるんだから困る。

 俺はそいつに向かって言った。


「教えといてやる、永久の墓穴は発動時に、追加コストとして置き札の半分を墓地に送る戦略札だ」


 マスティマは手札を口で控え、置き札33枚の内の半分(端数の場合は置き札にあまりを置く)、16枚を別のホルダーに送る。


「そして、その効果は……置き札の中から三枚を指定し、置き札の好きな場所に戻すことができる」


 効果通り、マスティマは置き札から三枚選び、それを好きな場所に入れ替える。

 なんとか一方的なハンデスをされる前に状況は成立した。

 まだ不安はあるが、これで一気にこっちの手玉を運用することができる。


「一気に置き札を17枚にしてくるとは……気でも狂いましたかぁ?」


「そうだと思うなら、攻撃してみるといいさ」


 手札を整え、マスティマはターン終了を宣言する。

 観客からざわざわとやらかしたことを騒がれているが、もう何も気にしない。

 なぜならこっちを術中にハメたように、こちらもシャドウを戦略内に取り囲んだのだから。


「では、そうさせていただきますよぉ?」


 シャドウは前ターンと同じく、置き札からドローはせず、ムーンシャドウ2体を召喚。

 残りコストは2だ。


「さらに私は戦略札、コスト2を支払い『ドッペルミラー』を発動させていただきます」


「ドッペルミラー?」


 俺の知らない札だ。


「ゲシシシ……教えて差し上げましょう、ドッペルミラーはコストを好きなだけ支払い、置き札より場の式狛と同名の召喚札を支払ったコストの合計分だけ場に出せる札です」


「な、なに!?」


 コストに指定がない戦略札。

 この場合は支払ったコストは2。

 場にムーンシャドウがもう2体出現する。


「さてと……では、攻撃させてもらいましょうかぁ……いけっ! 4体のムーンシャドウ!」


 まず1体はドラキュラと相打ち。

 そして3体のムーンシャドウが襲い掛かる。

 しまった。こうも一気に攻撃を受けたら……。


 ドス、ドス、と。


 左腕、脇腹、そしてもう一撃の黒い影の剣は、頬をかすって通り抜ける。


「ぐっ……」


「っ……マスティマぁ!」


 特に左腕が重症だ。この状態じゃまともに動かせない。


「ゲシシシ……おやおや、困りましたねぇ」


「困りましたじゃねぇ! お前、わざとやったな?」


「わざと? はて? ダメージを受ける側のどこが傷つくなんて、そんなの運ですからね、私を責められても困りますよ?」


 ジャッジもこれに関してはスルーしている。

 クソッこれじゃ勝つ前にマスティマがデュエルを続行できなくなる。

 残り置き札はムーンシャドウ三体の攻撃を受けて14枚。

 そしてマスティマはまた手札を口に控えてダメージ分の三枚を引く。

 さっき仕込んだうちの一枚がたった今きた。

 伏札持ちの戦略札『静止の鎖』。

 相手はこのターンに攻撃をできなくする時間稼ぎの札だ。

 だが、今になっては意味がない。

 この札をセットしたのは置き札の上から三枚目。

 つまりダメージを受け切った後だ。

 こうも一気に横に並べてくるのは想定外。

 俺の失態だ。


「……!」


 俺はその札に目を疑う。

 それは、俺が入れた札ではなかった。

 いや、正確には入っていた札。

 マスティマがどうしても入れたいと言ってた一枚だ。

 勝てる。だが、とてもリスクが伴う。

 それはデュエル上でのリスクじゃない。

 マスティマは口に控えた札を右手に収める。


「私のターンは終了です……ゲシシシっ……ずいぶんと苦しそうですねぇ」


 マスティマは何も答えずにシャドウを睨んだ。


「ゲシッ……気に入らない目ですねぇ」


「貴様は……こんな痛みを感じたことはないだろう?」


「はい? まぁそうですが」


「……なるほど、通りで弱いわけだ」


 その明らかな挑発の言葉に、シャドウの眉間にしわがよる。


「聞き捨てならないですねぇ……この状況でその減らず口は自分がその後にどうなるかわかって言っているのですか?」


「同じだ」


「ん?」


 マスティマは静かに手札から一枚、口で抜き取る。


「我はずっと、疑問を持っていた……我がマスターカードである意味、こんな弱小効果でコロシアムに参加できる権限がある意義を……だから我は捨てよう努力してきた、マスターカードということを隠し通して生きていこうとしていた……だがな、それはただ自分の弱さから逃げようとしていただけだったのだ」


「マスティマ……」


「シャドウ、確かに貴様は強い……だがそれでも我は貴様を弱いと言い続ける、なぜだかわかるか?」


「さぁ? 理解しかねますね……」


「そうか……なら言ってやる」


 マスティマは手札を捨て札用ホルダーにしっかりと入れ、右手で腰の剣を抜いた。

 「下がっていろ」俺にそう言って地面に下ろさせ、そして、こう言い放ったんだ。




「弱小の我を――面白い能力と言ったやつがいるからだっ!!!」




 戦略札が、発動する。

 そのコストは5。

 マスティマと同じコストのその名は『背水陣』。

 効果は相手の場にある一番多い式狛を参照し、デッキ、手札、墓地にある同名の召喚札を全てだし、強制的にバトルする。


「さぁだせっ! 今まで出したことはないだろう!? 全力をぉ!!」


「ゲシ……ゲーシッシッシッシ!!!」


 場のムーンシャドウも含めて16体。

 ありえない数を詰め込みやがって。

 ムーンシャドウたちは、それぞれ剣を持ってマスティマに襲い掛かる。


「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」


 伸び縮みする影たちが、雨のように降り注ぐ。

 だがそれを確実に、一体……一体ずつ仕留めていく。

 それがマスティマの効果。

 だが、傷がついていくのは変わらない。

 マスティマの置き札も順々に減っていくんだ。

 同時にシャドウのライフも削れていく。

 13、34、12、33、…………。


「おいおい、このままじゃ負けちまうぞあの悪魔の姉ちゃん」

「でもなんだ、負けちまうのに状況が不利には見えねぇぞ?」

「あぁ……むしろ圧してるように見える……」


 そう、確かにマスティマはデュエルでは弱かった。

 それは初心者ということを知っていた俺が百も承知だ。

 しかし、デュエルではなく決闘ならどうだ。

 俺はその実力を知らない。

 本気を出したマスティマがここまで恐ろしい動きをするなんてのは、ウィズでさえ知らなかったことだ。

 だが、とうとう場的有利が崩される。

 針のようなムーンシャドウの一撃が、右腕にヒットした。

 手から離れた剣が宙を舞う。


「ぐっ……がむっ!!」


 両手が使えないなら口。

 剣の柄を宙で噛み拾うと、また一体、また一体と潰していく。

 そして、ムーンシャドウ二体が残った。

 激しい攻防でマスティマの辺り一面に土煙が立ち込める。

 観客は次々に言った。


「どうなった?」

「一体どうなったんだ!」


 そのざわめきで、マスティマが負けたとは誰も言わなかった。

 いや、言えなかった。

 そこのジャッジ以外、俺も含めてだ。

 そして、静かに土煙から一枚の札がヒラリと舞う。

 『最後の望み』という戦略札。

 コスト7、マスターカードもしくは式狛1体を対象にパワーを2倍にする効果。


「シシ……シシシシシ……ゲーッシッシッシ!!」


 シャドウはその札を踏み潰した。

 なるほど、よくできた決闘だ。

 誰もが魅入り、声も出せない。


「だが……」
















「……ぉおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」












挿絵(By みてみん)





















 土煙が風のように切り裂かれる。


 シャドウの笑い声はそこで映像が停止するように止まった。


 走る力に使用不能の腕を任せ、瞳をギラつかせた地獄の番人。


 そいつは剣を咥えていて、シャドウの首をまるで獲物狩るように、跳ねた。


 その顔は、初めて殺されたような、ひどく歪んだ恐怖の顔をしていた。




 


いかがでしたでしょうか。

確かにライフは0になったはずなのに

マスティマがこれは……勝ったのでしょうか?

次話に期待です!


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