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みんなで札探し2

 

「次のお店です!」


 ある程度探してないと判断した私達は、別のお店へ到着しました。

 青い屋根の、これまた綺麗なお店です。


「はぁ……」


「大丈夫か、マーメイ」


「うぅ……目が疲れたヨ」


「なら、もっとこれから疲れるぞ? 覚悟しておくことだな?」


「ふぇぇぇ~……」


「二人とも、早くしてください! 時間がもったいないですよ!」


「あぁ、今行く」


「ま、待ってほしいネぇ~……」


 こうして、私達は、たくさんの札屋を回りました。




「次いきましょう!」


「おぉわ~……」




「次です!」


「あぅぅ~……」




「次々!」


「……」




「これで……あっ、あんなところにもお店が!」


「ほぉ……こんな建物の隅に……」




「見てください、ここは食堂と一緒にありますよ?」


「ちょうどいい、昼食はここにしよう」


「やったぁ~、ご飯ネ!」




「さぁ、食べ終わったら再開ですよ!」


「ま、まだいくのカ!?」












 ディアロランは本当に広い街です。

 ようやく半分回った感じでしょうか。

 流石に、私も疲れてきました。


「ふぅ~……次で最後にしましょう!」


「そうか? 我はまだまだいけるぞ?」


「はい、ですが……」


 私はマーメイさんの様子を見ます。


「はぁ……はぁ……最後、ネ?」


「うむ、そうだな……次の店で最後にするとしよう」


 と、なると、どこのお店に入ろうかということになりますが……。

 もう日の入り時です。

 お店が商品をしまい始めていますので、そうのんびりもしていられません。


「あっ……」


 見覚えのある光でやっと見える四角い看板。


「マスティマさん、あれ!」


「ん? あれは……ライトフルーツで照らしているのか、珍しい店だな……」


 これだけ発展している街です。

 どこのお店もカンテラで暗闇を照らしているのですが……。

 あのお店は、たくさんのライトフルーツの花が光っています。


「あそこにしましょう!」


 私達は、その店まで駆けていきました。


「お邪魔しまーす」


「……いらっしゃい」


 葉巻を咥えた男性が、こちらを少し見つめてきます。


「……?」


 何でしょうか。

 まるで、怪しい者が入ってきたような表情です。


「なんネ、そんなにワタシ達の顔、そんなに変カ?」


「……」


 マスティマさんは、店番に睨みを効かせます。


「と、ともかく……早く見て店を出ましょう」


 早速私達は、5ガル均一の箱を3つ開けると、黙々と札を見ていきます。


「あっ、マーメイさん、これの4枚目ありましたよ?」


「お、ありがとネ」


「ふむ……なかなか同じ札は揃わないものだな」


「まぁまぁ……」


「――おい、お嬢ちゃん達」


 不意をつく声。

 間違いなく、あの葉巻を咥えた店番の方です。


「な、なんでしょうか?」


「なんだはこっちのセリフだ……あんたら、どこの店の回し者だ」


「……え?」


「とぼけても無駄だ……店仲間の連中から話は回ってきてるんだよ、5ガル均一ばかり漁りやがって……」


「あっ……」


 私は全てを察しました。


「ほう……我らが店を回っているのを店中で共有していたのか……」


「マ、マスティマさん!?」


「なんだ、やろうってのかぁ!?」


 私は、今にも喧嘩が始まろうという二人の間に割って入ります。


「やめてください、マスティマさん!」


「なぜ止めるウィズ、こいつらは……」


「違うんです、今回はロストは関係ありません!」


「……なに?」


「ロスト??」


 マーメイさんが首を傾げます。


「5ガル均一ばかり見てしまって申し訳ありません……ですが、私達はここから購入した札を別のお店で高く売却しようとは考えていません」


「どういうことだ、ウィズ」


 私は、マスティマさんにこう説明しました。

 札屋は、だいたい同じ値段で札を販売していますが、新品から古い物までたくさんあるために、相場が他の店に比べてズレが生じてしまう場合があります。

 なので、それを利用して高価な札を安く手に入れて別のお店へ売却するというやり口を使って儲けようとする輩もいるのです。

 店同士での交流が強いのは、互いに相場を一緒にして、どこで買おうとも損がないようにしているからなんです。


「ネルお婆ちゃんも、ローレルの札屋とは相場の違いが起きないようにしていたので、多分おじさんは私達が交流のない店からの回し者、だと思ったんですよね?」


「……あぁ、そうだ? てか、それ以外ありえない」


「私達は、そんなことしません」


「だったら、なんでどこの店でも札を買ってる?!」


 葉巻を捨て皿に擦りつけながら、男の店番は怒声を上げます。

 私は、落ち着いて目線を合わせながら答えます。


「お店に、潰れてほしくないからです」


「……なにぃ?」


「私の友達がよく言ってたんです……札を売る仕事は、本当に儲かっているところと、ただのデュエリストからデュエリスト同士のお金による交換の場になっている所があるって」


「……」


 私は、辺りを見渡します。

 掃除は行き届いていますが、最初に訪れた札屋とは違い、かなり建てられてから年月が経っている様子が見受けられます。


「私達は、そんなに今お金があるわけではないですが……だからこそ買いたいんです、50ガルでも100ガルでも、買える範囲でお金を支払わないと、向こう側の真新しい建物も、いずれは建物の整備すら出来なくなってしまいます、ですから……」


 

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