表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/207

マスターカードという運命2

先に謝罪を、すみません

今回も区切りがいいということで、かなり短いです(;´・ω・)

それではどうぞ


「絶望はここからって、その後にも何かあったのか?」


 ここまでの話をされて、この黒猫からしたら当然の質問だが、我は夜風に流すように答えた。


「我が……マスティマが悪魔であることを、彼はロックフォードの住人に言いふらしたのだよ」


「っ!」


 まぁ、少し考えればそうなることはいくらでも推測できたはずなのだがな。

 あの時の我はどうかしていた。マスターカードの記載を変えることができるなら変えたいとも思った。

 そして、もう一度会って彼に気持ちを伝えたかった。


「ふん……悪魔でありながら、人を呪うことも絶望を与えることも我は思えばできなかった……それは、マスターカードの効果にもある通り、相手からの攻撃の後に発動する効果だからなのかもしれないな……」


 相手の攻撃が終了した時、攻撃された対象のマスターカード、もしくはモンスターの攻撃力分のダメージを与え、破壊するか。

 我の性格に似ているな。奥手で相手側から話しかけなければ、何も話すことはできない。

 攻撃された後でなければ、鈍感で気づきもしない。自分でゴミ効果だと言ったにも関わらず、共通点が色々あって困るものだ。


「んじゃあさ……こうは考えられないか?」


「ん……?」


「お前は、中身は悪魔なんかじゃない……ってさ」


 我は、その言葉に響くものは一つもなかった。

 そうありたいと、涙が枯れるまで思っていた。


「我はすぐにカッとなると、なんにでも八つ当たりしてしまう……さっきも変な奴という言葉に反応して、我はお前も、ウィズとやらも一緒に殺してしまおうと思った……その考えは悪魔そのものだ、我が今更人間らしく振る舞うことなどできやしない……」


「それは違いますよ」


 女性の声。

 我は後ろに振り返る。

 ウィズという少女だった。


「私や淳介を殺そうと思ったのは、確かに悪魔的思考かもしれません……でも、カッとなってやってしまう度合いは、人それぞれですから……でも、あなたはそれをしなかった……自分で抑え込んだんですよ、だから、人間らしくだってできるはずです」


「ウィズ、お前……いつから起きてたんだ?」


「えへへ……ほぼ全部聞いてました」


 カッとなってやってしまう度合いは、人それぞれ、だと。

 片腹痛い。それだけで我が悪魔ではないという証明にはならないではないか。


「戯言ばかり並べるな、我は悪魔だ! その程度の推察で我の存在が悪魔であることは変わらないではないか……」


「そうですね……ですけど、明らかに悪魔じゃないって証拠なら、ありますよ?」


 ウィズとやらは、1枚の紙を出す。

 我が提出した個人票だ。

 彼女が見えるように票の表面を見せると、下に指をなぞっていく。

 そして、ある箇所でその指が止まった。


「“堕ちた堕天使……悪魔になっても人間を望む”……」


「……!」


 我は思わず開いていた目をゆっくり閉じてもう一度見た。


「ね?」


 少女はニッコリと笑っている。

 現神が我をデザインできた理由をやっと理解した。

 なんだ、我は元より、悪魔ではなかったのか。

 それに、まんまではないか。

 この感情も、このついカッとなってしまうのも、悪魔のような単純悪ではないのだな。

 我は二人の間を通り過ぎ、ウィズから自分の個人票を奪うようにとって、本来入れておくべき筒に綺麗にしまい込む。

 一言言った。


「寝る」


「おい、夜行性だから寝ないんじゃないのか?」


 全く、こいつは何も察することができない奴だな。

 涙をこらえるので必死なだけだ。

 少しは気づけ。


「言ったろう? あまり寝ないとな」


 寝たら、思い出していたからな。

 あの時の事を。

 だが、今日は深く眠ることができそうだ。

 それに――。


――我は少しだけ、自分の効果を好きになった。















 

 

 

ネットで更新だと

どうしても分割になってしまって区切りがよいとこだとかなり短くなってしまいますね(;´・ω・)

また次の更新もどうぞお楽しみください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ