マスターカードという運命2
先に謝罪を、すみません
今回も区切りがいいということで、かなり短いです(;´・ω・)
それではどうぞ
「絶望はここからって、その後にも何かあったのか?」
ここまでの話をされて、この黒猫からしたら当然の質問だが、我は夜風に流すように答えた。
「我が……マスティマが悪魔であることを、彼はロックフォードの住人に言いふらしたのだよ」
「っ!」
まぁ、少し考えればそうなることはいくらでも推測できたはずなのだがな。
あの時の我はどうかしていた。マスターカードの記載を変えることができるなら変えたいとも思った。
そして、もう一度会って彼に気持ちを伝えたかった。
「ふん……悪魔でありながら、人を呪うことも絶望を与えることも我は思えばできなかった……それは、マスターカードの効果にもある通り、相手からの攻撃の後に発動する効果だからなのかもしれないな……」
相手の攻撃が終了した時、攻撃された対象のマスターカード、もしくはモンスターの攻撃力分のダメージを与え、破壊するか。
我の性格に似ているな。奥手で相手側から話しかけなければ、何も話すことはできない。
攻撃された後でなければ、鈍感で気づきもしない。自分でゴミ効果だと言ったにも関わらず、共通点が色々あって困るものだ。
「んじゃあさ……こうは考えられないか?」
「ん……?」
「お前は、中身は悪魔なんかじゃない……ってさ」
我は、その言葉に響くものは一つもなかった。
そうありたいと、涙が枯れるまで思っていた。
「我はすぐにカッとなると、なんにでも八つ当たりしてしまう……さっきも変な奴という言葉に反応して、我はお前も、ウィズとやらも一緒に殺してしまおうと思った……その考えは悪魔そのものだ、我が今更人間らしく振る舞うことなどできやしない……」
「それは違いますよ」
女性の声。
我は後ろに振り返る。
ウィズという少女だった。
「私や淳介を殺そうと思ったのは、確かに悪魔的思考かもしれません……でも、カッとなってやってしまう度合いは、人それぞれですから……でも、あなたはそれをしなかった……自分で抑え込んだんですよ、だから、人間らしくだってできるはずです」
「ウィズ、お前……いつから起きてたんだ?」
「えへへ……ほぼ全部聞いてました」
カッとなってやってしまう度合いは、人それぞれ、だと。
片腹痛い。それだけで我が悪魔ではないという証明にはならないではないか。
「戯言ばかり並べるな、我は悪魔だ! その程度の推察で我の存在が悪魔であることは変わらないではないか……」
「そうですね……ですけど、明らかに悪魔じゃないって証拠なら、ありますよ?」
ウィズとやらは、1枚の紙を出す。
我が提出した個人票だ。
彼女が見えるように票の表面を見せると、下に指をなぞっていく。
そして、ある箇所でその指が止まった。
「“堕ちた堕天使……悪魔になっても人間を望む”……」
「……!」
我は思わず開いていた目をゆっくり閉じてもう一度見た。
「ね?」
少女はニッコリと笑っている。
現神が我をデザインできた理由をやっと理解した。
なんだ、我は元より、悪魔ではなかったのか。
それに、まんまではないか。
この感情も、このついカッとなってしまうのも、悪魔のような単純悪ではないのだな。
我は二人の間を通り過ぎ、ウィズから自分の個人票を奪うようにとって、本来入れておくべき筒に綺麗にしまい込む。
一言言った。
「寝る」
「おい、夜行性だから寝ないんじゃないのか?」
全く、こいつは何も察することができない奴だな。
涙をこらえるので必死なだけだ。
少しは気づけ。
「言ったろう? あまり寝ないとな」
寝たら、思い出していたからな。
あの時の事を。
だが、今日は深く眠ることができそうだ。
それに――。
――我は少しだけ、自分の効果を好きになった。
ネットで更新だと
どうしても分割になってしまって区切りがよいとこだとかなり短くなってしまいますね(;´・ω・)
また次の更新もどうぞお楽しみください!




