表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/207

私達に出来て、あなたには出来なかったこと。

お久しぶりです。


長いこと更新止めちゃって申し訳ありません(-_-;)


なんせ……ふふふ、マスティマさんが上方修正とあっちゃ、ゲームやらずにはいられなくて、はい。

あ、失礼。


それでは、本編どうぞ!

 

 ウィズは俺と目を合わせる。

 不安そうでありながらも、俺が静かに頷くと、その緩めていた杖を握る力を取り戻した。

 それは言うまでもない。

 あの巨大な式狛に、ウィズは立ち向かう覚悟を決めたのだ。


「……ふざけないでよ」


 しかし、それに納得がいかないカレナリエン。

 そりゃそうだろう。

 ウィズの墓地にある裏向きの札は残り27枚。

 このままリコードタグワンモアテイクの効果でミスペイメントジャイアントを攻撃し続けても、俺の計算では完全に破壊しきるためにはあと一撃足らない。

 つまり、このまま攻撃し続けても破壊には至らないし、これで完全にウィズのやれることはなくなり、次の攻撃をもろに喰らうことになる。

 そう、誰もが思うことだ。

 この行動は、確実に盤面を返しきれない。

 謂わば無駄でしかない行動。

 それに、カレナリエンは怒っているんだ。

 だから、どんな言葉を返されるか、俺にはわかる。


「無意味なことをして、何が面白いっていうのよ!!」


 そう、無意味。

 返ってくるダメージを考えれば、無謀で何も起こらない悪あがき。

 しかし、ウィズは――――。


 杖からは滾る炎。

 刹那の時とともに、その一撃をミスペイメントジャイアントに浴びせる。

 そうすることによって何も変化は起きていないようにも見える。

 だが、俺は気づいていた。

 少しずつ崩れる変化を。


「無意味じゃありません……カレナリエンさんは、私の攻撃で、少しずつですがダメージを受けています」


 これが狙い。

 ウィズのマスターカード効果は、場と相手に1ダメージ。

 確実にカレナリエンの置き札は減っている。


「くっ……それが何だって言うのよっ! ライフは残るし、あんたが負った傷に比べればかすり傷じゃない!」


「かすり傷でもダメージはダメージ……ですっ!」


 ボロボロで、足にも限界が来ているはず。

 それでもウィズは杖を振るう。

 3回、4回、5回……。

 そうするたびに、ミスペイメントジャイアントが、苦し気な悲鳴を上げる。


「わ、悪あがきはやめなさいよっ! もういい、もういいじゃない、そこまでして、体力を限界まで使って、何も得られなかったら意味がないじゃない!」


 何度も言う。

 しかし、そうかもしれない。

 だけど、今の俺なら言えるし、ウィズにもその返しをどうすればいいかわかる。


「でもそれは……」


「……っ!」


 残り攻撃回数は1回。

 これが最後の一撃だ。


「――――それは私達が出来て、あなたには出来なかったことですっ!!」


 場に出現し、場を離れずに残り続けたミスペイメントジャイアントは、最後の一撃だったはずなのにも関わらず、平然とその攻撃を受け止めた。

 締まりが悪いな。

 だが、これでいい。


「私はこれで……ターン終了です」


 茫然と俯くカレナリエン。


「あんた達に出来て、あたしに出来なかったこと……?」


 強く、その手のひらを握り締める。


「それが、意味のないこと、だっていうの?」


「あぁそうさ……もっとも、今のお前にはなんのことだかわからないだろうけどな」


 そう煽るように言うと、カレナリエンは顔を上げた。


「えぇそうね、わかりたくもないわっ!」


 宣言もせず、カレナリエンは1枚ドロー。

 そこから1枚札を取り出すと、使用を宣言した。


犠牲の魂(サクリファイスソウル)っ!」


 自身の手札を2枚捨てて、エキストラコスト1枚追加。

 これでまたミスペイメントジャイアントは、場を離れなくなった。

 しかし、残り通常コストは3。

 カレナリエンは、俺たちにさらなる難題を突き付ける。


「霊魂の返礼、発動!」


 さらにその2枚をも墓地からエキストラコストとして追加する。

 これでまたミスペイメントジャイアントは、三回まで場を離れなくなった。


「さっきさっさと降参してしまえばよかったものを……そのためにこの一撃を喰らうのよっ! 行きなさい、ミスペイメントジャイアント!」


 手負いながら、腕力の思うがままその拳がウィズに飛んでくる。


「させませんっ、伏札『無力化の魔法』をダメージ処理とともに発動しますっ!」


 ウィズの周りを白い膜が覆いつくす。

 よし、なんとか伏札が引っ掛かった。

 無力化の魔法は、次のターンはじめまで、自分へのダメージは全て0になる。

 しかし、置き札の15枚目からの伏札。

 削られた枚数はかなり痛い。

 ……メイがその光景を見ながら舌打ちをする。


「っち、全くお前らは運だけはいいみたいだなぁ……だが、状況は変わらないままだ、ミスペイメントジャイアントを何とかしねぇ限り、お前らにまともなダメージは入らない」


 俺はニヤリと笑う。

 その言葉、全然強気で返せる。

 だけど、言うのはお前だ、ウィズ。


「それは――――どうでしょうか?」


「……なに?」


「ミスペイメントジャイアントはロストモンスターではありません、だから、こんな攻撃の前では無力も同然です!」


 ウィズのターン。

 手札が満杯のウィズは、ドローをせず、1枚の戦略札を取った。


「炎の魔術、それは私の十八番であり、最強の武器ですっ!」


 頭上で炎の塊が具現する。

 戦略札、グランメテオ。

 マスターカードのコスト分のダメージだが、マスターカードが小さな炎の魔術師ウィズである場合、ダメージが倍化する。


「喰らってください、グランメテオぉ!」


 ウィズの振り下ろされた腕とともに、カレナリエンにその攻撃は直撃し、火柱を上げる。


「うあああああああああああああああああああああああ!!」


 ようやく、まともなダメージ。

 しかし、カレナリエンも毎ターンドローをしすぎて、置き札も残り少ない。

 これで上手くスペルシードラスのあの効果を使うことが出来れば、これ以上カレナリエンを傷つけずに勝負を決めることができる。

 次のターンだ。

 次のターンで――――決まる。

さぁ、いよいよ次で決着です。


スペルシードラスの持つもう一つの効果。


そして、ボロボロのウィズはロストを振り払うことができるのか。


それでは、またノシ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ