お節介焼きな二人
おまたせしました……
えぇっと、色々ありまして更新できる時間がなかったこと、お詫びいたします(・_・;)
ちょっと仕事で昇進の話とかが来てまして、忙しいのと、疲れで寝ては起きて仕事行って寝てを繰り返していました。
それでは、本編どうぞ。
「そうよ……」
「っ!」
ゆらりと、ベッドで横になっていたカレナリエンの身体が起き上がる。
「あたしは元々、現神に仕える神の候補者と呼ばれた四人のうちの一人、速射弓の持ち手、カレナリエン……」
殺気を感じ取ったのか、マスティマは睨みを利かせて腰の剣に手をかける。
「久しぶりね、地獄の番人マスティマ……あんたには聞きたいことが山ほどあるのよ」
「……どういうことだ」
「とぼけないで! あたしの仲間達はどこへやったのよ!」
「……」
マスティマは眉間にしわを寄せる。
「そう……やっぱりそうなのね、あんた達悪魔が、仲間に手をかけたんでしょ!?」
「よせ、我らにもう戦う理由はない」
「戦う理由がない……? ふざけないで、よくも……よくも私の大切な、友達をぉ!!」
「……!」
俺はそこでハッとなった。
薄く照らす光、そこに反射する白光する手入れの利いた物。
そのよく研がれた短剣を手にしたカレナリエンは、マスティマに向けて刃先を振り下ろす。
しかし、マスティマはその短剣を持つ手首をあっさりと掴んで止めてしまった。
「くっ……うああああああああああ!!」
力を振り絞るも、マスティマの力には全く及ばない。
そう競り合いが続いていると、マスティマがカレナリエンに言った。
「やはり、既に候補者の異名は剥奪されているということか……」
「うる……さいっ」
「それでは、例え我と同じマスターカードであろうと、力の差は歴然だ」
「うるさいって言って……あっ」
刹那、突然としてマスティマは、腕に入れる力を緩める。
そして、勢い余った彼女の短剣が床に刺さると、まるで抜き取るように自分の手中へ収めた。
「終わりだ、カレナリエン……」
「何よ……武器がなくたってあたしはぁ!」
やばい。また始まる。
止めなきゃ。
止めるために、何かを言わなきゃ。
くそ、なんでこういう時に限って震えているんだ、俺は。
「おい、お前ら――――」
「やめてください!!」
その大きな声に、二人の視線はそっちに向く。
ウィズは、いつの間にか床に伏して頭を下げていた。
「お願いです……マスティマさんは、私達の大切な友達なんです」
「ウィズ……」
「だから、どうか信じてください……何も知らないんです、お願いします」
その行動に、一瞬こそ辺りは静かになる。
「……何を信じろっていうのよ、こんな外道な存在っ」
ふと、マスティマを見たカレナリエンは、思わず目を見開いた。
「あんた……」
「すまなかった……だが、これは正当防衛、こうする他なかったのだ……しかし信じてほしい、我はお前の仲間、残り三人の神の候補者の行方は全く知らない」
「……」
カレナリエンは、拳を強く固める。
そう、これだ、この気迫だ。
俺は、この気迫に、何も言葉を発することができなかった。
なんでだろう。
それはまるで、踏み入ってはいけない領域。
例えるならば、他人のいざこざに二人とは全然関係のない人物が割って入るような、そんな気分を感じ取った。
「……ふーん」
カレナリエンは、腕を組みながら続ける。
「あんたも変わったわね……あれほど他種族との戯れを拒んでいた悪魔が、猫と人間の友達、ねぇ……」
そのゆっくりとベッドに座り込む彼女の姿に、さっきの気迫はほとんどなかった。
「いいわ、認めてあげる」
「っ!」
「お、おい、いいのかよ!」
と、驚いたような言葉を発する俺だが、マスティマの方が下げている顔を上げるほど驚いている様子だった。
「俺たちは、確かに嘘はついてるつもりはないけどよ……でも、軽々しく決めつけすぎじゃないのか?」
「うるさいわねぇ、猫の癖に、ハイエルフのあたしに異見するんじゃないわよ!」
ごもっともかもしれないが、俺は元人間なんだけども。
「それに……」
「ん?」
なんて、俺が心の中で思っていると、ボソッとカレナリエンは呟いた。
「あたしは、友達って言葉に弱いだけよ……」
その言葉は、どうやら俺にしか聞こえていなかったようだった。
カレナリエンは、俺たちに早急この場所から去りなさい、と俺たちにトゲのある声を出すと、すぐさま上の階へ行ってしまった。
なんでも、また最上階で辺りを監視する仕事に戻るとのことだ。
「なぁ、マスティマ、ウィズ」
「ん?」
「なんですか?」
「あいつさ、なんでここにいるんだろうな……」
「なんでここにいる、とは?」
「いや、よく考えてみろよマスティマ、その悪魔の反乱って戦いはお前がマスターカードになる以前の話なんだろ?」
「あぁ、そうだが」
「それってつまり、500年以上も前の話ってことになるんじゃないのか?」
「……あぁ、そうなるな」
「それって……もうその神の候補者である三人ってのは」
「……」
マスティマは、俺から目を背ける。
「あ、あぁそっか、全員もハイエルフとか、そういうことだろ、な?」
ハイエルフっていうのは、永遠の生を許された種族。
誰かに殺されたりしなければ、その寿命は、例え水も食料も口にしなくても、形を変えず生き続ける。
……っていうのが、俺の生前の知識だ。
何も言ってこないってことは、それで合っているんだよな。
「だ、だったら、安心だ! あいつが最上階でまだ監視している理由もわかるわ、帰ってくるかもしれないしな!」
「いや……」
俺の言葉を、マスティマは否定する。
「他の三人は、ハイエルフではない……我がそれはよく覚えている」
「……え?」
「あいつのやっていることは、ただの待ちぼうけだ」
「あの……」
今まで黙っていたウィズが口を開いた。
「じゃあ、どうしてカレナリエンさんは、帰って来ないはずの人たちを待ち続けているんでしょうか?」
「さぁな……戦いが終わっていることはもう気づいているようだし、それ以上を詮索しようものなら、直接聞くしかないだろう」
「だったら……」
ウィズは俺と目を合わせる。
そうだよな、俺もそう思っていたところだ。
「聞いてみましょうよ、どうしてここにいるのかを」
「そうだな、聞いてみなくちゃわからねぇしな」
「いいのか? あいつ自身の問題なのに、お前たちが首を突っ込む必要性はないと思うが……」
「んなもん関係ねぇ!」
ウィズが俺の言葉に頷く。
「確かに、俺たちには何の力にもなってやれないかもしれないけど……デッキも、他人の意見を聞いて初めてわかることはいっぱいある、それと同じように、あいつのこともこっちから聞かなきゃわからない! そうだろう?」
それだけじゃない。
この世界は、変わりすぎてしまった。
神が変えすぎてしまった。
その影響で辛い思いをしている奴がいるってことがわかったなら、そいつの悩みにとことん付き合う。
だっておかしいもんな。
こんなカードに縛られた世界なんて。
「……全く」
マスティマは、ため息交じりの笑みを浮かべながら言った。
「おせっかい焼きだな、お前たちは」
前向きな二人が羨ましい……。
私ももっと、前を向いて人生歩かないといけないですね……。
それでは、また次の更新でノシ




