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光と闇の御子  作者: おおかみ
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手合わせという名の兄妹喧嘩-2

「早い登場だな。お前があの悪魔と呼ばれてる女か」


競技場に着いて早々ライトはダークに声を掛ける


「そうよ。そんな事よりも外に出られたのなんて久しぶりすぎて少し戸惑ってたんだけど、とても良い所ね」


観客席からはライトを心配する声とダークに対しての批判の声が混じり合い、罵声と化してダークに向けられていた。


「ふん、どうせすぐに地下牢へ戻ることになるんだ。今のうちに満喫しておくんだな」


ライトの言う通りにダークは手を広げて大きく息を吸い込んだ。

満足気に深呼吸をしていればライトは眉間にシワを寄せる


「どうしたの?久しぶりの対面なのに不機嫌ね」


「久しぶり?何を言ってる?俺はお前と会ったことなんて1度たりともない。」


その言葉にダークは少し残念そうな顔をしたが、すぐに笑顔を作ってライトに微笑みかけた


「忘れちゃったんだね、私は覚えてるわ。ライト兄さん、あなたが私に言ってくれた言葉も全て覚えてる」


「妄想も大概にしろ。それに俺のことを兄と思っているなら残念だったな、俺はお前を人間とは思っていないんだ」


辛辣な言葉をものともしないでダークはライトをじっと見つめる


「それでも良いわ。ずっと会いたかった・・・じゃあ、お手柔らかにお願いしますね、ライト兄さん」


審判が競技場に来たことでダークは杖を強く握りしめた


「皇子、用意はよろしいですかな?」


審判は乗り気では無かったが、これも仕事と自分に言い聞かせて完璧にこなそうとする。


「いつでも大丈夫だ」


ライトが返事したのを確認して審判はうなづく


「それではご両者、神の加護を受けしこの場所で正々堂々戦うことを代理人として見届けさせていただきます。今回は魔法の発動も許可することとし、これより試合を開催する。・・・よーい、始め!!」


合図を告げられると共にライトは腰に携えた剣を抜かず、持っていた杖を高く掲げた。

その杖も素材は異なるが、剣と同じく一流の職人に作らせた賜物で杖自体が高純度の魔力を纏っており、杖の先端には王家の紋章があしらわれていた


「”召喚魔法、我に従いし従順なる下僕よ、我の前に現れ我の礎となれ”フェネクス!」


間違いなく手加減なしの本気で立ち向かってくるライトにダークは憮然とした態度でそれを見守る


「いきなり召喚魔法とは思ってもみなかったなぁ」


ライトが唱えた召喚魔法により地面には魔法陣が展開され、それと共に大きな金切り声の鳴き声が空から響いてきた。

競技場には天井がないため開放感バッチリなうえに今日は雲一つない青空が見えていたはずだったのだが、地上からでも分かるぐらい燃え盛る炎のような真っ赤な塊が大きな羽を広げて命令を待っていた


「お前は召喚魔法を使わないのか?あぁ、失礼。ずっと地下牢にいたお前には無理な話だったな」


明らかに理解している上での発言だと分かった。

しかし、ダークは気にした様子もなく召喚された空の生物を観察していた。


「うーん、あれくらいなら私は呼ばなくても大丈夫かな。」


にこやかに笑うダークの余裕がライトを余計に不機嫌にさせた。

ライトは右腕を伸ばして待機していたフェネクスに合図を送る。すると察知したのか翼を上下させて地上に降りてきた。


「負け惜しみにしか聞こえないな。それともこいつを倒すとでも言うのか?どちらにせよ、お前は俺に平伏すことになるさ」


地上に降りてきたフェネクスと呼ばれる鳥は巨大で赤い羽に紫を加えた不思議な色をしていた。

観客席からは絶賛の声とライトをおだてる声がする。

教師も安堵の表情を浮かべる。

ライトが召喚したフェネクスは上級の特別な魔物で契約を結ぶのも難しく魔力を大きく消耗するため、召喚した瞬間力尽きることも稀にあるのだ。

しかしそんな事は起きなかった。だからといって油断をすることは出来ない。

早く勝負を決着させて切り上げなければ体力がもたずに倒れてしまう。


「フェネクス、アイツを平伏させろ」


「キョエーー!!」


その命令を受けてフェネクスは高い声を発してダークに向かって突進してきた。

それに対してダークはなんの抵抗も見せない。

ダークを見ていた全員が彼女の負けを確信した。

ただ1人ラグを除いては


「単純で短気、そんなあなたが王国の皇子なんて皮肉ね。妹として恥ずかしく思うわ」


ダークはゆっくりと手を前に掲げて無詠唱で魔法陣を展開させる


「無詠唱だと?」


魔法陣を展開させる上での詠唱は必要不可欠。

それがこの世界での理であり一般常識だ。無詠唱なんて考えられない。

それを目の前の女は易々とやってのけた。

フェネクスの体当たりはダークが繰り出したガードにより防がれてバランスを崩した


「無詠唱での魔法は初めてなの?ラグさんは当たり前のように使ってたよ」


そう言われたライトはバッと国王の横に立っているラグとおぼしき人物を見た


「あれは例外だがお前なんかじゃありえない」


ラグの噂は多々ありすぎて皇子であるライトでさえも全貌を把握しておらず、どのような人物なのか不明のまま国王の忠臣として仕えていた


「えぇー、だって出来るんだもん。そんな事言われても困っちゃうよ」


「フェネクス!もう一度だ!」


ライトの命令で態勢を立て直したフェネクスは再び突進してきた


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