表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

とある日の放課後

作者: 柑奈

そういえば私が書いた物語って全部、女の子視点じゃん。……というわけで、男の子視点です。

「木田くーん」


 ……面倒くさいやつがまた来た。

 ここ最近、俺はこいつに絡まれている。朝の登校中も、教室移動の時も、休み時間の時も。

 そのうちあきるだろうと思って、てきとうにあしらっていたのだが、奴は今日という今日も、あきもせず、絡みに来る。


「木田くん、一緒にかーえーろ!」

「嫌だ」

「えー、なんでよ。いいじゃん。方向一緒なんだし」

「そういう問題じゃない」

「とかいって、一緒に帰る友達もいないくせにー」


 それはない。俺にだって、登下校を共にする友達の一人や二人………………いや、いないか。うん。だからこそ、こいつに絡まれてるんだしな。


 黙りこんだ俺を見て、ニヤー、という笑顔を向けてくる。


「……なんだよ」

「ほら。やっぱり、いないんでしょー。だから、私と一緒に帰ってるんだもんね」


 フフッ。

 実に嬉しそうに笑いやがる。


 ……だから、少しいじわるをしてみたくなった。


「……あー、実はさ。来週から、従兄弟がこっちに越してくることになったんだ」

「へぇー。今、いくつ?」

「えっと、俺の六つ下だから、九歳だな。小2だ」

「かわいいじゃん」

「そうでもねぇよ。……それはいいとして、その、それなりにまだ小さい従兄弟を、道を覚えるまでは、ちゃんと学校まで送り届けるように親から言われてんだよ」

「へ、へぇー」


 ちなみに、俺が通ってる学校は、小、中、高まで同じ学校の敷地のなかに入ってるから、兄弟で仲良く登校なんていうのは、珍しくない。まぁ、あくまで、仲の良い兄弟に限っての話だが。


「…………じゃあ、来週からは、登下校は別にするね」


 おや。急におとなしくなった。


「俺はそれでいいんだけどさ……おまえはそれでいいのか」

「え?……どういう意味?」

「……別に従兄弟は人見知りなわけでもないし、男二人で登校よりも、お姉ちゃんが一人くらいはいた方がいいと……思うんだが」


 言い終わった途端、奴の顔が輝きだす。


「なにー?木田くん、私にそっけなかったくせに、一緒にいさせてくれるんだー。へぇー。じゃあ、これからも遠慮なく絡みにいくから、よろしくねー」


 あ、絡んでるという自覚はあったのか。


 では、ここらでネタばらしといきますか。


「盛り上がってるところ、悪いのですが、今の従兄弟の話は、すべて嘘です。なので、おとなしく諦めて、今後、俺に絡むのはやめてください」


 一瞬の間。


「はぁ?え?なにそれ……どこから……」

「最初から。俺に年上の従兄弟はいても、年下の従兄弟はいない」

「……私の感動は?」

「知るか、んなもん」

「えーーーーーー!」


 ああ、今日もうるさいやつだ。


 でも、まぁ、こんな、にぎやかなのも嫌いじゃない。

「『君はそれでいいのかい?』って言う短いお話」というお題で、台詞は少しいじって書きました。


今まで、縦書きのワープロ→携帯で推敲もかねて打つ→投稿、だったのを、前回からは、縦書きのワープロ→横書きのワープロ→携帯で打つ、にしました。

これで少しでも見やすくなれば嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ