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普通のはずの転校生!?第2話

一つ目クラちゃんでございます。

なんと小説家になろうデビュー作『普通になりたかったはずなのにどうしてこうなった』第2話。

前回の1話から大分期間が空いての投稿になっております。

色々と忙しかったといえば言い訳にはなりますが、ブックマークしてくださった方には申し訳ございませんでした。

長ったらしい前書きも何ですし、言いたい事だけ書いておきます。

それでは普通になりたかったはずなのにどうしてこうなった、第2話。お楽しみください。

4時間の私の重々しい気持ちを引きずったままの授業時間は終わり、昼休みの時間になった。

途中で心拍数が上がり過ぎて息苦しくなり調子を崩したりもした。

しかしこうなったのも、あいつのせいだ。

今朝のホームルームでやってきた転校生、きっと大体の学校で1人はやって来るはずの転校生。

突然何の前触れもなくやって来た転校生。

見た瞬間の印象は元気で褐色の普通の女の子だったんだ。

絶対に美少女じゃないし、超能力少女だったりもしない、しかし、あろうことか転校生はいきなり私の名前を呼んだのだ。

もちろん私も普通の男子中学生、それどころか女付き合いすら悪く、あんな女の子全く見たこともない。

しかし、後から彼女に話を聞けば聞く程彼女は…

あー…くそ!

駄目だ、まずこのどうしようもなく混乱しているこの気持ちを抑えなくては。

私は気持ちを抑えるために窓から空を見上げた。

しかし空は私の気持ちに追い討ちをかけるかのように曇っていて、昼にも関わらず辺りを暗がりで覆っていた。

私の気持ちの落ち込みは最高潮に達したと言えばいいのか、底辺に達したと言えばいいのか、私は深くうなだれた。

私はこんな苦痛を今までに味わったことがあろうか。

あったとしたら私が入院した時くらいだ…がここれはそれとはまた違う物だろう。

これは人間関係の話だ、病気の身体的苦痛とはやはり違う。

私は人間関係も失敗しないよう、普通に生きてきたつもりだ、友達には優しくし、少し気持ちがすれ違ったりもして喧嘩したりもしたが、その友達とも一人残らず今でも仲良くしている。

結論私は人間関係でも失敗した事は無く、こんな苦痛を感じたことは無い。

『どういう事だよっ!』とやり場のない叫びを心の中で叫んだ。

ふと、その時だった。

「なにやってんのっ」

私を一つの声が呼んだ。

それと同時に私の肩に腕が回される。

ふりかえると、それは転校生、村田 享だったのだ。

…それは馴れ馴れしくも、転校生村田 享だったのだ。

彼女は口角を上げたまま首を傾げた。

「どうしたのさ、そんな湿気った顔してさ」

お前のせいだよドアホ!

心の中でそんな悪態をつく。

「…近い」

クラスの中で容赦無くくっ付いてくるのは困る、しかも相手は女子なのだ。

「へ?」

そういうと、村田は言葉ともつかない声で疑問の意を返した。

「お前は今は女子なんだと言う意識を持って行動してくれないか」

すると村田は少し驚いたような顔をしてから、いやらしい笑顔を浮べて離れる。

「なんだよその顔は」

村田はまじまじと私の体を舐めるように見てくる、その仕草は私の反応を面白がっているように見えた。

「いや、別に?」

彼女はにやける顔を誤魔化す様にニカッと口を開いた。

「ただね、やっぱり君でもそういう事を意識するんだなぁって思ってね」

ふと、その言葉は少しだけ寂しさを帯びているようにも感じたのだが、笑顔のままのその顔からは寂しさの感情は読み取れなかった。

しかし、君でも…か…。

やはり元いた学校でも、その事をからかわれたのだろう。

村田 享、『彼女』は、戸籍上も、見た目も女性である。

だが、彼女は元は男なのだ。

私が以前入院していた時の院内学級、彼女は私がそこにいた時の同級生である。

彼女は男だった頃に、ゲイだったわけではない。

普通に昔彼女がいたこともあるらしい。

かと言って性格が女性っぽかった訳でもない。

至って普通の男子だった。

なのに…なんでだ、なんでなんだよおぉぉ!

なんで彼は…、彼?彼女?

いやいや、どっちでもいい。

とにかく村田は、なんで女となったのだ?

「篠原…?どうしたの?」

グイッと村田の顔が近づく。

「っ!?」

思わず顔が退く。

やはりこいつは自分が女子だという自覚が足りていない、明らかに。

私の反応が面白かったのだろう、村田はクスクスと笑っている。

…なんなのだ、これは。

何度も言ったかと思うが、私は女性との付き合いはあまり無かったのだ。

さらに目の前にいる女子は、昔は親友だった…さらに親友だったのだ。

なんてことだ…なんてことだ…

僕は転校生で恋愛小説のよくあるタブーを想像していたはずだ、なのに、なんだこれは!これは恋愛小説のタブーではない!

これは何でよくある展開かって言ったらそうだ、成人向けマンガの展開じゃないか!どうしたってこれは想定外だよ!

ふと、村田が笑ったまま口を開いた。

「いや、そうだよね。そういう反応になっちゃうよね、ごめん。」

村田はフウ、と息をついた。

「君の反応を確かめたかっただけなんだよ。」

うつむいてそう言った。

きっと、村田がこういった事をしているのはきっと、彼が転校してきて知っている人が、私1人だからなんだろう。

変わってしまう、前の姿を…

転校してきた理由は大体予想がつく。

転校した理由を言わない辺り、やっぱり向こうでその姿の事で苛められたのだろう。

でも、やっぱりそんな予想はついていたんだろう。

ついていたからこそ、どうしようもなかったんだろう。

覚悟をしていると、それをどうにかしようして生きるのではなく、それを受止めて、我慢して生きていこうとしてしまうから。

もちろんそんな風にされるがままでは相手の行動もエスカレートしていく。

その証拠にさっきから笑顔を見せている顔には、不自然なアザと、傷が残っていた。

私は1人で暗くなってしまっている村田に、何か気の利いた言葉でもかけてやろうと考えていると、先に村田の方が口を開き、うつむいた顔を上げて言葉の続きを紡いだ。

「でもよかった!」

その持ち上げた顔はパッと、明るかった。

「篠原は、会った時こそびっくりしてたけど、普通に接してくれるもんね。昔と変わらず無口なまんま!」

最後の一言は余計だと、そう思い少し顔が歪んだ。

こいつは昔から勢いが良いが、勢いに乗って余計な言葉が飛んでくる。

おかげでこっちも、こいつが村田なんだってことを理解できた。

「一言余計だぞ」

「だって篠原ったら、なにか誤魔化そうとしたりすると口数が増えて日本語が変になっちゃうの知ってるもん」

…さすが村田だ、同じゲーマーとして意気投合しただけはある。

私の事はだいたい知っている、女が苦手な事も。

だから私が意識を持てと言った時、変わらない昔ままの私だと認識できたから少し嬉しそうだったのだな。

きっとその時、少し寂しそうにも聞こえたのは、今の私と同じように、昔の友人が全く変わっていなくてしみじみとしていたのだろう。

…私と同じようにというのは、見た目を除いての話で。

私が、彼女の最後の友人なのだな・・・最後の・・・

そう思ったとき、私は彼女のことを前以上に仲良くしようと、彼女という友人を悲しませないように仲良くしようと思った。

「なあ、村田」

村田は変わらぬ笑顔で「どしたの?」と首をかしげた。

「話したかった事ってそれだけ?」

そういうと村田はかしげた首をクイッと戻して頭をかいた。

「んーっと」と言って回答を必死に考えている。

僕の質問の仕方が悪かっただろうか?

「あーほらさ、話しているうちにこんな感じになっちゃったけど。何か話したかったことあったんじゃ無いの?」

村田は「ううん」と首を振った。

「篠原が調子悪そうだったからさ、元気付けてあげようかなって思っただけだよ」

私はそんなに見て取れるほどにブルーなオーラを振りまいていたのか・・・

そしてその気持ちはうれしいが、原因はお前にあるんだよ。

「ただ・・・」

ポツリと村田がつぶやいた。

彼女は私にぐいっと顔を寄せた、私はそれに堪らずたじろぐ。

彼女は口元に人差し指を添えて言葉を囁く様にワタシに音を流してくる。

「私が昔は男だったって事は、秘密にしてね」

それだけ言うと、彼女の顔はすっと目の前から離れた。

「じゃあね」

体を翻し村田は自分の席に向かってスキップで僕から離れていった。

あざとい。

光陰矢の如し、歳月人を待たずとはよく言ったものだ。

皆様の中に例えば昔の親友が久し振りに会ったら性別が変わっていた、という経験をした方がいたらアドバイスを頂きたい。

せめて久し振りの再開で容姿が変わっていると言ったらせいぜい体型が変わっているとか、そういったものだろう。

しかしこれは極めて例外である。

読んでいる側としては私の感じているインパクトが伝わり難いだろう。

今の私の受けている衝撃は例えるならば、RPGで頑張って育てた賢者がルイーダの酒場から帰ってきたらレベル1の遊び人になっていた感じだ。

それでもわかりにくい?じゃあ、預けていたブルドックが柴犬になって帰ってきた…今の私はそんな感じだと言っておこう。

そんな突然の衝撃に揺らいでいる心と私が格闘していると後ろからこそこそと高崎が近づいてきて、私の事を手招きした。

言どうやら付いてこいとのようで、廊下に出ていった彼を追いかけてトイレまで移動した、高崎は少しにやけている。

なんなのだ、お前は私に追い打ちを仕掛けるのか。

「なあ、篠原!やっぱりあの子お前の元彼女とかじゃないの!?」

想像通りの右フックをかましてくる。

これだよ、こいつはホームルームが終わった時も村田が私のことを呼んだのを見て同じ事を聞いてきやがった。

もちろん元彼女ではないし、彼女の正体を早速明かすわけにもいかないので、適当に流しておこう。

「本当に只の友人だよ、小学校の時に親しかったんだ。」

「本当なのか…?」

高崎は顔をしかめて念入りに確認をしてくる。

しかし、別に誤魔化せない話でもないし、はっきりしない風にあやふやにしてしまおう。

「本当だよ、何なら今度紹介してやろうか?」

別に村田だって元は男なわけだし、こいつを紹介しても問題なかろう。

こっちで友達も作りたいだろうし。

女子は女子で話し掛けてくれたり、グループが出来たりするから、女子の友達は出来るだろうから心配だろうし。

しかし、私はこの直後

『不味い事をした』

そう思った。

紹介してやろうか?私がそう言ったその瞬間、高崎の顔がにやけ始めたのだ。

「マジで!?」

高崎が食いついて来る。

「紹介して!紹介してくれ!」

なんだ、一体どうした。

普段女子の事でこんなに反応しない高崎が、村田の事にこんなに食いついてくるなんて…

高崎の笑顔は一層光を増して迫ってくる。

「まっ…待って、村田にそんなに興味あるの?」か

高崎は照れくさそうに頭を掻きながら答えた。

「それが…一目ボレでさ」


《一目ボレ》


ああ、意識が遠のく。

普通の世界が遠のいていく。

今の私に効果音を付けるなら、まさに『クラッ』だろう。

「あの自己紹介の時の笑顔に一目ボレでさ…

スッゴイ好みだなって思ったんだよ」

高崎はラッシュを止めない。

「あの日焼けしてる肌にあの笑顔はピッタリだと感じるんだよ!」

もう止めてくれ。

勘弁してくれ。

そう思った次の瞬間、天から差す一筋の光、天使の角笛の如く私に助け舟が渡った。

『キーンコーンカーンコーン』

チャイムの音、それが二人の意識をその音に移った。

そのチャイムは、給食準備開始を示すチャイム。

想いを紡ぐ高崎も流石に決められた時間には逆らうことが出来ず、早口になる。

「やっべ!早く準備しなきゃ!」

時計を振り返りながら話を急ぐ。

「この話はまた後でな、お前も急げよ」

篠原はそう言うと走り出して教室に向かっていった。

もう、今の私はガックリとうなだれでも、膝をついたりでも、何なら曇りきった空に叫びでもしたい気分だ。

今空に向かって叫べば、曇りきった空に私の声で大穴すら開けられそうだ。

『高崎イイイイイイイ!!』

と、大声で。

しかし、まいったな。

一目見て、思っていたが気が付かぬふりをしていた。

あいつの取り柄は昔からそうだ、村田。

笑顔が可愛すぎる。

私は悶々とした思いにふけりながら、トイレを後にした。

如何でしたでしょうか。

長い期間かけて書いた割には薄くて内容もあまり無い2話だったと自分では思っております。

どれもこれもSplatoonが面白すぎるせいですよ、間違いない。

冗談はさておき。

前回も書いたと思いますが、この物語は短編──あまりながいものにするつもりではありません。

よって、主要人物…もう大体出ちゃってます。

主人公の篠原だっけ、それと高崎、村田。この3人ですね。

この小節のタグに『コメディー』って入れたんですが。

よくよく考えたらコメディーじゃないことに気がつきました。

恋愛?学園モノ?後後エグイ描写もあるつもりなんで。多分変えれたらタグ変えますね。

物語って、考えるのは楽しくても、書くのは難しいですね。

次回、お楽しみに。

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