第四話
次からようやく百合にいけます。
どうもんにちわ、皆さん。
アマービレ・グランツィオーゾです。
今日は、私の教育係のヴィラージオ・モーキスを紹介しようと思う。
ヴィラージオは、母上からの教育係であるらしく1560歳にもなるらしい。
見た目は、人でいえば20代後半あたりに見えるのだがら改めて吸血鬼のすごさを理解する。
ヴィラージオの性格は、生真面目であまり融通の利かないお堅い感じだ。
ただ、この年で女性全般に免疫がないらしく、からかうとすぐ動揺し真っ赤になるという
可愛らしい一面もあるのだが・・・男だ。
なぜ、わざわざ男を紹介したかというと、私は今勉強中だからである。
「それでは姫様、今日のお勉強を始めます」
「はーい」
「では、まずこの国デュッセルの歴史の説明からいきましょう。
デュッセルは、約1万年前に初代女王である真祖カーミラ様により建国されました。
はじめは、同調した吸血鬼も少なく領土も国としての力も今ほど大きくはありませんでした。しかし、
3代女王ヴィオラ様が開発した、吸血した血を溜めておける魔法ブラットプールにより多くの吸血鬼が
デュッセルに集まり、魔族領域有数の国へとなったのです。
ここまででなにか質問はありますか。」
なかなかにざっくりとした説明だが、1歳にもなってない幼女に対してというならば妥当なのだろうか。
「魔族領域有数っていう割には、そんなにうちの国は大きくないですよね?」
「たしかに大きさでいえばそうでしょう。ですがデュッセルは吸血鬼のみで構成された国なので、あまり大きくある必要がないのです。先ほどの説明にでてきたブラットプールにより、家畜として他の種族どもを国の中で飼う必要が無くなったのも大きな要因のひとつですね。さらに、我々吸血鬼は、一人一人が強いので、国があまり大きくなくても十二分につよいのです」
なるほど、そもそも魔族のほとんどは人族と違って、住民一人でもそれなりに戦闘力がある。
そのうえ吸血鬼個人の戦闘力も平均Bランクと高く、軍属の吸血鬼なんかはAランクなんかざらである。
他の種族を取り込み、数を増やして戦力を上げなくても十分ということか。
「では、次は種族についてですね。
といっても、種族はたくさんの種類があり、すべてを覚えられないでしょうし覚える必要もありません。
なので、人族と魔族の大まかな括りで説明しましょう。まず人族、一番多いが悪知恵が働くだけで、目立った能力がない人間。ただ、稀にかなり強い個体を輩出することもあり、過去に2度、魔王を少数の仲間を率いて討ち取ったこともあります。
次に魔力が高く、身体能力も人間に比べると高いが数の少ないエルフ。だが多くのしきたりがあり、さらにそれを他種族にも押し付けてくるめんどくさい種族です。
そして、魔力はあまり高くないが、他の人族よりも高い身体能力をもつ獣人。獣人の数は人間ほどではないですが多いですね。ただ獣人は、血統ごとに性格も得意分野も違うので一括りでは説明ができません。他にも魚人や竜人、翼人なども数が少ないですが存在していますね。特に竜人は、吸血鬼に匹敵する身体能力を持っています」
ふむ、なかなかテンプレだね。魚人は、人魚とイコールで考えてもいいんだろうか?
「次は、魔族についてなのですが、数が多いので代表的なものを。
まず、我ら吸血鬼。高い身体能力と豊富な魔力、飛行もできる万能な種族ですが聖属性が弱点です。
といっても、致命的というほどでもなく魔力が高くなれば耐性もつくので、そこまで恐れる必要はありません。何時からか人族では、狼獣人が天敵などと噂されるようになりましたが、これはデマですのでご安心ください。我らには、天敵などおりませんので。
次はゴブリン・コボルト・オーク等の下級魔族です。こいつらは、高い繁殖力と高い適応力を持っており
どこにでも存在しています。その分弱く、上位種でも届いてD、王種でようやくBランクに届く程度です
次はドワーフです。こいつらは、鉱山などに住みつき採掘や鍛冶をして暮らしています。体躯は小さく、
手先が器用で素早いですが、その分非力です。
そして悪魔、こいつらは主義嗜好が様々で、ランクもFからSSSまでいて、孤高を気取る者もいれば誰かに仕えることを一生にする者もいますし、自らが王になろうとする者など様々です。
後は、腕力が強いことだけが取り柄のオーガに槍術に長けたリザードマン、森の中なら我らに匹敵するほどの戦闘力を発揮するアラクネなど他にもたくさん居ますがきりがないのでこの辺で終わります。
ここまで一気に説明させていただきましたが覚えられましたでしょうか?」
「ええ、大丈夫です」
「それは良かった。では、今日のところはここまでしましょう」
「はい、わかりました。それでは、また次の授業で」
さて、まずいことになった。
アマービレお嬢様の頭が良過ぎる。このままだと、すぐに教えることがなくなってしまう。リビドゥム様の時は、すぐに根を上げて遅々として授業が進まなかったというのに…まあ、それに比べれば良いことなのだが、このままでは教育係としての威厳がなくなってしまう。何とかしなければ。
ヴィラージオ・モーキス 1560歳
王族の教育係。なのだが、そこまで頭が良いわけではない。但し、吸血鬼自体が
脳筋なので、ヴィラージオが特別頭が悪いわけではない。
ランクはA