第二話
目を覚ますと、私のことを覗きこんで来る黒髪の女性がいた。
少しぼやけて見えるが、それでも綺麗な顔立をしているとわかる。
「あー?」
誰ですか?と、たずねようとしたのだがうまく言葉が発せられない。それどころか
「と・・・いい・・・・や・・・」
耳もうまく聞こえてないようだ。そこで思い出す。私は転生したのだ。
言葉がうまく発せられなかったり視界がぼやけているのは、おそらく生まれたてだからだろう。
とすると、いま目の前にいる女性は母親だろう。少し離れた位置にいるのは父親だろうか?胸らしきものが見えるので産婆だろうか?他にも奥に何人かいるみたいだがこちらは男女の区別すらつかない。
ああ、なんだか眠くなってきた。目を開けているのもつらい。
現状を把握するのは、いますぐじゃなくてもいいだろう。
そう思いながら私は眠りについた。
「どうやら、アマービレは眠ってしまったようですね」
「うむ、かわいらしい寝顔だ。テネレッツァによく似ている」
「ふふ、この綺麗な銀髪はリビドゥム様の血をよく受け継いでいますね」
「真祖の子はすべからず銀髪であるからな。この子がどんな成長を遂げるのか、いまから楽しみだ。
出来ればテネレッツァのように強く優しく穏やかな子に育ってほしいものだ」
そう言いながらリビドゥム・グランツィオーゾは、アマービレの頭を撫でる。
こうして天音結城のアマービレ・グランツィオーゾの吸血鬼ライフは始まった。
母親1 リビドゥム・グランツィオーゾ 178歳
吸血鬼の女王で真祖。不老である吸血鬼の中では、かなり若い。
吸血鬼至上主義で他の種族のことを見下している。だが、同時に美しいものは
好きで美形であれば、それなりに態度は緩和される。それでも一番は同族であり
無礼をはたらかれれば躊躇なく殺しにかかる。
戦闘力は、SSSランクで吸血鬼の中でもダントツで魔族の中でもトップクラス。その実力から魔王の一人として数えられている。
ちなみに、ランクはSSS、SS、S、A、B、C、D、E、Fとあり平均的な吸血鬼はBランクとされている。