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クルトゥース 〜碧槍の帝〜  作者: 高田玄武
2/5

〜紫硫の門〜

死について、抵抗があったわけでもない。もっと言えば死という概念が数多の世界においてどれほどの影響力を持とうが、私にはどうでも良いことだったのだ。

死の概念―――つまりは肉体の滅びであるとか、魂の存在であるとか。そんな些細なことが、本当につまらなく感じた。いや、感じていたというべきか。

死という存在が生と隣り合わせにあることは理解していた。良く言えば覚悟が決まっていた、悪く言えばそれはどこまでも愚鈍だったと言うことだ。

とにかく、私にとって生を全うするという意味が、死を待つということ以外の何物でもなかった。


‐1‐


いつものように校門を抜けた場所に彼はいた。


「...。」


「あ、唐木さん?いやぁ、き、奇遇だねぇ。今、帰り?」


その彼は、ここ2、3日私の周りをウロウロとしていた。特に何をするというわけでもなく、ウロウロとするだけ。話し掛けてきても、私は基本的に無視を続けていたが。

彼はクラスでも目立つほうではない。取り立てて特筆すべき箇所の無い、極々一般的な男子生徒だ。


「よかったら、一緒に帰ってもいいかな?い、いやっ!後ろからついてくだけでいいから!」


「...。」


私は返事をせず、そのまま下校路を歩きだす。別に危害を加えるわけでもないのだから、好きにすればいい。私には関係の無い話だ。

彼は、私の後ろからスタスタと付いてくる。別段、迷惑なわけでもなければ、元より私にとってみれば自分を含めた全ての事柄をどうでも良いと感じていたのだから。それよりもこの男子が私になどまとわりつくことが不思議で仕方なかった。だが三日目。そろそろ飽きる頃だろう。


「―――あのさ、唐木さん。」


そう思った時、彼が突然に口を開いた。私は内心少しだけ驚き、足を止めた。彼は更に口を開く。


「え、えとさ...こんなこと言うと、おかしい奴って思われるかもだけど...唐木さん、神様の存在って信じる?」


...突然、私の足を止めさせるほどの不意打ちの発言は、そんな言葉だった。


「...。」


私は思わず呆気にとられて、立ち尽くした。いきなり、何の話なのか。


「いやまぁ―――うん、神様ってのは言い過ぎかな。えーと、どっちかってーとなんというか...うぅ...あの、気をつけて欲しいんだ!」


...やはりよく、わからない。今度は気をつけろ?...もしかして彼は私をバカにしている?


「...。」


私は振り向き、彼を見た。申し訳なさそうにあたふたとしている様子を見ると、馬鹿にしたという感じは見られない。じっと見ていると、もう一度彼が言った。


「あの―――ほんと、いきなり変なことを...いや、こんなの全然普通じゃないんだけど...俺の言うこと、信じて欲しい!信じられないとは思うんだけど、いや、俺だって未だに信じられないっつーか...と、とにかく今は言えないんだけど、信じて欲しいんだ!!」


そういう彼の目は、本気だ。


「...わかった。」


気が付くと、私は彼に口を開いていた。


「...へ?」


「...貴方の言うこと、信じる。気を付ければいいのね?」


「...あ、あぁ!」


彼は驚いていた。いや、こんな言葉が出たことに、実は当の本人が一番驚いていた。一体何に気をつければいいのかすら分からなかったが、彼が本気なのは十分に解った。私は、もう一度振り返って、歩き出した。彼は黙ってついてきた。結局その日は、彼は私の住むアパートの前までついてきたが、さすがに部屋までは来なかった。


「―――じゃ、じゃあ俺はこれで!また明日!」


彼はそういうと、一目散に駆けて行った。...声に気付いて、アパートの入り口で私が振り返った時には、もうその背中は遠くになっていた。

...お茶くらい、飲んでいけばいいのに。などと私は一人で呟き、エレベーターに乗った。


‐2‐


部屋の鍵を開ける。

ガチャ、と音がして、私はノブを回した。

制服とブラウスを脱いで、洋服掛けに掛ける。そして下着のままベッドに横になって目を閉じる。

...彼の言っていた言葉。気をつけろと。...一体何に気をつけろと言うのか。そもそもの、神様を信じるかという質問。...私は答えていない。

神様...居るのかと問われれば、居ないことも無いのかもしれない。人がその存在を神様と呼ぶのであれば、多分それは存在するのだろう。ただし、その存在は、多くの人が望むような都合のいいものじゃないことだけは分かる。そんなものは、居はしない。

それを否定することもない。かと言って、肯定するにはその存在は余りにもあやふやだ。

つまり、私にとってはどうでも良い話。...そのはずだった。

しかし、彼の口からその質問を投げ掛けられた時、私の心は一瞬だが、ざわついた。

「神様を信じるか。」

神様とは何のことだろう。そして気をつけろとはどういうことなのか。

慣れないことが続いて、私の脳は疲労していたのか、そのまま、いつのまにか眠りに落ちていた。


‐3‐


ガタタタタタ!!


突然の物音で、私は目を覚ました。すぐに上着を纏い、カーテンを開けて窓の外を見る。...窓の外?この部屋は三階だ。しかもベランダは無い。なのに何故、私はこんな無駄なことをしているのだろう。

しかし、窓から見える裏路地を走ってゆく人影らしきものを発見した時、彼の言葉が脳裏を過った。

「気をつけて欲しいんだ!」

彼が言っていたのはこのことなのか?あの影のことを、彼は知っていたのか?

次の瞬間、私はスカートを身につけ、部屋を飛び出していた。


‐4‐


「はぁっ...はぁっ...」


あの影が向かっていたのは公園の方角だった。街の中では広い部類に入る場所だ。物音がしてから、私が起き上がり、窓の外を見るまでの時間はほんの十数秒。そんな短時間で、アパートの三階から飛び降りて逃げられる人間などいない。

人間でなければ、なんなのだろう。不意に、彼の「神様」という言葉が頭をちらついた。

...馬鹿馬鹿しい。人の部屋を窓から覗いたあげく、全速力で逃亡していくような神様など聞いたことがない。


「...はぁ...はぁ...っ...。」


気が付くと、私は大通りを抜けて公園の入り口まで走ってきていた。急いだせいで、呼吸が追い付かない。額から伝わる汗が、シャツを濡らして背中が気持ち悪い。

息を整えて、冷静さを取り戻すと、急に馬鹿らしくなってきた。一体、私は何をやってるんだろう。普段の自分なら、こんな出来事など、箸にも架けなかっただろう。それがこんなに息を切らして、得体の知れない何者かを必死で追い掛けているなど―――正直、想像もできなかった。

私は、どうかしてしまったんだろうか。

公園の中央、噴水のある広場まで来たところで、噴水の脇に腰を掛けてしばらくぼんやりとしていた。よくよく考えれば、あれだけのスピードで走り回るモノだ。方向が分かったからといって追いつけるはずがない。ここまで考えて、やっと私は自分が冷静でなかったかを思い知った。

―――帰ろう。多分、あれは何かの見間違いに違いない。寝呆けていたのだろう、帰ってシャワーでも浴びてすっきりすれば忘れるに決まってる。そう考えて、立ち上がった瞬間だった。

‐5‐


『ギャウゥゥゥゥッッッ!!!!』


獣が吠えるような...いやそんな生易しい、声と呼べるモノではなかった。生の大木を引き裂いたような、地鳴りがするほどの『音』。それが、私のすぐ近くで辺りにけたたましく響き渡った。さすがに私は驚き、音のほうを振り返った。

そこに在ったのは、そんなけたたましい『音』を遥かに凌ぐ、この世ならざる、『恐怖』だった。


『ぐるるるるるるぅぅ...』


体高は2メートルを超すだろうか。全身に皮膚らしきものはなく、筋肉のような紅い筋が露出しており、口らしき場所は大きく裂け、真っ赤な舌からは涎を垂らしている。眼は一つしかなく、瞳孔が開き切ったような突き抜ける血走った眼球が、飛び出るかと思うほどにこちらを射抜いている。

蛇に睨まれた蛙とはこのことだろうか。明らかに補食者であろう『ソレ』を目の当りにして、私は一歩も動けずにいた。

ありえない、こんな生物...いや、存在自体が在り得ない。

硬直したまま動けない私を嘲笑うかのように、その異様な化け物はズルッ、ズルッと音を発ててこちらに向かってくる。足なのかなんなのかよく解らなかったが、ヌルヌルしたような無数の蠢く触手で動く様は、一種、巨大な蛞のようにも見えた。

ゆっくりと迫ってくる化け物。私は、もうダメだと思った。もともと覚悟はできていたはずだ。人はいつか死ぬ。死と直面して尚、それは揺るがなかった。しかし、化け物の触手が目の前に迫った時、思い出した。

『気をつけて欲しいんだ!』


彼の言葉が何を差していたのか。これでようやく解った。それを理解した時、初めて私は後悔した。

―――もしもあの時、彼の言葉をちゃんと理解できていれば―――

こんな死に方はしなくて済んだのに。その刹那、私には初めて、ある感情が湧いた。


―――生きたい。


しかしすでに遅い。こんな状態で、やっと私は理解したのだ。生と隣り合わせにあった、死という存在を。私は、恐怖した。自らの肉体が、こんな異様な化け物に噛み砕かれて、引きちぎられ、消滅させられることを。そして絶望した。自分の今までの人生を振り返り、自らの愚かさに。そして...それは、本当に突然起こった―――。


‐6‐


『―――ビギィィィィィッッッッ!!!』


私が懺悔の言葉を浮べた瞬間。

化け物の悲痛な叫びにも似た『音』が響き渡る。

目を開けた私の視界に飛び込んできたのは―――月の光を浴びて、エメラルドに輝く、何か。化け物に深々と突き刺さる、それは...三つ又の、槍だった。


『ビギィッッ!!!!』


頭部に躊躇無い一撃を受けた化け物は、さすがに堪らなかったのか、先程までのゆっくりした動きとは打って代わり、目で追うのがやっとなほどの機敏な動きで跳躍した。辺りには、どす黒い、恐らくはあの化け物の体液であろう液体が飛散している。

私はと言えば、何が起こったのかすら解らず、さっきまでの絶望感と、緊張の糸が弛んだ脱力感とで、その場にしゃがみこんでしまっていた。


「だいじょうぶか!?唐木さん!」


...事態が、全く把握できないまま惚けていた私は、そのエメラルド色に透き通る三つ又の槍をかざした人物が一体誰なのかを確認することにさえ、かなりの時間を要したように思う。それは、私の知っている人物―――彼だった。


‐7‐


彼は、私に手を差し伸べていた。私は、その時ほど誰かに救いを求めるということに、安心感や安堵感を持ったことはなかっただろう。彼の掌は、とても優しくて、そしてどこまでも心強かった。


「怪我は無い!?...ったく、よかったよ、いつも通り張り込んでて!まさかこんなに早く接触するとは思ってなかったけど...。」


彼の手を掴みながら、私は鼓動を抑えようとしていた。色々な感情が堰を切ったように湧いてきて、私は...。


「...にしたって、イァク!!あんなのが出てくんなら先にそう言えよ!!」


『えー!あたしはちゃんと言ったよ!?あんたの理解能力が鈍臭いんじゃないのぉ?』


「なっ!!このガキ、俺のせいだってんのかっ!?」


『あーやだやだ、これだから万年影薄男はやーねー。そんなんだからいつまでも主役になれないのよ。』


「なんだとっ!?今平凡を馬鹿にしやがったなっ!?普通の何が悪い!大体な、おまえさえいなけりゃ俺だってまともな日常を平和に、かつ有意義に送ってたんだよっ!それを―――」


『あんな箸にも掛からないような毎日の何が有意義なのよっ!ハンッ、ちゃんちゃら笑わせてくれるわねっ!』


「おまっ!?...いーい度胸だ、この際だからしっかりと身の程を教えてやる!!ついでに真の平凡とは何かを―――」


...泣いていたような気がしたのだが、彼が何やら誰かと言い問答をし始めたため、私は結局、彼の様子に茫然とするだけだったのである。


‐8‐


しばらく、事態が飲み込めなかった。それは別に彼のせいというわけではない。


「平凡男をナメんなぁぁぁッッッ!!!」


『きゃーーーー!?ちょっ、やめてよそんなうわっ!?あぁああぁそれだけは〜〜〜〜ッッ!?』


...撤回する。

完全においてけぼりを食らっているのはどうやら私だけのようだ。彼は私のことを忘れて、手に持った、喋る槍と漫才のようなやりとりをずっと繰り返している。...何故か少し、ムカっとした。


「...あの...『向井明むかいあきら』くん?」


私はこの時初めて、彼を名前で呼んだ。


「はがが...おいこらやめっ...ん?」


...やっと思い出したようだ。彼は私を見ると、バツの悪そうな顔をして、引っ張り上げてくれる。


「っしょっと。あはは...ごめん、怪我はない?」


「...大丈夫。それより...さっきのは、何?」


私が質問を投げ掛けると、彼―――向井くんは、頭をぽりぽりと掻きながら、何やら困ったような顔をした。


「あっはは...う〜ん、何から説明したもんかなぁ...。」


彼は、槍をかざすと、何やら呪文めいた言葉を発する。すると、槍は瞬く間にその姿を変える。


「...。」


「えっと、こいつの名前はイァクグァ。あー、こんなナリでも一応、神様らしい。ほらイァク!挨拶しろ!」


槍は、そのエメラルド色そのままの髪を持った少女に変身した。...変身?

私はわけが解らず、ただ一言、ぽつんと呟くしかなかった。


「...幼女誘拐?」


「―――っ!?」



彼はガーンと、それはもう漫画のような顔をして惚ける。その様子を見て、イァクと呼ばれた少女はキラーンと鋭い笑みを一瞬放つと、突然泣き(真似)ながら私に抱きついてくる。


「そーなんです!このお兄ちゃん、あたしに△○※なことや★◎▽ことを強要するばかりかあげくには●○□■なんてもう△◇※―――。」


「―――んなぁっ!?!」


してやったとばかりに私の胸の中でニヤリとほくそ笑むイァク。どうでもいいけど、私にも見えてる、それ。


「...そう。大変...だったね。じゃあ警察、行こっか。」


「ぬあっ!?待て、唐木さん!!騙されるな!!」


...さすがにこんなお約束のネタに騙されるほど、私も世間知らずではない。だが、二人のやりとりが面白いのと、先程のお返しとばかりに、しばらく向井くんをからかって遊んでいた。


‐9‐


その後、私は向井くんとイァクを連れてアパートに戻った。

冷蔵庫に残っていたプリンをイァクにあげると、彼女は一生ついていきますと私に服従を誓った。...うん、それもいいかもしれない。

そして、私は二人に詳しい話を聞いた。私が狙われていること。二人は、あるものを探しているということ。それは本の断片で、その本はとても大切なものであるということ。あと、イァクは私たちの言う、神様のようなものだということ。でもそれは都合のよいものではなく、人間という種よりも少しだけ特異な能力を持っているだけなのだということ。...一番驚いたのは、彼女はこの世界が生まれた時から生きているということだったけど。


そして、私が狙われる理由は、私が向井くんと同じように、イァクのような...『裁定者』と波長が合う人間だということ。

それをイァクは『始まりの子』だとか言っていたけど...詳しい部分は割愛する。

とにかく、私が気をつけなければいけない理由は以上の通りだったわけだ。あの時に詳しいことが説明できなかったのは、実は確証が無かったから。イァクに分かるのは、なんとなくのイメージだけ。それを確認するには、色んな方法があったけれど、向井くんは毎晩、私のアパートの近くで張り込みをしていたらしい。それは、出来れば普通の毎日を送れるようにとの向井くんの優しさだったわけだ。

例の化け物は、断片の一部らしい。本の断片とはいえ、本自体は魔術的にとてつもない力を秘めているらしく、断片ひとつであんな化け物なんて比べものにもならないほどの魔物を具現化する。断片はそれ自体が意志を持ち、本の支配下から独立しているため、本に戻されることを拒否するわけだ。

断片を本に戻すことが出来るのは『始まりの子』だけ。故に、私が狙われたということらしい。

...なるほど、それなら納得できる。向井くんのように『裁定者』との契約も持たず、何の力も持たない私は、彼らにとって恰好の標的だっただろう。


「...と、いうことで俺は唐木さんに接触したわけなんだ。...その、何も言わずにごめん。」


二人の証言からすると、遅かれ早かれ私は襲われていたはずだ。寧ろ、彼らのおかげで私は助かった。感謝こそすれ、謝られることなどない。


「...謝るのは私のほう。...ごめん。それと、ありがとう。」


「えっ、いや、唐木さんが謝る必要なんてないだろ?危険を知っていたのにちゃんと伝えることが出来なかった...俺の責任だよ。」


「...向井くんは私に気をつけろって言った。私は信じるって言った。なのに、不用意に自分から危険に飛び込んだ。自業自得。私は寧ろ向井くんに感謝してる。助けてくれて、ありがとう。」


他人とのコミュニケーションには慣れていない。だから、今の気持ちをそのまま言うことしか出来ないけれど...それでなんとか向井くんには伝わったみたいだ。


「...ま、そういうことなら。でもどうしよう?結局、根本的な解決にはなってないんだよな...。多分、あんなのがまた襲ってくると思うんだ。四六時中俺が唐木さんに付きっきりってわけにもいかないし...。」


そうか、結局今も私には何の力も無い。もしも私が一人の時にまたあんなのが襲ってきたら...考えたくもない。


「はいは〜い!それならいい考えがあるよ〜!」


突然の提案を発表したのは、イァクだった。


「...なんだ?どーせロクでもないことだとは思うが...一応言ってみろ。」


「いちいち言い方がムカつくわねあんた...。まぁいいや。...明がここに住んじゃえばいいのよ!そうすれば万事解決っ!」


次の瞬間、彼の拳骨がイァクの後頭部を直撃していた。


「―――あいったぁ〜〜〜っっ!!!―――何すんのよっ!?」


「馬鹿かおまいはっ!!んなわけに行くかっ!大体、唐木さんは女の子だぞっ!?」


...なるほど。幸い、私は一人暮らし。向井くんさえ大丈夫ならそれで問題は無い。部屋も二つほど余ってるし。


「だってそれが一番手っ取り早いじゃないのよっ!どーせあんたん家は一人暮らしみたいなもんなんだし。塔子ん家だって似たようなもんでしょ?」


「そういう問題じゃねえっ!!だ、大体がだな、唐木さんがそんなの良いわけねぇだろがっ!!」


「...いいよ。」


「ほれみろっ!!大体お前は一般常識的に...って...え?」


「向井くん達は断片を集めてる。そして断片は私を狙ってる。相互関係の一致。多分それが一番良い方法。」


「ほら見なさいよ〜!塔子だって言ってるじゃん!じゃあ決定ね?」


「いや、ちょ、ちょいまてっ!?なんというかそれは色々とすごくマズイんじゃないかと思うんですけど...っ。」


「...向井くんは、イヤ?」


「―――えあ、い、いや、イヤってわけじゃないんだけど、その、あの、え〜と...っ。」


「―――何ぐたぐだしてんのよこの優柔不断男っ!塔子が良いって言ってんだからいいじゃないっ!!―――それより、このプリンってもうないの?」


「...お前、最初っからそれだけが目当てだな...?」


「(ぎくっ)な、何のことかしら〜〜♪」


...何はともあれ、こんな感じで三人(?)の同居が始まったわけである。



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